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マッチ売りの少女2100  作者: ぽんた7
橋の下の灯
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ちんちくリン

 5年生になったよ。それまでのようにクラスでポリーの話をする事もやめて、カンの良さを隠し、平凡に過ごそうと努力している。

 お淑やかに振る舞おうとしているけど、ポリーに言わせると私には向いてないらしい。そんな訳はないわ。見る目のない馬だこと、オホホホ。


 そんなある日の放課後のこと。

 私は担任に用事をいいつけられて居残り。それが終わってもう人も少なくなった廊下を歩いていた。すると校舎の裏で、ケンちゃんが数人の6年生に囲まれているのが窓から見えた。


「なんだろ?」


 見ていると、ケンちゃんは一人の上級生に突き飛ばされた。何言っているのかよくわからないが怒鳴られてもいるようだ。あ、殴られた。

 私は校舎裏に向けて走り出す。ポリーはそんな私を止めようとする。


「リンやめろ、介入するな、危険だ。」


「馬鹿言わないで!見逃せるわけないでしょう!」


 私は通用口から上履きのままで外に駆け出した。


「リン止まれ!」


 ポリーを無視して上級生に飛びかかる。


「何してんのっ!」


 上級生に体当たり。しかし悔しいことに私は高学年になってもまだまだ小柄だ。大したダメージになっていない。逆に振り払われてしまう。

 突然の私の登場にびっくりしていた様子のケンちゃんだが、私が転ぶのを見て加勢に出てくれた。その後は手足をめちゃくちゃに振り回して大乱闘。

 暴れる私たち二人に手を焼いた上級生たちは、面倒になったのか唾を吐いて立ち去ってしまった。よし、勝ったぞ。


 残された二人でその場に座り込みぜいぜい荒い息をつく。途切れ途切れにケンちゃんに聞いた。


「いったい、何が、あった、のよ」


「よく、分から、ないんだ、なんか、『お前生意気なんだよ』とか、突然言ってきて、ここに、連れてこられて。」


「ああ~」


「何だよ、『ああ~』って。」


「いやだって、健ちゃん生意気だもん。」


 ケンちゃんがギラリ、と睨み返してきた。


「そんな事ないだろ、普通だろ」


「ほら、そういうところ」


 二人で顔を見合わせる。どちらともなく笑いだしてしまう。

 しばし小声で笑うと、私の肘から血が滲んでるのケンちゃんが見つける。


「なんだお前、ケガしてるじゃねーか。」


 あれ。全然気づかなかった。


「え?ああほんとだ。でも全然だいじょうぶ。痛くない。」


 ケンちゃんは呆れたようなため息をつく。


「まったく昔からお前はよう。ちっちゃいんだから無茶すんなって、ちんちくリン」


 かーっ。レディに対して失礼な。


「小さくないし。なんだちんちくリンって」


「ちんちくなリンの助。いや小さいだろ、俺より頭一個分。」


「うるさい、そのうち抜かすし」


「無理だろ」


「ふん、見てなさいよ、人より背伸びるのが遅いだけなんだから。60年後に吠え面かかせるんだから。」


「そりゃ楽しみだ。」


---


 そんな二人のやりとりを無言で見つめるポリー。

 リンは自分の言う事を聞かなくなってきている。精神が成長している証拠で喜ばしいのは分かっているが、しかしリンの場合危険は特に避けなければならない。背反する命題にどうするのが正解か分からなくなってくる。




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