強さを増す雨音
「困った事になった…」
…僕は心の中で、そう呟いた。
僕は渡辺しゅうや。中学2年生。
僕のような子供が、深夜2時のコンビニに1人で居る時点で怪しい。
…自分でも怪しいと思ってしまうんだから、他の人からも怪しいと思われているんじゃないだろうか?
家は新大久保駅よりも更に明治通りに近いマンション。
家からここまで来る間にも無数のコンビニがあるけれど、駅前通りのコンビニよりは人が少ないだろうとペダルを漕いできた。
…普段なら絶対に立ち寄る事もない行動範囲外にあるコンビニ。
しかも、すぐ近くに小さなポリスボックスまであるというのに…
今から僕がやろうとしている事を考えると、計画的なのかどうかですら分からなくなってくる。
僕は…誰かに止めて欲しいのかもしれない。
いや、かもしれない…ではなく、僕は誰かに止めて欲しいのだ。
それはやってはいけない事だと誰もが知っている事だから。
物が欲しい訳ではない。
お金が無い訳でもない。
スリルを味わいたい訳でもないし。
鬱憤を晴らしたい…という訳でもなかった。
単に…彼らには逆らえない…というだけ。
「捕まってこい」とは言われてないけれど、それは言われたのと同じ事だと思う。
…だけど僕は彼らには逆らえない。
手にした商品を再び棚に戻しながら、僕は何回目か分からないため息を吐き出した。
窓の外の冷たい冬の雨は、僕を急かすようにどんどん強さを増していく…。




