表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
棄てられ姫は誰にも愛されない  作者: 鷺森薫
アインホルン王国編
50/70

50.仕掛け


ウィノラは小屋の中の人影に話しかける。

「大丈夫ですか」


証人は無事のようだ。

中の人影はむくっと立ち上がり、扉まで歩いて来る。

大柄の男性のようだ。


「こんにちは、副長」

その男性は外に出ると、シュルツ卿に声をかけた。

大柄で優しそうな人だ、とウィノラは思った。


そう言えば「副長」と言ったようだ。

まさか、とシュルツ卿を振り返ると、

シュルツ卿は済まなそうに笑う。


「ウィノラ、ベンノ・デューラー卿だ。

魔法師団でも有数の白魔法書持ちだ。

ミーナ・デューラー副師団長の御子息でもある。万が一を考えて、この小屋に待機してもらった」


「ベンノ、ウィノラ・エックハルト伯爵令嬢だ」


ウィノラはベンノとシュルツ卿の顔を交互に見て溜息をついた。


「最初から、証人などいなかったのですね」


シュルツ卿は済まなそうに謝る。

「ウィノラには話しても良かったが、何処まで演技力があるかわからなかったので、話さなかった。申し訳ない。貴女は素直な人だから」


褒められたと言う事にしよう、とウィノラは思った。

「つまり仕掛けたと言う事ですね」


「その通りです。

巧みな罠を仕掛けました。

煙と消えた毒蛇は諜報部が追っているでしょうが、おそらく捕縛は無理でしょう」

シュルツ卿は遠い目をする。


「しかし漏洩者は確定しました」

シュルツ卿は辛そうだ。


「本日の仕掛けは、ユング子爵、ファティマさん、クラウゼさんにそれぞれ別の情報を流した事です。

証人の居場所を」


「他の二箇所は、それぞれエックハルト伯爵、デレックスとフォルカーが担当しました」


それであのお父さまが付いてこなかったのね、とウィノラは合点がいった。


「ただ、本命はこの西の森の小屋でした」

シュルツ卿は辛そうに言葉を絞り出す。


「ノア様はどなたかもうおわかりなのですね」

ウィノラは静かに言う。


シュルツ卿は侘びし気に笑って言った。

「ともかく、北の塔に帰りましょう」


シュルツ卿とウィノラ、ベンノの3人は少し先に停めてある馬車に乗り込み、王都へと向かった。


馬車内は、緊張感に溢れてピリピリしていたが、ベンノが魔法師団での面白い逸話をあれこれ話してくれるので、気持ちが和らいだ。


優しい熊さんの様な方だと、ウィノラは思ったが、もちろん本人には絶対内緒である。


王宮内でベンノと別れ、馬車は北の塔へ向かう。


あの3人の誰かが、あちらに情報を流していたなどとは信じたくない事だった。


北の塔は顔合わせから2年半以上も、皆が家族の様に助け合って来た。


信じたくない、ウィノラは今にも叫びそうだった。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ