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マッチ売りの少女2100  作者: ぽんた7
橋の下の灯
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夏の終わり

 もうすぐ夏休み。その日は全国的に酷暑だった。授業中窓から校庭を見ても体育はやっていない。危険だからだ。かげろうがトラックから立ち上って白線がゆらゆら揺れている。

 まあ校舎の中は空調されているので大丈夫なんだけど。


 給食が過ぎて午後の授業を受けている時に、教室に教頭先生が飛び込んできた。ざわめく教室。


「桜庭さん、ちょっと職員室に来てください。伊藤先生、後で説明します。」


 尋常な雰囲気ではなかったが、訳もわからず後をついていく。通された職員室で教頭先生は


「おかあさんが病気で入院しました。すぐに病院に車で送りますのでそのまま来てください。」


 後から思い返せば、下校の準備もさせないのは一刻を争う事態であるって事だ。周囲の先生方は理解していたようだが、しかし動転している私には良く判っていなかった。ポリーは無言だったし。


 そして。連れてこられた病院。病室で会ったお母さんは既に息をしていなかった。出先での心不全。2100年になっても突発的な心臓発作に人類はまだまだ無力だった。


 私はその後の事を良く憶えていない、お母さんを抱きしめてわんわん泣いた。お母さんには身寄りは私しかいなかったので葬式は市役所が肩代わり、通夜も告別式もなし、火葬場で直葬。その辺の事情は後から知ったんだけども。火葬場で炉に入っていく棺を引き止めようとすがりつき、結局は引き離されて連れてこられた待合室ではポリーを抱きしめて泣いていた。

 そして、それまで悩んでいた血の繋がった母親かどうかなんてどうでも良い事に気がついた。事実がどうあれ、お母さんは正しく私の母親だったのだ。


 そして家に一人きりになってしまった私は、気がついたら児童養護施設に保護されていた。お母さんに親戚はおらず、引き取り手は一人もいなかったのだ。


 ある程度落ち着いた後で聞いたんだけど、法的にはお母さんの家屋や預金は全て私に相続されるけど、しかし児童養護施設に入らざるを得ないから被相続など無理な話で、裁判所により後見人が選任され私が成人するまで保留となった。そして私の児童養護施設、昔の言い方で孤児院での生活が始まった。





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