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「ヤワタ−!!」
俺達とヤワタが話をしていると九喇嘛が慌ててやって来た。
「ヤワタ、そなた怪我は無いか? どこも何ともないか?」
あの九喇嘛が珍しく慌てふためいている。余っ程の事か?
「大丈夫だ、姉貴。
こっちは白無垢が一匹怪我した位だ。
所で姉貴はこの羽の生えた奴を知ってるのか?」
「こいつは厄災だ」
「「「厄災!?」」」
俺達の声が重なる。
「む!? なんだ、コウとさおりもいたのか?」
俺達に気付かないなんて珍しく事もあるな、この厄災と呼ばれた奴がいる事で回りが見えていない程に慌てていたと言う事か。
「九喇嘛はこの厄災と言う奴を知ってるのか?」
俺の問いかけに九喇嘛の顔が曇る。余程の事だ、そう感じた。その後、九喇嘛の屋敷に移動して九喇嘛から色々な話を聞いた。
麒麟を5つに別けた神と同等の力と能力を持つ翁と言う者がいるらしい。
この翁の事を大神とも呼んだりするらしく、強大な力と権力を持っているのだと言う。
その翁の配下にいるのがこの厄災。厄災の名前の通り、こいつが現れた所は跡形も無く全てが無くなるらしい。災の元となる存在、だから厄災と呼ばれているらしい。
厄災と言うのがどういう奴かは誰も知らないらしいが、翁の忠実な犬で翁の命令があれば何処にでも行き全てを破壊し尽くすまで止まらないらしい。
そしてその後はモンスターもいなく草木も生えない状態なのだとか。
因みに厄災は1人でなく、兵隊として何千何万といるらしく、ヤワタの階層来たのがその内のたった1つの厄災などだと言う。
何とも迷惑な奴だ、そう思っていた時九喇嘛に話しかけられた。
「コウ、さおり。お前達はしばらくここには来るな。厄災が動いたのだ、下手をしたら翁が動く」
「その翁と言うとはかなり危険か?」
「ああ、月読神ですら子供扱いだ。
お前達だと会っただけで命が亡くなるぞ」
「分かった、何かあったらライズを使って連絡もらえるか?
俺達に出来る事が有れば手伝うぞ」
九喇嘛が驚いた顔で俺を見る。何か変な事でもいったかな? そう思っていると九喇嘛が笑う。
「ふっ、まぁそんな事が無い事を祈るだけだよ」
その後、秋田のSランクダンジョンを出て、久し振りに秋田の協会支部に顔を出す。特に意味は無かったがさおりが協会に全然顔を出していないから顔を出しておく、そう言ったのでわざわざ来てみた。
すると珍しく赤の魔女が協会支部の受付にいて何やらやっていた。
さおりがそれを見て声をかける。
「お久しぶりです」
赤の魔女が突然声をかけられて驚いていたが、さおりだと分かると直に作業の手を止めて話し出した。
「丁度良いところに来てくれました」
「「え?」」
「ちょっとこっちに来てください」
赤の魔女に引っ張られるように移動する、協会秋田支部の中にあるクラン赤の魔女の部屋にさおりと一緒に通される。
改めて椅子に座り向かい合う。
「本当に丁度良いところに来てくれました」
さおりと一緒に理由もわからずにいるとある物を取り出す。
「これは我々クランで管理しているダンジョンに出て来た物です。
正直にモンスターとは思えないのです」
そう言って見せてくれたのがあの厄災の頭だ。思わず仰け反ってしまった。
こんなところにまで厄災が出たのか。
「コウ君」
さおりが俺の袖を掴んでいる。
「さおりは明日の予定とか有るか?」
「うん、明日からまた研究室にいかないと行けない」
「そうか、なら俺が少しの間こっちに来るよ」
「こっちに居るの?」
「少しの間ね、でも畑は俺が見るから気にしなくていいよ。
それとこれる時は迎えに行く、泊まりの準備しておいで」
「了解」
いくらか考えるのかと思えば直に返答が来た。
「申し訳ないけど一旦帰ってまた俺が来るよ」
「え? 帰って!?」
赤の魔女が?を出している。
「泊まりの準備とか出来てなくてさ、今日は元々日帰りの予定だったから」
「そう言う事ですか。
でしたら明後日はどうでしょう、私もそのダンジョンに入る予定です」
「わかりました。因みに協会の宿泊施設って利用出来ますかね?」
「任せて下さい。私が言っておきます」
でた、本当にクラン赤の魔女は凄いな。高々いちクランがこうまで協会に影響力があるのが信じられないし、どうかと思うよ。
その日は秋田のダンジョンから東京のダンジョンに日翔石を使って帰り、出張の準備をしてから車を使い秋田にとんぼ帰りだ。
高速を使って片道9時間以上は流石に長い、途中途中でSAやPAによってはご飯を食べたり休憩したりしていたが、PAとSAは混雑具合がかなり違って何か面白く感じてしまった。
約束した日に秋田協会支部に顔を出すと赤の魔女がすでに準備をして待っていた。
「おはようございます、コウさんはご自身の車で移動しますか?」
「ここから遠いですか?」
「そうですね、混雑具合にもよりますが40分~1時間位ですかね」
そんなにかかるのか、結構離れた場所だな。
「そんなにかかるんですね、なら自分の車で行きます。後をついて行きますね」
そう言ってクラン赤の魔女の車3台の後について移動する。付いたのは何処か分からない位の山の中にあるダンジョンだった。しかし、こんな所にダンジョンがあったのか? 本当にそう思った。
法律上はダンジョンは誰でも所有が可能だ、ダンジョンを管理運営出来る能力が有れば個人でも団体や企業でも持って良いことになっている。
但し、何か起きた時の損害はダンジョンを所有する個人、及び企業団体がその全ての責任を負う必要が有る。
まぁ、それもあってほぼ全てのダンジョンは冒険者協会との共同管理になってるはずだ。
様々なダンジョンの維持管理費は以外に金がかかる、確かダンジョンも土地税のようなダンジョン税がかかったはずだ。
それをダンジョンから取れる魔石等を販売して補うのだが、採算が取れるとは必ずしも言い難い。
初級ダンジョンではそもそもの上がりが少ない、かと言って東京のSランクダンジョンのようにほとんど入る人がいないダンジョンもあったりする。
つまり、ダンジョンの所有はある種の博打だ。
(何かダンジョンの説明で終わってしまった)




