表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
AIRPORT 4 : 東京航空交通管制部  作者: Sully Hughes and Jeff Wright
Chapter 2

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
5/26

1

翌日、片山の東京コントロールでの初業務の日がやってきた。朝早く管制施設に到着した片山は、昨日のシュミレーションの成果を胸に、自分のデスクに向かった。隣には北村と中山が、少し離れた席には梶原と伊東がそれぞれの持ち場についている。管制室には独特の緊張感が漂い、片山は深呼吸を一つしてから席に腰を下ろした。


「おはようございます、片山さん。いよいよですね。」


北村の明るい声に、片山も自然と微笑み返す。


「おはよう。よろしく頼むな。」


中山が少し茶化すように声をかけてきた。


「片山さんなら大丈夫ですよ。昨日のシュミレーション、めっちゃ絶好調だったじゃないですか。」


隣にいた伊東が目を輝かせて言った。


「そうですよ。片山さんは僕たちの期待の星です!」


中山が即座に突っ込んだ。


「おい、拓海、初日からプレッシャーかけるなよ。お前もちゃんと準備しろよ。」


そのやり取りを聞きながら、片山は苦笑した。


「期待に応えられるように頑張ります。でも、まずは足を引っ張らないようにするのが目標だな。」


すると梶原が落ち着いた声で話し掛けた。


「片山さん、緊張すると思いますけど、無理せずリラックスしてやってください。」


「ありがとう。梶原さん。」


そこに高橋が現れ、片山の肩を軽く叩いた。


「みんなも片山君に期待しているみたいだな。ま、とりあえず肩の力を抜いていこう。今日の業務は普段通りに進めるが、困ったことがあれば遠慮なく聞いてくれ。」


「ありがとうございます。頑張ります。」



________________________________________



そして業務が始まった。片山はモニターに映し出される広域空域の状況を瞬時に把握し、航空機ごとに的確な指示を送り始めた。


「ANA624、進路を30°に変更、高度を5000フィートに維持してください。」


「JAL823、高度22000フィートまで降下してください。」


片山の声は冷静で的確だった。周囲はその仕事ぶりに圧倒されていた。


北村は片山の迅速な判断と正確な指示に目を見張っていた。


「片山さん、すごい…。」


北村が低くつぶやいた。


伊東は目を丸くして、片山の一挙手一投足を見守っている。


「すごい…片山さん、本当に初日なんですか?」


伊東が思わず呟くと、中山が小声で言った。


「お前、少し落ち着けよ。でも、確かに…初日でこれは信じられない。」


「さすがだな。これで初日とは。」


高橋も少し離れた場所で片山の様子を見守っていたが、その動きのスムーズさに感心を隠せない様子だった。


「片山君、さすがだな。その調子で続けてくれ。」


片山は一瞬だけ高橋に目を向けて軽く頷き、そのまま指示を続けた。


「ANA450、進路を15°に変更、高度を4000フィートに下げてください。」


「スカイマーク312、現在の進路を維持、高度32000フィートまで上昇してください。」



________________________________________



その日の午後、片山の評判を耳にした牧村が様子を見にやってきた。管制席の後方で腕を組みながら、片山の指示を見つめていた。


牧村は高橋に近づき、小声で話しかける。


「どうだい、片山君は?」


高橋は満足げに頷きながら答えた。


「部長、予想以上ですよ。初日からこれだけやれるとは思っていませんでした。」


「流石だ。頼もしい限りだな。」


牧村は片山の様子を見ながら感心していた。



________________________________________



その日の業務が終わると、片山のデスクに梶原、中山、伊東が集まった。


「片山さん、本当にすごかったです!」


伊東が感嘆の声を上げると、中山も続けた。


「いや、本当に驚かされましたよ。俺なんか初日は手が震えて大変だったのに。」


梶原も言葉を添えた。


「ほんとお見事でしたよ。片山さん、お疲れ様でした。」


片山は照れくさそうに笑いながら答えた。


「みんながサポートしてくれたおかげだよ。ありがとう。」


そのやり取りを見ていた北村が、ふと片山のデスクに目をやった。そこには大量の付箋が貼られ、赤ペンでびっしりと書き込みがされたマニュアルが置かれていた。


「片山さん…昨日帰ってからも読んでいたんですか?」


北村が驚いた声を上げると、片山は苦笑いを浮かべた。


「まあ、気になったところを復習しただけだよ。でも、こうでもしないと新しい環境にはついていけなくてね。」


北村は感心したように頷き、

「片山さん、本当に努力家なんですね。すごいです!」

と声を上げた。


その言葉に周囲の中山や伊東も感嘆の声を漏らした。


「いやあ、片山さんには本当に頭が上がらないな。」


高橋も片山のマニュアルを一瞥しながら頷いた。


「片山君、そういう姿勢はすごく大事だ。これからもその調子で頼む。」


その時、中山が冗談めかして伊東に声をかけた。


「おい、拓海、お前も片山さんみたいにマニュアル全部読んだか?」


伊東は慌てた様子で答えた。


「いや、それは…少しは読みましたけど全部は…。」


梶原が笑いながら追い打ちをかける。


「おいおい、お前は片山さん以上に読まないとダメだろう。」


「もう…梶原さん、中山さんまで…。」


伊東が困った顔をすると、みんなが笑い声を上げた。その雰囲気に、片山も思わず笑顔になった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ