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棄てられ姫は誰にも愛されない  作者: 鷺森薫
アインホルン王国編
47/70

47.山が険しいほど


神官長の言葉に力を得て、シュルツ卿とウィノラ、エックハルト伯爵はリーゼロッテ王女を連れ、北の塔に戻った。


留守番組のユング子爵、ファティマ、クラウゼ、イエル、そしてデレックスとフォルカーも北の塔で待機していた。


「どうでしたか」

ファティマが心配そうに尋ねる。


「お名前はリーゼロッテ様、魔法書は見えませんでした」

シュルツ卿の言葉に待機していた者達が一斉に苦痛に満ちた顔になる。


「しかし、神官長は、リーゼロッテ様には不思議な力があると言ってくれました」

「神官長さまは見えないだけで魔法書はあるのではないか、と言ってくださいました」


不思議な力と言う言葉にイエルが目を輝かせた。

それを見てウィノラが尋ねた。

「イエルが言っていた優しい光って、もしかしたらその不思議な力のことかしら」


イエルは大きく頷いた。


「子どもの感性というのは素晴らしいですな。我々大人は日々の忙しさにかまけて、忘れてしまっている」

エックハルト伯爵が感じ入る。


シュルツ卿は一同に神官長とのやり取りを話し、不思議な力の解明に尽力する事を伝えた。


「それが解明されれば王女様から王位継承権剥奪などという恐れ多いことも回避されますね」

ファティマの言葉に一同はまた一瞬黙り込む。


解明の難しさがどれほどのものか、

毒蛇やヒーディの悪事すら暴けない状況だ。


一同を見回し、イエルが言った。

「王女様を助けるためなら、頑張れます。

僕は王女様を助けたい」


ウィノラが思わず笑顔になる。

「本当にそうです。

山が険しいほど、登り甲斐があるではないですか」


エックハルト伯爵が茶化す。

「歳を取ると、あまりに険しい山登りはなぁ、しかしリーゼロッテ様のためなら、風の魔法で天まで昇りますぞ」


「昇天しちゃダメでしょ」

フォルカーの返しに皆に笑顔が戻る。


「出来ないではなく、やるしかありません。

私たちのリーゼロッテ様のために。

このアインホルン王国の未来のために。

皆さん、一致団結して頑張りましょう」

シュルツ卿は高らかに宣言した。


その宣言にリーゼロッテがキャッキャッと笑ったので、一同に笑顔が溢れた。


「必ず突き止めて見せる」

ウィノラは固く誓う。


皆の心に希望の火が灯ったのだった。



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