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マッチ売りの少女2100  作者: ぽんた7
果て
29/40

相談

 さてPRRYは21世紀でいう歴史マニアだ。それも地球の電脳化以前の歴史が興味の対象。電脳化が普及を始める前の記録は多くないが残ってはいる。完全に誤謬なく記録された歴史なぞ面白くもなんとも無い、とPRRYは信じている。

 地球周辺の次元格子は電子化はるか以前の電磁波の痕跡をとどめていて、それを彼は読む事ができた。そのため普段から太陽系の外縁を漂っている。


 彼は彼の祖先を特定している。しかしある時問題を発見した。記録が何故か2つあって片方は彼につながる家系で、もう一つは系譜が断絶しているのだ。当時のインチキ家系図業者がでっち上げた系譜と違い、次元格子の記録に間違いはありえない。そうすると何故このような矛盾した記録が複数あるのか。


 PRRYにはわからなかった。


「INNR-iN7!nC5wGwtXq%GunDPoqwTmY、起きてる?」


 会話用に新たな人格Threadを生成して、割と親しい知り合いであるINNR-iN7!nC5wGwtXq%GunDPoqwTmY(以下INNR)に話しかけた。ちなみに会話に割く以外の他の膨大な人格Threadではそれぞれ趣味の研究を続けたり次元格子のメンテナンスをしたりしている。彼/彼女はPRRYより5万年ほど年下だが今や些細な差だ。


「いや我々寝ないでしょ。どした?」


 返答はすぐに帰ってきた。位置情報は銀河系中心付近、上位人格がエネルギー供給のためにここ2万年ほど駐留しているブラックホールのそばだ。彼は上位人格のメンテナンスを(ごく一部だが)趣味で請け負っていた。次元構造について詳しい。ついでに人類電子化に詳しい。うってつけの友人だ。


「うん、今太陽系近傍にいるんだけど。次元格子の残留データが2つあって、それぞれに不整合があるんだ。どうにもわからなくて、専門家のINNRに聞いてみたいと。」


「ほほう。どれどれ...(データ送信:3ナノ秒)...うーん、21世紀末か。これは興味深いね。我々の基礎が構築された最も重要な時代だ。」


「我々のデータに間違いがあるなんてめったにお目にかかれないからねえ。なにかわかる?」


「ちょっと時間くれ。(2日経過)これはヤバたにえん案件かもしれない。」


 なんだヤバたにえんって。(検索:2フェムト秒)21世紀にはやったギャル(検索:1フェムト秒)の流行語か。


「おまえ古代日本語好きだよなあ。で?」


「古代日本語は宇宙のあるかぎり常に最新トレンドだ、えへん。それはそれとして次元格子に歪みがあるみたいだ。21世紀にほんの小さな時間のクランチがある。」


「砕けた時間?時間の潰れ?自然現象ではあり得ないよね。まさか人類以前に時間を操作できる種族がいたって事?」


 そんなはずはない。それなら人類と邂逅してないわけがない。


「いや、もちろんお前が考えた通りだ。つまり人類の誰かが時間遡行したんだ。草」


 なんだ草って。(検索:4フェムト秒)21世紀にはやったネットスラング(検索:1フェムト秒)か。なんか人格Threadの入出力ストリームに速度変位が出てきたな。これはイライラしてる状態だな。INNRの性格は何万年たっても相変わらずだ。


「そんな馬鹿な。時間の移動は時空間ごとロックされてるだろ。上位人格以外にロック解除は不可能だし、解除するわけもない。お前に合わせれば(検索:12フェムト秒)草不可避ってとこだな。」


 イライラ回避にはイライラを返すに限る。


「これPRRYの先祖に関するデータだな?上位人格にバレたら不味い事になりそうだ。ちょっと内密に調べてみよう。何か判ったら連絡するよ。んじゃ。」


 最後までINNRはふざけて接続を切る。それが不死に飲まれない彼なりの秘訣なんだろう。





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