ラッキーな1日
「困った事になったな…」
…俺は心の中で、そう呟いた。
渡辺すごろく40歳。無職。
すごろく史上最大のピンチを迎えた…。
昨日スクラッチで1万円当てた。
気を良くした俺は、その足で駅前のパチンコ屋にて一気に15万円分まで玉を増やす事に成功した。
…が、運はそこまで。
連チャンが終わった台は、午前中の波が嘘のように引いてドハマリ。
あれよあれよと玉が無くなり、閉店前にしてスッカラカンになってしまっていた。
いつもならやけ酒としてカップ酒を胃に流し込んでふて寝するところだが…今日ばかりはそういう訳にはいかなかった。
明日は利子を返さなければならない。
日雇いの身で毎月5万円の支払いは厳しいが、身から出た錆である。
15万円稼いだ段階でやめておけば楽に返済出来たのだが…まぁ、今更である。
勿論貯金なんてある筈も無かった。
そんな俺を嘲笑うかのように冷たい雨が肩を濡らした。
雨宿りのつもりでコンビニに入った…という訳ではない。
一度借家へ戻り、しっかりと準備をしてから出直して来たのだ。
コンビニに大金が置かれていないのは分かっている。
騒ぎを起こせば直ぐに警察が飛んできてくれるだろう。
少しの間、不自由さえ我慢すれば安全な場所で飯も食える。
あいつらに追いかけ回されるよりも、よっぽど枕を高くして寝れるってものだ。
…とはいえ、そのコンビニは深夜2時という時間なのにやけに客が多かった。
少し空くまで様子を伺うべきだろうか…。




