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3月に入り、新システムの試験運用も軌道に乗り始めていた。片山たちは何度か課題にぶつかりながらも、それを克服しながら確実に業務へと順応していた。
いつものように朝のミーティングが始まる。高橋が前に立ち、軽く咳払いをして管制官たちを見渡した。
「おはよう。みんなのおかげで、新システムの試験運用もここまで順調に進んできている。しかし、引き続き課題の洗い出しと最適化に取り組んでいく必要がある。」
北村がメモを取りながら、
「具体的にどの部分の調整が残ってまか?」
と質問を投げかける。
「データの処理速度と、一部の情報共有プロセスの最適化だな。特に成田と羽田の連携部分はもう少し調整が必要だ。」
高橋が答える。
「なるほど……。確かに、前回の対応で少し遅れが出ていましたね。」
片山が頷く。
「ピーク時の負荷がどれくらい安定して処理できるか、気になりますね……。」
伊東が呟いた。
その言葉を聞いた中山が反応した。
「そうだな。特にトラフィックが増えた際の負荷分散の仕組みがどう機能するか、しっかり確認しておかないと。」
「セクター移管の流れもスムーズになってきたとはいえ、トラフィックの増加にどう対応するかは、引き続き検討するべき課題ですね。」
梶原も頷きながらと意見を述べた。
「そうだな。今日もその点を重点的に確認していこう。じゃあ、今日もよろしく頼む。」
高橋がまとめるように話し、ミーティングは終了した。
その時、片山の携帯が振動した。画面を見ると坂本からの着信だった。
「久しぶりだな、片山。」
「坂本か。どうした?」
「お前のところ、新システムの試験運用は順調か?」
片山は小さく笑いながら、
「まあな。色々課題はあったが、何とか形になってきたところだ。」
と答えた。
「そうか、それなら良かった。お前のとこの試験運用、航空局だけじゃなくて国交省も注目してるぞ。」
「そんなにか。」
「そりゃあな。新システムの移行は大きな変革だからな。これが成功すれば、日本の航空管制もさらに進化するって期待されてるんだ。」
「それは責任重大だな。」
「だから頼むぞ。でも、お前なら大丈夫そうだな。」
「……まあ、やるしかないな。」
片山が静かに応じる。
「そういうとこ、変わらないな。でも、それでいいんじゃないか。お前のそういう姿勢が、周りの信頼を生んでるんだと思うぞ。」
坂本は軽く笑った。
「そうだといいな。」
「同期として、お前が頑張ってるのを見ると、俺も負けてられないって思うよ。まあ、これからも頑張れよ。」
「ああ、そっちもな。」
坂本との電話を終えた片山は、深く息を吐いて再び管制室へと戻った。
ミーティング後、片山たちは軽い雑談をしていた。
「なんだか、この1年でみんな雰囲気が変わった感じがしますね。」
伊東がふと呟く。
「そうだな。」
中山が頷く。
「最初の頃は、お前なんか特に緊張しすぎてたしな。」
「それ言わないでくださいよ……。」
伊東が苦笑いを浮かべる。
「でも、確かに変わったよな。なんていうか、チームって感じだな。」
梶原が腕を組みながら言った。
「片山さんが来る前は、みんな必要以上に慎重すぎて、ちょっと硬かったかもしれない。」
片山はそんな話を聞きながら、軽く笑った。
「それはみんなが経験を積んできたからじゃないですか?」
「それもあるかもしれませんけど……でも、片山さんが来て、話しやすくなったのは事実ですよ。片山さんの仕事に対する姿勢見て、私たちも頑張ろうって思えたんです。」
北村が言った。
「そうか。それならよかった。」
片山は少し笑いながら頷いた。
北村は微笑みながら、
「これからもよろしくお願いします、片山さん。」
と言い、
片山もうなずいた。
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業務が始まると、片山は北村たちと共に席についた。モニターには次々と情報が流れ込み、それぞれの役割に応じた対応が始まる。
「JAL502、現在の高度を維持し、進路を10度右へ変更してください。」
北村が冷静に指示を出す。
「ANA723、次のウェイポイントで降下を始めてください。」
伊東もまた、緊張はありながらも前よりも自信を持って業務をこなしていた。
「セクターA12のデータ更新、完了しました。」
中山が確認を取り、梶原がそれに応じる。
その様子を後方から静かに見守る高橋。
「順調そうだね。」
牧村が隣に立ち、同じようにモニターを見つめながら言った。
「片山君たちが支えてくれているおかげだ。」
「これなら、本格運用に入っても問題なさそうですね。」
「そうだな。」
片山はふと、周りを見渡した。
北村は迷いのない声で航空機を誘導し、伊東は少し前までの硬さを残しながらも、確実に自分の判断で指示を出している。中山は周囲の状況を読みながら的確に補佐し、梶原は全体の流れを静かに支えていた。
それぞれが自分の持ち場で互いのを信じ、空を支えている。
片山はその光景を見て、小さく息を吐いた。
この一年で、チームは確かに変わった。
そして、自分もまた、この場所で変わり始めている。
「よし、やるか。」
片山は静かに呟き、ヘッドセットをつけた。
その声に応えるように、管制室には再び慌ただしい通信の声が響き渡った。
AIRPORT 4: Tokyo Air Traffic Control Center




