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ひとりの巫女は何を思う。3

廊下に出た6thと呼ばれる巫女は、3rdを求めて病院内を探し回る。

「どこにいったのかなぁ?てか、広すぎてわかんないよ…はっ!

まさか、これが噂に言う、迷子とやらか!私、恐ろしい子………」

と、昔の漫画みたいなイメージの巫女さんはふと角の自販機に目が止まった。

(なんだろう?障子みたいに四角がいっぱい。)

大きな箱を前に片手で肘を持ち、もう片方の手を顎に当てる。

(この黒くて細長ーいの。なんだろう?赤い光がついてて、上のマスには飲み物みたいな絵が描いてある…)

自動販売機の前で頭の上に?を游がせたままの6thの背後から近づく影がひとつ。

6thは近づく影に気づかない様子で、自動販売機とにらめっこを続けている。

さらに一歩一歩、歩み寄り彼女に近づいていく。

その影は手を伸ばし6thの肩へと持っていき口許をあける。

「あの~、もしかして使い方わかりませんか?」

「っ!!!!」

不意に声をかけられた6thは全身がビクッ!っとなるほど体を震わせた。

「なんだたっら、教えましょうか?」

振り向くと、そこには純白に身を包んだ同い年か、少し上の看護婦が立っていた。

尚も看護婦は笑顔で、こちらに聞いてくる。

「何にしますか?珈琲に、紅茶、オレンジジュースに緑茶もありますよ?」

振り向いた彼女の笑顔は純白の天使のようだった。


カチッ………


「あ、ありがとうございます。お茶をお願いします。それとおねいさん♪お近づきに何か良いこと私としません?」

6thが今度は看護婦に歩み寄り、目をギラギラとさせている。

「はーい、お茶ですねー。良いことって、何ですっ!?」

振り向き様にそこで見た巫女は、両手を前に出し、ワキャワキャと音が聞こえてきそうな位の動きで指を一本一本伸びたり、曲げたりを繰り返している。

「何も怖いことはしないよ?ただ、そのニーソとスカートの間の太股とか、その髪をあげたうなじを、その服の下を堪能させてもらえれば……」

「ダメですっ!そんな、女同士でそんこのとしちゃっ、ってどこを見てるんですか?焦点があってませんよ?ちょっと待って、私、わたっ、わっ。」

純白の天使は悪魔に歩み寄られて、声を震わせ涙声で命乞いをしたが、悪魔にそれは届かなかった。

自販機が置いてあるこの休憩室はなかなか人が通らない。

ちなみに、この看護婦は病院に来たばかりの新人でまだ慣れておらず迷子のところ通りかかっただけだったのだ。


「ゲフゥー、タノシカッタヨ!」


悪魔は天使に向かいそういい残し、満足げに満面の笑みで休憩室を後にした。

(もう、わたっ、私。あの人以外ダメになっちゃう……///)

うつ伏せの天使は堕天使と化したのだった。

「さてっと、あの魔女っ娘どこに行ったかなぁ」

その頃、2ndと3rdは病院前に見える海沿いを歩いていた。

「2nd、そのさっきはごめん。」

尖り帽子をかぶった幼女は隣を歩く男を見ずに言う。

「いちいち、子供のすることに大人は腹を立てたりしないもんだ。気にするな。」

優しげな顔で男は隣を歩く幼女を見ずに答える。

「子供言うな!2ndのバカッ!」

「子供に、子供って言って何が悪いんだ?毛も生えてないくせに。」

「なっ!3rdのもじゃもじゃ!毛だらけ!大人かどうかは中身で決まるもんよ!」

「むきになるところが子供だな。そこら辺がアウトだな。」

2ndは前を見たまま笑う。

「ついてくんなっ!このロリコンっ!」

3rdは顔をいぃーっとしながら、隣を歩く2ndに怒鳴る。

「並走してんだから、ついてくるも何も、道沿いに歩いてるだけだから。」

なんとなくだが、2ndと言う男大人げない部分がある。

いじるのに飽きたのか、むきになるのが馬鹿馬鹿しくなったのかしばらく二人は黙って海沿いを歩く。

波や、港が近いのか鳥の鳴き声が続いた。

「そろそろ日が暮れ始めるころだ。今日は雨が降るって言ってたから、戻ろうか。」

沈黙に耐え兼ね、2ndが隣の幼女に話しかける。

しばらく返事が無かったが、隣の幼女は口を開いた。

「ねぇ、私達自分たちの世界が元通りになったら、みんなバラバラになるんだよね?」

そう話す幼女の顔は、何処か寂しそうだった。


今一つになろうとしている世界が元に戻り一人ひとりの生活に戻れば、合う事は二度となくなる。

3rdは元の世界に戻っても、一人なのだから寂しがるのも無理はない。

彼女はこちらに来る前に家族を友達を仲間をすべてなくしている。

それも自分が原因で。

3rdが生まれ育った世界は魔法が盛んな世界だった。

精霊が存在しありとあらゆる干渉を行う。

『火を焚くには火を司る精霊に命令式を与えて火を起こす。』

この世界では全てを精霊に命令式を与えて力をかりて生活している。

街の灯も、噴水から湧き出る水も、料理をする際の火でさえも魔法、精霊たちに命令を与えて行う。

天然ガスや電気といった資源エネルギーを活用しない生活が3rdの住む世界だった。

彼女が生まれた際、街では祭りが開かれた。

その体から湧き出るほどの魔力を見た村長が、『こんな子は二度と生まれてこないだろう。神のように扱い、この街いや、世界を平和に導いてもらわねば。』

彼女の母や父にはそれほど偉大な魔術師ではなく、ごく普通程度の魔力しか持たない程だった。

彼らもどうして自分たちの子供がこれほどまでに強い力を持って生まれてきたのか分からなかった。

「きっと神に愛されているんだろう。でなければ、こんなに強い力を持って生まれてくるはずがない。」

二人はそう考え、3rdを大切に、大切に育てた。

しかし、3年の月日が立ち、彼女の三度目の誕生日の祭りで事は起きた。

祭壇に連れられた彼女は目の前に、自分の前に集まった人たちの顔に恐怖を感じた。

みんな自分のことを見ているが、祭だというのに誰一人として笑っておらず、怖い顔をしていた。

何故なら、街の者達は彼女の強大な力が何時自分たちに降りかかるのか恐れていたからだ。

そしてその祭壇には、母親、父親の2人も上がり彼女と同じ恐怖を感じた。

祭りが始まり、中盤に差し掛かった際に村長が告げる。

「皆の者。よく集まってくれた。この祭りは我らの街の歴史に刻まれ、末永く語り継がれるだろう。」

罵声や、怒号にも似た声が沸き立つ。

「この街に振りかかる厄災が来る前に、自らの手で沈めようではないか!」

祭壇の上にいる3rdを含めた三人が顔を見合わせ、何かがおかしいと悟るのもつかの間、複数の街の者達が3rdの両親を押さえつける。

「村長!これはどうゆうことですか!?」

「離して下さい!」

「お母さん?お父さん?どうして?」

親子が混乱していると後ろで押さえていた男が言い放った。

「この街に魔力の強すぎる子供は悪魔の使いとして語り継がれてきているだろうが!」

(そんな。村長は神様みたいだって。)

「お願いです!私達は殺されても構いません。その子だけは!」

村長は今までに見せたことのない顔つきでこちらを向き言葉を発した。

「黙れ。悪魔を産み落とした異端者共が。油断した頃合いを見ていただけじゃ。この祭りもその為に行っていたんじゃ。」

3rdは言葉が出なくなり、視界が揺らぎ始めた。

すると、祭壇の下から奇声が聞こえ始めた。

「何あの化け物じみた魔力は!」

「早く殺せ!」

「この街に厄災をもたらすものが!」

3rdは街の者達を見ているうちに、自分が立っているのか、倒れているのか、感覚がわからなくなり初めていた。

(こんなことならいっその事みんな死んでしまえばいいのに。)

そう思った瞬間、辺りから声が聞こえなくなり、視界がハッキリしだした頃に3rdは驚愕した。

目の前に広がっていたのは、真っ黒な形をしたものがあちらこちらで横たわったり逃げ惑う様に佇んでいる。

祭壇や街の家々はなく異様な匂いが漂う地獄絵図の様な世界が広がっていた。

3rdは何が起こったのかも分からず、しばらくその場にへたり込んでいた。

「もしかして、私が…?そんな。だって、こんなこと今までなかったのに…」


その場に幼い少女が一人残されたままだった...

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