表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
マッチ売りの少女2100  作者: ぽんた7
マッチと記憶
19/37

忘れていた顔

 その男は人生に絶望していた。家族を顧みず仕事に没頭してきた結果、妻子を失った。自分は家族のために身を粉にして働いていたつもりだったが、妻には伝わっていなかった、よくある話だが自分の身に降りかかればそれは世界の全てだ。特に娘には月に一度しか会えない、それも多分元妻が再婚するまでだろう、と思うと全てを失った気分だ。

 男がバラエティショップでマッチを買ったのは箱のデザインに惹かれたからだ。


 たばこを一本取り出して火をつけようとした。今やタバコの税率は90%だ。世界的に生産量も落ちておりかなりの贅沢品・高額品となっている。しかし離婚して以来男はタバコの量が増えていた。もう金の使い道もないのだ、タバコくらい。

 炎を灯したとたん、浮かび上がったのはまだ保育園に通っていた頃の自分の娘。はじけるような笑顔で自分に飛びついてきた。思わず両手を広げて受け止めようとしてしまいマッチを落とした。火は消え、娘も消える。


「え???」


 何が起こったのかすぐには理解できなかった。呆然とする男。

 しかし気を取り直して改めて考えると、インプラントで映像が見られる時代だ。このマッチにはそういう映像を見せる機能があるんだろうと推察する。

 勿論、自分の記憶がデータ化されている訳はない。そういう研究もあったらしいとはニュースで知ってはいるし過去その研究で事故が起こった事も知っている。しかし自分には関係のない話のはずだ。

そ れ以上は心の壊れた男にはどうでもいい事。深く考えずマッチ箱を背広のポケットにしまって歩き去った。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ