ねこ
4年生の冬になった。今日は飼育委員会の当番の日。天気は晴れてるけど、ちょっと寒い。
ウサギの小屋を掃除していると、小屋の外のすみっこに黒い猫がいるのに気づいた。伏せの姿勢で座っている。毛並みは悪く目やにも多い。おじいちゃんかおばあちゃんねこのようだ。
そっと近寄ってみた。全く逃げない。弱ってるみたい。というか、逃げる元気も無いの?
「ポリー、どうしよう」
ポリーは既にその猫をスキャンしていた。背骨にそって腫瘍があり一部が腎臓を潰していた。尿毒症が限界まで進行していてもう長い命ではないだろう。
しかしポリーはそれを黙っていた。言ってどうするのか。
「とりあえず何か飲ませるといいだろう。」
「そうだね。」
飼育小屋にあるウサギの餌皿を拝借し、水を汲んでくる。
黒猫の前に皿を置いた。少しだけ、ぴちゃぴちゃと舌で舐めるがすぐに止めてしまう。
猫の背を撫でようとしたけど、猫は嫌がってそのはずみで横に転んでしまう。そのまま起き上がる事はなかった。呼吸が止まる。
それでも私は脇腹を撫で続けた。だけどその体は次第に冷たくなっていった。
小声で泣く。ポリーは黙ってくれている。そう、慰められたってネコが生き返るわけじゃない。
しばらく泣くと、自分でも予想していなかった言葉がぽつりと出た。
「私もこうなるはずだったんだよね。」
猫が死んで悲しいのは確かだけど、それ以上に死んだ猫に自分が重なってしまう。何に涙してるのかよく分からない。
ああ、いやだなあ。
---
リンが教師に連絡すると死んだ猫は引き取られていった。リンはちゃんとお墓を作って欲しかった。教師は大丈夫だよ、とは言っていたが勿論それは優しい嘘で、実際は清掃事務所送りである。リンがそれを知る事はないが。
帰り道。ポリーはリンの隣を歩きながら思う。リンは根本的にどうしようもなく孤独なのだ。燈子も私もまだ本当の意味でリンの家族になりきれていない。自分たちには彼女と一緒にいる目的はあるものの、それらとは別にリンへの愛情?愛着?のようなものも確かにあった。ポリーにはその感情らしきものをどう扱ったら良いのか分からなかった。




