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AIRPORT 4 : 東京航空交通管制部  作者: Sully Hughes and Jeff Wright
Chapter 1

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3/4

3

その日の午後、片山はこれからの東京コントロールでの業務に備えるため、シュミレーション訓練を受けることとなった。東京コントロールの業務は広域空域を管理するため、羽田空港のような局地的な管制とは異なるスキルが求められる。片山にとって、この訓練は新しい環境に適応するための第一歩だった。


高橋が訓練室に片山を案内すると、すでに中山、伊東、北村が訓練用のコンソールにスタンバイしていた。シュミレーションルームは広々としており、壁一面に巨大なモニターが設置され、東日本一円の空域が精密に再現されていた。無数の航空機がモニター上で動き回る様子は、現実の業務と見間違うほどリアルだった。


高橋は片山に向かって説明を始めた。


「このシュミレーションでは、さまざまな異常事態や緊急事態を想定して訓練を行う。今日はまず、基本的な流れを確認するため、中山と伊東そして北村に操作を任せる。その後、片山君にも実際に操作を体験してもらう。」


片山は静かに頷いた。


「よろしくお願いします。」


訓練が始まり、まずは中山が指揮を執った。彼はベテランらしく落ち着いた声で航空機に指示を送り、他の管制官との連携もスムーズだった。


「JAL823、現在の高度を維持して進入を待て。ANA451、左旋回後、高度を3000フィートに下げて着陸準備を開始。」


中山の声には自信が満ちており、伊東や北村もその指示に従いながら操作を進めていた。


一方の伊東は、時折ミスをしながらも、中山の的確な指摘を受けて修正していった。


「拓海、さっきの指示のところ、悪くはなかったが、高度が言い間違えていたぞ。」


「すいません!気を付けます。」


伊東は緊張した表情を浮かべながらも、真剣に取り組んでいた。その姿に片山は感心しながら見守った。


次に北村が指揮を執る番となった。彼女は明るい表情ながらも、的確な指示を出していった。


「SQ22、進路を10度右に変更。速度は280ノットを維持。次の指示までそのまま待機してください。」


その冷静さと判断力に、片山はかつての山口真奈美を重ねて見た。彼女と同様に、北村も若さに似合わないほどの落ち着きを持ち、周囲から信頼を寄せられているようだった。


高橋が片山に耳打ちした。


「北村はまだ3年目だが、冷静で的確だ。チームの中でも期待されている。」


「確かに。若手とは思えない落ち着きですね。」


片山は頷きながら感心した。



________________________________________



いよいよ片山がシュミレーションに参加する番が来た。片山は操作コンソールの前に座り、ヘッドセットを装着した。広域空域の管制は羽田での経験とは全く異なり、より広い範囲の航空機を同時に管理しなければならない。


最初のうちは慣れない操作に戸惑い、指示が遅れる場面もあった。


「JAL230、進路を90°右に変更してください...いや、待機。」


その言葉に北村が助け舟を出した。


「片山さん、今の状況なら、進路を120°右にして高度を5000フィートに設定した方がスムーズだと思います。」


片山は

「なるほど。」

と呟きながら修正を加えた。


一方で、中山や北村も片山にアドバイスを送った。


「片山君、広域空域では、優先順位を瞬時に判断するのが大事だ。必要なら迷わず待機指示を出した方がいい。」


高橋が助言した。


「片山さん、焦らずに。空港での管制とは違いますから。」


中山も声をかける。


次第に片山はコツを掴み始め、指示のスピードと精度が向上していった。


「ANA450、進路を15°右に変更、高度を4000フィートに下げて進入準備を開始。」


その声には、自信が戻りつつあった。


「すごい片山さん、まるでずっとここで働いていたみたいですね。」


北村が微笑みながら感想を述べた。


「すごいですよ、片山さん。」


伊東も驚いたように声を上げる。


「いや、そんなことはないよ。皆が助けてくれたお陰だ。」


片山は少し照れながら返した。


中山が軽く笑いながら、

「いいですね、片山さん。大分乗ってきましたね。」

と冗談げに言った。


「片山君、やはり経験が生きているな。」


高橋も満足げに頷き感想を述べた。



________________________________________



シュミレーションが終了すると、高橋が全員を集めて講評を行った。


「今日は片山君の初回だったが、全体的に良い流れだった。北村や中山、伊東もよくサポートしてくれた。」


片山は感謝の気持ちを込めて皆に頭を下げた。


「皆さん、ありがとうございました。おかげで新しい環境に少し慣れることができました。」


北村が笑顔で答えた。


「片山さんを見てて、本当にすごいと実感しました。これから一緒に頑張らせていただきたいです!」


伊東も続けて言った。


「片山さんの指示、すごく勉強になりました!僕も早く追いつけるように頑張ります。」


中山も

「空港の仕事とは大分ギャップがあるのに、慣れてきたときの片山さんは、全然違いました!これなら明日から全然余裕ですよ!」

と声をかけた。


高橋が最後に締めくくった。


「ご苦労だった。明日からは片山さんを入れての業務本番が始まる。みんな、引き続き気を引き締めて取り組むように。」


全員が頷き、シュミレーション訓練は無事に終わった。片山は新たな環境での一歩を踏み出しつつあった。



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