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マッチ売りの少女2100  作者: ぽんた7
橋の下の灯
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イマジナリーフレンド

 燈子に引き取られたリンは5才になった。燈子といっしょに、歩いて数分の保育園まで毎日元気に通っている。生後すぐに死にかけたせいか若干発育は良くないが、それでも形の良い頭部、大きめでくりくりした目、黒い綺麗な髪の毛をストレートのボブカットにしている。贔屓目抜きに可愛いと思う燈子だった。私の遺伝子じゃなくて良かったわね、と考えて苦笑してしまう。


 ある日、保育園から帰ってきて夕飯までの時間を居間で過ごすリン。燈子はリンを迎えに行っていっしょに帰宅したあと再度所要で出かけていてまだ帰ってきていない。


 ソファーの上にうつぶせに転がって絵本を読むリンの目の前に、突然体長20cmくらいのヌイグルミが現れた。

 それは子馬のようで、黄土色の体に赤いたてがみ、青い目に黒い鼻。可愛い中に凛々しさも交じる、そんな出で立ち。


「おうまさん!」


 リンは飛び起きて捕まえようとした。抱きつく寸前、だが避けられてしまう。


「うごいた!」


 目を丸く見開くリン。もう一度捕まえようとするもするっと逃げられてしまう。しかし遠ざかる訳でも無い。しばらくキャッキャっと追いかけっこしていた一人と一頭?であったが、捕まらない子馬に次第に機嫌が悪くなるリン。それを見てやり過ぎたと思ったのかヌイグルミはリンの膝にポフン、と飛び乗った。


「はじめましてリン。」


「しゃべった!」


「私の名前はポリーという。」


 可愛らしい見た目に反した大人っぽい口調。しかし幼いリンにはわかるはずもなく。


「ぽりーさん?」


「そう。君との経路を構築、いや、あー、ともだちになりたくてやってきた。」


「おともだち!」


 保育園にも友人はいるが、馬のともだちは初めてだ!はしゃぐリン。


---


 夕方になって燈子が帰って来ると、リンは嬉しそうに「おかあさん、ともだちできた!ほら、ポリー!」と報告してきた。


「あらまあ良かったわねリンちゃん。保育園のお友達?」


「ちがうよ、ここにいるよ!」と足元の床を指差すリン。


 燈子には見えなかった。


「ポリーさん?はどこにいるの?」


「ほらほら、ここにいるよ?」


 もちろんリンの指差すあたりには床しかない。燈子はすぐにこれはイマジナリーフレンドという奴だ、と気づいた。

 しばらく無言でリンを見つめる燈子。イマジナリーフレンドって孤独感とかそういう心に問題がある時に見えるのよね。私は母親としてちゃんとやれていないのかしら、何かリンの心に負担がかかってる事があるのかしら。

 表情に出さず悩むが、ここで即座の否定は悪手だと言うのはわかる。


「ごめんなさいリンちゃん、お母さんには見えないみたいだわ。でもそこにいるのよね?」


「うん」


「はじめましてポリーさん?私はリンの母の燈子といいます。よろしくね?」


 とりあえず芝居をしてみる。


「ポリーさんは女の子なの?」


「見えないの?おうまさんだよ?おとこのこ」


 リンの手振りから、どうやらかなり小さいようだ。20~30cmくらい?イマジナリーなフレンド確定だ。何かの精神的な安全弁になってるのだろう、と判断した燈子はその後も話をあわせたが、これを保育園で言い回るのはさすがにまずい、いじめの原因とかになりそうだ。

 保母さんに相談しないといけないわ、と燈子は連絡帳に相談を書いた。送りに行った時に相談、とも考えたが、リンに聞かれそうな場所はちょっとまずいだろう。


 その後リンはずっとポリーと喋っているようだったが、燈子が見たところ一方的にリンが話すばかりでポリーさんはかなり無口のようだった。


「もしかして、遺棄された時に脳に障害負ってたとかじゃないといいけど...うんまあその時はその時だわ。仮想の友達くらい小さな子にはいてもいいわね。」


 燈子は前向きに考える事にした。


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