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棄てられ姫は誰にも愛されない  作者: 鷺森薫
アインホルン王国編
24/70

24.調査


アルベアト王は部屋の前に待たせていたお付きの近衛騎士を連れて螺旋階段を降り3階の貴賓室へ向かった。


その部屋は豪奢な内装になっていた。

中央の華麗な長椅子に座ると、エックハルト伯爵がアルベアト王の前でひざまずく。


「構わぬ。立って報告してくれ」

アルベアト王の言葉にエックハルト伯爵が立ち上がり、話始めた。


「王女殿下襲撃に関しまして、諜報部よりご報告いたします」


先月の襲撃後、エックハルト伯爵はアルベアト王に進言した。


忠臣であるベルガー侯爵に対して内々の調査をして、それをベルガー侯爵が知れば、必ず陛下と侯爵の間にヒビが入る。

あちらはそれを見越して、わざわざ土魔法を使用したのは明白であるから、ベルガー侯爵に事の次第を報告してはどうかと。


エックハルト伯爵は、

「ベルガー侯爵を信頼出来なくて誰を信じられるでしょうか」

と、アルベアト王に進言し、

「是とする」との言葉をいただいた。


次の日、シュルツ侯爵家別邸にて、ベルガー侯爵とエックハルト伯爵の密談が行われた。


ベルガー侯爵は土魔法による襲撃に驚きを隠せなかった。


「土魔法の魔法書持ちは、私の知る限り我がベルガー侯爵家の4人だけです」

「しかし、我が一族に王女殿下を襲撃するような不届き者はおりません」


困惑するベルガー侯爵をなだめながら、エックハルト伯爵は言った。

「ベルガー侯爵家に限ってあり得ない事は、陛下も私もわかっております。

だからこそ、こうやってお会いして事の次第をご説明申し上げたのです」


「僅かでも疑いがあれば、お話する事無く調査しておりましたでしょう」


「かつて、あの大災害級の魔物討伐の時、侯爵が妻を庇い大怪我をされた事を私は忘れていません。あなたは信頼できる方だ」


「しかし、奥方を守りきれなかった」

ベルガー侯爵の目に涙が浮かぶ。


「あなただって、大怪我をして命が危険な状態だったのです。本当に感謝しております」

エックハルト伯爵の目にも涙が浮かぶ。


ベルガー侯爵は感謝を込めて、エックハルト伯爵の両手を握りしめた。


「信じていただいてありがとう、エックハルト伯」


エックハルト伯爵はにこりと微笑み、更に続けた。


「ベルガー侯爵家以外に土魔法の魔法書持ちはご存知ないですか。土魔法に似た魔法でも。何か思い当たる事はないでしょうか」

エックハルト伯爵は困り顔で尋ねる。


「何せ、私と娘、そしてシュルツ卿の三人がかりでやっと撃退したほどの強者です」


エックハルト伯爵の言葉にベルガー侯爵が、ハッとする。

「そう言えば、3ヶ月位前に、妙な事がありました」


「妙な事ですか」


「ベルガー領の奥にある山岳地帯の山の一部が突然崩落したのです。原因は不明で、弟が魔法で修復に向かったのですが」


「自然崩落では無かったと言うのです」


エックハルト伯爵は拳を握りしめ尋ねる。

「魔法ですかな」


「いえ、そこまでの確信は持てなかったようで、弟も崩落部分を修復して、そのままうやむやになったままです」


「確か弟君はベルガー領にいらっしゃるのでしたな」


ベルガー侯爵は頷き、約束した。

「至急、弟に連絡して、詳細を調べさせましょう。何かわかるかもしれません」


ベルガー侯爵とエックハルト伯爵は更に固い絆で結ばれ、がっちりと握手を交わし、シュルツ侯爵別邸を後にした。



二週間後に、エックハルト伯爵へベルガー侯爵から連絡が来たため、二人はシュルツ侯爵別邸で再度、顔を合わせた。


「ベルガー侯爵、何かわかりましたか」


ベルガー侯爵が頷く。

「どうやら、領地の外れの山岳地帯近くの村にそれらしき子どもがいたらしいのです」


エックハルト伯爵は驚いて尋ねた。

「子どもですと」


「10歳の男の子です。貧乏で子沢山な鍛冶屋の家の子で、よく小さな岩などを壊していたらしいのです。親は鎌か何かで壊していたと思っていたらしく当然何処にも報告しなかったのです」


話を聞いてエックハルト伯爵は口を挟んだ。

「貧乏と言う事はおそらく神官が魔法書の鑑定をしていないのですね」


「その辺りでは魔法書の鑑定が出来る神官なぞおりませんよ」


魔法書の鑑定も無く、まわりに魔法書が見える者もいなければ、魔法書持ちと気付かない事もあるだろうが、この間の魔法と魔力は桁違いだった。


「親御さんは魔法書持ちだと気付いていなかったと」


「そうです。そこへ王都から突然人がやって来て、その子を下働きで雇いたいと言ってきたらしいのです。時期は崩落の直後です」

「子沢山貧乏ですから、親は二つ返事で了解し、その子を送り出したのですが、その雇い主が」


そこでベルガー侯爵が言い澱んだので、エックハルト伯爵は更に尋ねた。


「誰がその子を雇ったというのです」


ベルガー侯爵は言いにくそうに口を開いた。


「シュナイダー商会だと言うのです」



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