崩壊
その頃取引中だったNASDAQで、上場していたメモリアの株価は暴落した。アメリカ株式にストップ安はないが、急変動対策はある。メモリアの株式は売買停止になった。今後持ち直す望みは無さそうだった。明けを待つ日本市場の行方は誰の目にも明らか。メモリア株を大量に保持していた個人や投資会社は絶望していた。 ダメ元で売り注文を最低額で置いてはいたが、成立する訳もない。
リンに対する政府の追求を足止めしていた甲田にとってもこれは好機だった。サイバーテロを画策していたのは実はメモリアで、桜庭鈴は被害者である、としてリンへの捜査要求を保留させ、矛先をメモリアに向けさせる事に成功。県警にメモリアの強制捜索を指示した。県警本部長は喜んでそれに応じる。中学生への攻撃を有耶無耶にできるなら何でもする気になっていた。後で解任・左遷される事も知らずに。
そして強制捜査の結果は驚くべきものとなった。市との癒着による事業の独占。病院と結託して臨終の体験を商品化。市内監視カメラに仕込まれた合法とはいいがたいインプラント検知装置。セキュリティ部署による要人の拉致や排除。
それらの記録は厳重に暗号化されていたが、イッヌがそれらを全て解錠していた。
「やり過ぎではないか、イッヌよ?」
「いやあ、なんか楽しくなって来ちゃって。てへっ」
「...」
とにかくこれでメモリアは崩壊。森らメモリアの要職にあったものは逮捕。直近でリンへの被害をもたらすものは無くなった。
あとはポリー本来の目的。クランチの解除だ。




