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棄てられ姫は誰にも愛されない  作者: 鷺森薫
アインホルン王国編
42/70

42.ふたりの想い


シュルツ卿は今までの経緯を話した。

極秘事項のため、副師団長にも秘匿していた事にウィノラは驚いた。


「そんな事が。

あちらがそこまでするとは」


シュルツ卿はウィノラを促した。

「さぁ、デューラー伯爵夫人にお聞きなさい」


はい、と頷き、ウィノラは尋ねた。

「初めてお目にかかりましたのに、不躾なお伺いをします事をお許しください」


ウィノラは自身の仮説を説明し、新たな仮説も付け加えた。


「つまり、悪意は使い手に返り、

善意も使い手に返る、と言う事でいいのか」

デューラー伯爵夫人は確認した。


「その通りです。

もし、デューラー伯爵夫人の身に起こった出来事をお教え頂ければ、仮説の立証と、あちらの断罪の切り札になります」

「もしかしたら、ご自身に危険があるかもしれません」

最後は声が小さくなる。


デューラー伯爵夫人は大声で笑い出し言った。

「そんな事か。

別に隠し立てしていたわけではないんだ。

あの時はベンノの育ちが悪くてね。

私もあまり体調が良くなかったから、

出来る限りの癒し魔法を使っているうちに

2ヶ月ほど、産月が延びてしまっただけなんだ」

「回りはお腹の膨らみとかで月数を判断して

誤った情報が流れたんだろう」


「もちろん、危険には十分対処出来るから心配要らない。優しい子だね。エックハルト伯爵令嬢は。ノアが恋い焦がれるわけだ」


アッハッハと豪快に笑うデューラー伯爵夫人にウィノラも思わず微笑む。


「その後、お加減が優れないとか、何か異変はありませんでしたか」


「異変と言うか、すこぶる体調が良くなり、気分も上がった。ベンノも同じだ」


ウィノラは、良かった、と頷く。


「証言が必要な時はいつでも呼んで欲しい。

ベンノと二人で駆けつけるから」


有り難い言葉にウィノラは感動し、

「ありがとうございます。お礼のしようもありません」と呟いた。


「あ、礼と言ってはなんだが」

デューラー伯爵夫人はニヤリと笑って要求した。

「ふたりの結婚式には必ず呼んでほしいな」


真っ赤になるウィノラを気遣いながら、シュルツ卿は言った。

「その節には必ずご招待いたしますよ」


ウィノラは何処へ目を向けて良いのかわからなくなり、下を向いたが、その内に、シュルツ卿は「お時間を取らせまして申し訳ありませんでした。それではいずれまた」と挨拶した。


ウィノラも「ありがとうございました」と挨拶して、副師団長室を退室した。


シュルツ卿と二人になったので、ウィノラは

思い切って聞いてみる。


「あの、皆さま、何かもう私たちが、その」

いつものウィノラと違い歯切れが悪い。


「どうも、私の隠し切れない想いが溢れ出て、皆の知るところとなっているようですが、ウィノラには気まずい思いをさせてしまいましたね」


シュルツ卿はご自分が告白されている事をおわかりなのかしら、と疑問に思いながらも、

「気まずいわけではありません。ただ少し恥ずかしいだけです」

とウィノラは答えた。


「貴女の事を大切に思っています。

しかし、私たちはまず王女様をお守りしなくてはなりません。

全てはそれからです」


ふたりの想いも、王女様を守り切ってからの話、ウィノラは大きく頷くのだった。



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