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マッチ売りの少女2100  作者: ぽんた7
橋の下の灯
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私の宝物

 小学4年生になった。私とポリーは変わらず一緒にいる。

 彼がイマジナリーフレンドという存在であり、自分にしか見えない事はもう理解していた。保育園の時も小学校低学年の時も何人かの友だちに打ち明けた事はあったけど、バカにされるか気持ち悪がられるかのどちらかだったので、もうお母さん以外に話す事はない。

 お母さんだってポリーはいないって分かってはいるみたいだけど、せめてもう少しゆめを見させてほしい。もう少しだけ。おねがいします。


 最後にポリーの事を人に話したのはついこないだ、4年生にあがったばかりの国語の時間。

 その時間は作文で、課題は「たいせつなものについて」。


 みんなはそれぞれ、自分の消しゴムとかカードとか人形とかについて書いている。

 私は少し考えて、ポリーの事を書き出した。足元のポリーは「やめておけ」と言ってるけど、どうしても他の人にも分かってほしかった。私のとてもとても大切なもの。


「私の大切なものは、馬のぬいぐるみです。名前はポリーです。お話しできます。いつも私の横にいます。」


 隣の席から私の作文を覗き込んだトモコちゃんが聞いてきた。


「横?どこ?」


 私は机の足元を指して


「ここ」


「なんにもいないじゃない。嘘つきね。」


「いるもん」


 周りの他の子もリンをからかい出した。


「リンちゃん、昔からずっとそれ言ってるのよ」


「頭おかしいんじゃない?」


「大嘘つきのリン」


「気持ち悪い..」


 唇を噛み締めて下を向く。他の人にはポリーが見えていない。そんなの保育園の時から分かっていたはずなのに、書かずにはいられなかったのだ。悔しい。なんで私にしか見えないの。


 先生が手をパンパン、と叩く。


「はいはい、人のこと悪く言っちゃいけません。素敵な想像力じゃないですか?見えなくても大切なものはあるんですよ?」


 助けてくれる担任だったけど、私には自分が間違っていると言われているとしか思えなかった。残念だけどもう二度とポリーの話をするのは止めよう。自分にとって本当の事は他人にとってもそうとは限らない。何でも話していいわけじゃないんだ。


---


 保育園の頃からポリーの事をリンから聞かされていた健二だけは信じてはいなかったものの馬鹿にもしなかったが、しかし発言はできなかった。女子と一緒にからかわれるのはなかなかにハードルが高く、黒板にあいあい傘が書かれる未来は小学生男子には死刑に近い。




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