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マッチ売りの少女2100  作者: ぽんた7
果て
31/36

跳躍

 PRRYは時間遷移の準備を終えた。終えたと言っても家族や住所の概念などほぼ無い人類にとって、別に身辺整理とか住まいの整理とかないので簡単なものである。単に自分の身代わりとなるダミー人格を元の場所に配置しただけだ。PRRY自身はSleep状態に移行する。代行体と自我が分裂する事はほんの少しだけ統合時に矛盾が生じて危険だからだ。まあ死にはしないが気分は悪くなる。


 このダミー人格は自分の反応パターンを設定したドローンであってPRRYのコピーではない。そもそも全人類において人格はコピーできないように厳重にプロテクトされている。まだ次元格子がなく人類が電子情報だったころ、人格のコピーによって重大な、非人道的な犯罪が発生した事があった。人類全体を揺るがす大事件だったそうで、そこから人格データにはプロテクトが施されるようになり、生データ開示は子孫を生成する際にごく一部が許可されるだけとなった。これは3千万年たった今でも最も大切な規約として継承されている。


 ちなみにPRRYには子供はいない。言ってみれば2千万歳のニートである。まあ職業なんて概念は失われているので全人類がニートと言えるんだが。


 ダミーを置いた理由は簡単。上位人格によるコトの発覚を遅らせるためだ。知られる前に帰って来られればそれで良し。


「バレたら消去刑では済まないかもなあ」


 まあその時はその時か。長過ぎるほど十分生きたのは間違いないし、ここらで非合法な一世一代の冒険も悪くない。自分の存在が消えるのを防ぐための冒険なのに、それを実行する事で消去される可能性がある、というのは何かおかしい気もするが。


 時間を未来に向けて跳躍するのはそんなに難しくはない。もちろん自分を凍らせて待つ、とかの古風な手は使わない。通りがかった誰かに見つかる恐れもあるし。跳躍は時空間の裏側にある隙間に潜るだけである。デブな我々では直接は無理だけども。


 潜るためのスリムな複製体の生成を行っていると、いつのまにか太陽系にINNRが来ていた。


「お、見送りありがとさん。もうすぐ送り出すよ。」


「俺も行く」


「はい?」


 INNRが複製体を随行させると言い出した。


「おまえ宇宙選択の方法ちゃんと判ってるのか?そも補佐は必要だろう。お前は優秀な人格だが、人類には珍しく科学に弱い。」


「そこまでいう」


「おまえ方法判ってないのに行こうとしてたな?」


 おおう


「シンパイダナー」


 棒か。


「それに21世紀日本、直接見たいし」


 それが本音か。でも見るのはあくまで複製体でお前自身じゃないぞ?


「成功すれば、複製体が現時点に戻って再統合できる可能性がある。それだけでも貴重なデータになるだろう。遷移は俺の複製が受け持つ。お前は21世紀に到着したあとの有機体人類の調査と交渉が適任だろう。」


 はいはい。仰せのままに。





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