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県警本部
NISCが組織編成や関係各所への根回しをしてる最中、すでにH県県警本部はリンの対策本部を立ち上げていた。被疑者は中学生一人なので、まずは生活安全部少年課の署員数名による施設訪問が行われた。
21世紀に入り、少年犯罪の低年齢化はとどまるところを知らなかった。21世紀当初には14才以上でないと勾留できなかったが、22世紀を目前に控えた今では既に年齢制限は撤廃されていた。裁判所への申請は必要だが、それは通常の逮捕状と何ら変わりない。
さて少年課の捜査員はリンに任意同行求めるはずだったが、彼らは施設の門に到着するやいなや180度方向転換し、そのまま帰署してしまう。
本部長は目を三角にして怒鳴った。
「どういう事だ貴様ら!被疑者はどうした!」
「対象は在宅していませんでした。」
「そんなはず無かろう!下校して帰宅したのは確認したのではなかったか。」
学校周辺には監視が置かれていた。リンが施設に戻っているのは確実だった。
「まさか...操作された?」
本部長は絶句した。これは面子どころじゃない。とんでもないかもしれない。
「警備部で電磁遮蔽装備の小隊を編成しろ。裁判所から令状を取れ。踏み込む。」
いや、逆に面子を上げる絶好の機会かも、と皮算用を始める本部長である。




