おまかせあれ
その少し前。別室でポリーと榊が向かい合っていた。
ポリーは榊に伝えなければならない。
「すまない、我々はリンの元を去らなければならない。」
「何故だ。君たちは未来から来た彼女の守護者なのだろう?」
「そのはずだった。リンの死は私の死なのだ、何せリンは私の先祖だからな。」
「ならば何故」
「私とリンの直接接続が長過ぎた。まったく予期していなかったが、リンに我々の能力が移りつつある。現時点ではまだ優れた個人、という程度だがすぐに現人類を超越した力になると思われる。接続を解除してみたが流出を止める事ができない。このままではまたリンは狙われる事になるだろう。そもそもリンの体は情報に耐えられなくなると思われる。」
「...」
「そこで、我々が去る代わりに、君にリンの後見を頼みたい。リンには親も親戚もいないが、後見は誰でも良いわけではない。事情を知り、かつ権力への伝手を持つ君が最適だと判断している。是非お願いできないだろうか。」
75才が12才の子を養子にする、というのは前代未聞だが。しかし榊には願ってもない事だった。短い付き合いでしかないはずだが、リンに愛着も湧いていた。
ポリーは続ける。
「リンの行方を見届けられないのは断腸の思いだ。私に腸は無いが。君なら任せられると思う。頼む。」
一も二も無い。榊は引き受けた。何、甲田は喜んで手を回してくれるだろう。
榊は微笑んで言った。
「おまかせあれ」
本当にこんな爺さんが国の事務方のトップだったんだろうか。ちょっと不安になるポリーだった。




