63.来るべき日
ガリーナ・シュレヒテ侯爵令嬢が上位魔法無属性の魔法書持ちである事はあっという間に
国中に広まった。
無論、シュレヒテ侯爵の手腕であるが、国民の人気はガリーナに傾いていた。
王女を守る面々はそれらを受け流し、粛々と来るべき日に向かい準備を進めた。
一年が過ぎると、ヒーリーヌ王妃は聖魔法を少しづつ操れるようになってきた。
魔力が戻りつつあったのだ。
ある朝、ヒーリーヌ王妃はアルベアト王に告げた。
「今なら一人くらいの逆ペンタグラムを浮かび上がらせる事は出来そうです」
「失敗は許されない。
絶対に大丈夫な状態まで待った方が良くはないか」
アルベアト王の言葉にヒーリーヌ王妃は悲しげに笑って言った。
「これ以上、リーゼロッテが中傷されるのは耐えられません。
必ず成功させてみせます」
ヒーリーヌ王妃の芯の強さを知るアルベアト王は頷いた。
「感謝式を狙おう」
感謝式は魔法書を授けて貰った感謝を捧げる式で、通常魔法書鑑定の一年以内に行われる。
早速、連絡を受けた北の塔の面々は期待と不安が交錯していた。
「神殿内で行うのが良いでしょう」
シュルツ卿の提案に皆が賛同する。
「隠れる場所も多いし、魔力が込められた物がそこかしこにあり、悟られにくいですからね」
ユング子爵も納得だ。
「大神官たちには逆ペンタグラムの目撃者となって貰わなくてはなりません」
シュルツ卿の言葉に皆頷く。
「万が一失敗したとしてもシラを切れば良い」
エックハルト伯爵は、リーゼロッテ王女かわいさに最近はいささか過激だ。
「感謝式は来週末です。
神官長にも確認を取っています。
私とエックハルト伯爵、ウィノラ嬢はヒーリーヌ様の護衛も兼ねて当日は神殿に潜伏します。陛下もおられますので、万が一もないでしょうが、相手が相手です。
油断は出来ませんので、気を引き締めていきましょう」
皆が大きく頷く。
「ユング子爵とイエルは、王女様をお願いします」
ふたりは大きく頷いた。




