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棄てられ姫は誰にも愛されない  作者: 鷺森薫
アインホルン王国編
49/70

49.目的


あくる日の事、急にウィノラはシュルツ卿と、王都の西の森近くの小屋へ行く事となった。


その西の森近くの小屋に、前王妃即ちヒーディの母親の出生の秘密を知る人間がいるとの情報が入ったからである。


塔内の情報漏洩問題が疑われる中である。

表向きは、シュナイダー商会でリーゼロッテ王女の衣類や、必需品を見繕うという事になっていた。

ウィノラには姉の嫁ぎ先であるため、目眩しには最適であった。


途中まではシュナイダー商会への道を走っていた馬車は方向転換し、王都西へと向かう。


「今度こそ生きている証人に会いたいです」

ウィノラは悲しそうに呟いた。


シュルツ卿はなんとも言えない顔をして、ウィノラの手を握る。


「今度こそ目的は果たされるでしょう」


王都を抜けて西の森へ向かう道に入ると、シュルツ卿はウィノラをじっと見つめて言った。


「今回もかなりの危険が伴うでしょう。

必ず貴女を守りますので、決して無理はなさらないでください」


ウィノラは頷く。

毒蛇が手を回していれば、シュルツ卿とウィノラ2人でも命の危険があるかもしれない。

御者も魔法師団の精鋭が扮しているが、

敵が何をしてくるかはわからない。


西の森近くで馬車がとまる。

御者に扮した魔法師団の精鋭が小さい声で言った。

「右手に見える小屋がそうです」


馬車の窓から覗くと、みすぼらしい今にも崩れそうな小さな小屋があった。


「あんなところに人が住んでいるのですか」


毒蛇の魔の手から逃れる為とはいえ、あまりにも酷いとウィノラは思った。


シュルツ卿は周りを窺う。

「怪しい人影は無さそうです。

馬車を降りましょう」


襲撃にあった時、馬車をすぐ出せるように

御者に扮した魔法師団の精鋭は馬車に残して、シュルツ卿とウィノラは徒歩で小屋へ向かう。


ウィノラの心臓がドキドキと脈打つ。


「怖いですか」


シュルツ卿の問いにウィノラはハッとする。


「不思議ですが、怖いわけではありません。

むしろ、悲しいかもしれないです」


ヒーディと毒蛇に人生を壊された人間がたくさんいる事が悲しかった。


壊れそうな小屋に着き、扉を開ける。

建て付けが悪く、ギギギと鈍い音が当たりに響いた。


中に誰かいる。

ウィノラが明るい外から暗い部屋の中を覗いているので、姿形が良く見えない。


「どなたかいらっしゃいますか」


ウィノラが問いかけた瞬間、シュルツ卿が小屋に結界を張った。

次の瞬間、小屋に向かって大炎の柱が撃ち込まれた。


ドーーーーン


大きな破裂音がして、炎が弾け飛んだ。


「炎の魔法書持ちだと隠そうともしない」

シュルツ卿が唸る。


「敵は何処だ」


ウィノラは辺りを見回すが、人影はない。

しかしもうこれほどの無属性魔法は使えない筈だ。


「ウィノラ、気をつけて」

シュルツ卿がウィノラを庇うように前に立つ。


「炎には負けないが、どんな手を使って来るかわからないから」


西の森近くから煙の匂いがしたので振り返ると煙はすごいスピードで森の奥へと消えていく。


それを見てシュルツ卿は言った。

「危険は去ったようだ。

流石に姿はみせられまい。

それにしても煙と化して移動出来るなら、恐ろしい事だが」



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