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転生したらインキュバスでした。せっかくなので男の娘になろうと思います!!  作者: ゆすはらからす
第一章 魔の森

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第二十一話 ルーテシアは浴場で欲情する

卑猥な表現があるので注意してください。

 お店の玄関には『本日貸切』と看板が掲げられた。


 リッタとロッタの二人の双子は慣れない手つきで紅茶を入れる。

 白磁のカップに注がれた濃い黄金色のお茶は湯気と共に芳醇な香りを放ち、人の心を落ち着かせた。


「「お、お待たせしました」」


 二人は緊張しながら淹れたての紅茶をユーリシティアとメルフィーナの前へサーブした。


「はい、よく出来ました〜。でも次からはもっと自信を持って堂々とした振る舞いを意識しましょうね〜」


「うぅー。そんな事言われても……」


「うん、難しいよー……」


 メルフィーナによる指導を他所にユーリシティアは提供された紅茶を一口飲む。

 程良い苦味と酸味、それにお茶自体が持つ仄かな甘みが口の中に広がり、喉を通る。

 一息吐くと鼻には爽やかな香りが残り、気分を落ち着かせる。


「美味しい……」


 ユーリシティアの本心から出た言葉は双子の耳に届き、嬉しさからか尻尾が忙しなく揺れた。


「さ、二人も席に着いて一緒にお茶を飲みましょう〜。今日はバターをたっぷり使ったスコーンもあるわよ〜」


「「うん!!」」


 言われた通りにリッタとロッタの二人はテーブルの席に着き、お茶飲み始める。

 スコーンに甘酸っぱいベリーのジャムをたっぷりと付けて小さな口で大胆に頬張る。

 案の定、二人の小さな口にはジャムがたくさん乗ったスコーンは入り切らず、口元を真っ赤に汚した。


「もう、はしたないですよ〜」


 メルフィーナはやれやれといった感じで二人の口元をハンカチで拭う。

 お菓子を笑顔で頬張る双子とそれを優しい顔でお世話するメルフィーナ。

 その親子のような関係を見たユーリシティアは郷愁にも似た懐かしさを覚えた。

 故郷の森の中にある小さな村の午後、母親と妹に囲まれながらお茶をする。

 ささやかながらユーリシティアにとって確かにそれは幸せな記憶だった。


「ところでユーリシティアさんはどうやってルーテシア様とお知り合いになられたのですか〜?」


「え?うーん、ルーとは……」


 突然振られた話に普段他人とはまったく会話をしないユーリシティアもついつい口が動く。

 久しぶりに感じる暖かな女の子だけのお茶会。

 今だけはいつもの仮面を外して会話に花を咲かせた。


 気がつけば辺りはすっかりと暗くなり、夜の街も騒めき始める。


「もうこんな時間……。早く帰らないと」


 ユーリシティアは日が沈んだ事に気がつき、店を後にしようとする。

 その姿に仲良くなったリッタとロッタの二人の表情は曇る。


「せっかくなので今日はここに泊まっていったらどうですか〜?」


 メルフィーナは妙案だとばかりにぱんっと手を叩き、ユーリシティアに提案する。


「え、でもそれじゃあお店に迷惑が……」


「今日はもうお休みにしているので大丈夫ですよ〜。ね、リッタとロッタもユーリシティアお姉ちゃんともっと一緒に遊びたいよね〜?」


 メルフィーナはチラッと二人へと目配せをする。

 その気配を受け取った双子の二人はぱぁっと顔が明るくなり、うんうんと必死に首を振った。


 可愛い二人の姿を見るとユーリシティアはその願いを無碍にする事は出来ずにメルフィーナの好意に預かる事にした。


 それからはルーテシアの介護もといお世話という名の愚痴を散々聞かされたミレットとエレナも合流し、全員で夕食を作り、それを食べた。

 その夕食会は姦しいものとなり、主にミレットとエレナを中心にした恋バナで会場を盛り上げた。

 その夕食会も終わるとみんなで後片付けをしながらユーリシティアはミレットとエレナの二人に気になっていたルーテシアの様子を尋ねた。


「それでルー、えーと、ルーテシアさんの様子はどうなりましたか?」


「あー、ルーテシア様ですか?もう目を覚ましてますよ?」


「そうなの!?なら早くルーに謝らないと……」


「でも今日はお疲れでもうお休みになられてますので明日の方が良いですよ?」


「そうそう。ルーテシア様ったら今日の事すごく反省してるみたいで、ご飯も食べずにずっと私たちに泣きべそをかくんですから可愛いですよねー」


 ミレットとエレナの話を聞いてルーテシアの無事が分かるとユーリシティアの肩の荷が降りた。

 今日は色々な事が起こったが明日からは元通りに。そうじゃないと危険なダンジョンで背中を預かる事が出来ないかもしれない。

 それは冒険者のパーティとしては致命的だった。


 最後の皿を洗い終わるとメルフィーナと双子の二人もやって来た。

 手には着替えと大きなバスタオル、ついでにリッタの頭にはシャンプーハットが被られていた。


「ユーリお姉ちゃん!一緒にお風呂に入ろ!」


「ユーリ姉の背中流してあげる!」


 元気いっぱいな二人に両手を掴まれお風呂、お風呂とせがまれる。

 困ったユーリシティアはメルフィーナに助けを求めるがどうせならと二人のお風呂をお願いされた。


「下着や寝巻きなどは新しいのがありますので二人をお願いします〜」


「ほら早く入ろうぜ!」


「早く早く!」


「あっ!ちょっと二人とも待って!」


「行ってらっしゃい〜」


 メルフィーナは手を振って風呂場へと向かう三人を見送る。

 残ったミレットとエレナに後の事を任せてメルフィーナは階段を上がりルーテシアのいる部屋のドアをノックしてから部屋へ入った。


「ルーテシア様〜?起きてますか〜?」


 部屋は暗かったので魔道灯のスイッチを押して明かりを点ける。

 メルフィーナがルーテシアの姿を探すとルーテシアはベッドの上で三角座りのまま顔を伏せ、まだ悶々としていた。


「メル……。ユーリ先輩は?」


「ちゃんとおもてなししてますよ〜?それどころかリッタとロッタの二人の相手をしてもらって助かってます〜」


 メルフィーナはそう言うとルーテシアの隣へと腰掛ける。

 メルフィーナの言葉を聞いて安心したのかルーテシアは隠していた顔を上げる。

 その顔は散々泣き腫らした後なのか涙の跡が残る。


(ああ、もう!この方ったら〜……。そんなかわいい顔をされたら食べちゃいそうになるじゃないですか〜!)


 メルフィーナの目に魔性が宿る。

 ルーテシアの顔にそっと手を添えて涙の跡を親指で拭う。


「メ、メル?」


「気づいていますかルーテシア様?」


「な、何が?」


 メルフィーナの息遣いの音が聞こえる。

 普段閉じている目は見開き、その瞳は黄金に輝く。

 降りかかる吐息は甘い香りを漂わせ、その唇は今にも貪りたいほど蠱惑的だった。


 ルーテシアはその妙齢の妖艶な仕草のメルフィーナから目が離せず、まるで金縛りにあったかの様に指一本も動かせなかった。

 メルフィーナの唇が近づいて来る。

 ルーテシアも受け入れたかの様に目を閉じて流されるままメルフィーナを受け入れようとした。


(ああ、僕のファーストキスはメルに奪われるんだ……)


 ルーテシアは意を決するがその時は中々来ない。

 焦らされたルーテシアは仕方なく目を開けるとメルフィーナはルーテシアの唇に人差し指を押し当てた。


「なーんて、冗談ですよ〜」


 まるで子犬を揶揄うかのようにメルフィーナはルーテシアを弄んだ。

 餌のお預けを食らったルーテシアは目を丸くし、腰を抜かしたかのようにペタンと後ろに座り込んだ。


「ルーテシア様。あなたの淫魔としての素質は素晴らしいです。その漏れ出た少しの魔力で私をここまでさせるのですから……」


 そう言われてルーテシアは自分の微量ながらインキュバスとしての魅了の魔力が漏れている事に気がつく。


「ご、ごめん。メル」


「いえいえ、ルーテシア様も身なりは女の子ですけど中身は男の子ですからね〜。その……、溜まっちゃうのは仕方ないです」


 目を逸らすメルフィーナの言葉に自身の身体の変化に気がつく。

 堪らずルーテシアは両手で股間を塞ぎ、前屈みになった。


「本当は私やミレットたちがお相手すれば事足りるのですが申し訳ありません。どうやら私たちではルーテシア様のお相手になれそうにないみたいです〜。ルーテシア様の吸精の能力が大きすぎて私たちが相手だとこちらが干からびてしまいそうです〜」


「あ、謝らないでメル!全然気にしてないから!これくらい一人で何とかなるから!」


 ルーテシアはユーリシティアと初めて出会い、淫魔として本格的に覚醒し始めている。

 初めて性欲というものをこの時意識した。

 そして度重なるユーリシティアへの接触により、体は男としての生理現象を引き起こしていた。


「では私はこれで失礼しますね〜。あ、あとお風呂には入ってから寝てくださいね?スッキリすると思いますよ?」


「うん……。ありがとう、メル……」


 数刻後、ルーテシアは言われた通りに風呂場へと向かう。

 ふと時計を見る。

 ルーテシアがウジウジとしていた時間はかなり長かったらしく今はもう夜更けと言って良い時間となっていた。


「あ、ルーテシア様!お目覚めですか?」


「うん、お風呂に入ろうと思って」


 途中、まだ働いていたミレットに声をかけられる。


「そうですか、それは良かったです。着替えは風呂場に置いてあるのでそれを着て下さい」


「分かった。ありがとう」


 そう言うとミレットはルーテシアに対して親指を立てた。

 ルーテシアは不思議に思いながらも再び風呂場へと歩きだす。


「ちなみにお風呂はユーリシティアさんが入った後ですよ……」


 どこから現れたか分からないがエレナに突然耳打ちされる。


「え、ユーリ先輩が!?何で!?」


「何故ってユーリシティアさんが今日ここに泊まっているからです」


 知らされてない情報をいきなり知らされてルーテシアはエレナに問い詰めようとした。

 しかし、エレナの姿は何処にもなく消え去っていた。


「あの子は忍者か何かか?」


 そう一人ごちるが言葉は虚しく廊下にこだました。

 それよりもルーテシアはユーリシティアが風呂に入ったという情報に心がざわめいた。


(つまり今から僕が入る風呂はユーリシティア先輩の残り湯……)


 そう思うとルーテシアの目は血走り、早歩きになる。

 思春期真っ最中の男の娘であるルーテシアが気になっている女の子が入った後のお湯を使う。

 ルーテシアの頭の中はユーリシティアの入浴シーンが鮮明に再現されていた。


 ユーリシティアの入浴シーンを妄想しながら脱衣所に入るとしっかりと鍵を閉め大きく深呼吸をする。

 脱衣所に充満した香りは石鹸の匂いと女の子特有の甘いフェロモン。

 早まる興奮を抑え服を脱ぎ次々と洗濯かごへと投げ入れる。

 そこでルーテシアは丁寧に畳まれた純白の光溢れる布を見つけてしまった。

 恐る恐るその神々しい布に手を伸ばし、真剣な面持ちでその神秘の布を広げた。

 ピンポイントにフリルが付けられたそのパンツとシンプルなデザインのブラジャーからは確かにユーリシティアの残り香があった。

 その聖遺物を手にルーテシアはそそくさと風呂場へと入って行った。


 その後、浴場で欲情したルーテシアは普段の倍もの時間をかけて長風呂を楽しみ、ベッドの中で深い眠りについた。


 翌朝、みんなの前に現れたルーテシアはツヤツヤとスッキリしており、それを見たユーリシティアはいつものルーテシアに戻った様だと安堵した。


「昨日は随分長いお風呂でしたね〜。スッキリした様で何よりです〜。あ、あとユーリシティアさんの洗濯物は全部夜の内に綺麗にしてお返ししておいたので安心して下さい」


 そう小声でメルフィーナがルーテシアに耳に囁くと顔を赤くしたルーテシアはメルフィーナに対して頭が上がらなくなった。

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