67.月日は流れ
ゾルゲ族の騒ぎから早6年の月日が流れた。
リーゼロッテは9歳になった。
北の塔の面々に愛されて、心の澄んだ優しい王女になった。
本なしではあるが、魔力は人並以上のものになっていた。
イエルはもう19歳だが、リーゼロッテを何より大切にしていた。
リーゼロッテを守る為に、努力を重ね魔力は
かなりのものとなった。
魔法師団でも指折りの土魔法書持ちになれるだろうとシュルツ卿からお墨付きを頂く程だ。
ウィノラのもとで魔法研究にも研鑽した。
全てはリーゼロッテを守る為であった。
亜麻色の髪と瞳を持つ背の高いイエルは、貴公子と見まごう美青年に成長したので、リーゼロッテと並ぶと好一対であった。
シュルツ卿は既に30代前半となったが、
水の貴公子の二つ名のまま、年月を経ていた。
ウィノラもまた、20代半ばを過ぎ、最早行き遅れと言われる年ではあったが、シュルツ卿との婚約はなされていたため、誰からも誹りを受ける事もなく、日々、無属性の魔法研究に研鑽していた。
エックハルト伯爵を始め、皆がそれなりに年をとったが、北の塔は変わらずの日々を過ごしていた。
ヒーリーヌ王妃はかなり体調も良くなったが、魔力が元に戻る事は無かった。
シュレヒテ侯爵とガリーナはあれから表舞台に姿を現していなかった。
他国へ移住したとか、侯爵領の邸で怪しい魔法を創り出しているとか、多種多様な噂が乱れ飛んだが、真実は誰にもわからなかった。
不安の元凶はもちろんガリーナである。
どれほどの魔力を手に入れたのか。
あの妖しい魔法書でどんな魔法が使えるのか。
産月を延ばした影響がどう出たのか。
そして何をしようとするのか。
何もかもが、不気味であった。




