↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヘタれ王子の求婚物語  作者: えるぜ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
26/37

チキチキ!

お仕事学校家事育児、その他諸々生きているだけで立派なこの暑さ

皆様お身体をお愛い下さい

「久方ぶりだね、ジュディ。息災だった?」


アレクサンダーがにっこりと微笑む。勿論、ひょっとしたらジュディスが学院に顔を出してくれるかもしれない、と二学期開始前10日程毎日登校していた事は誰も知らない。結局、ジュディスは2学期のテキスト受け取りの日まで登校しなかった。


「ああ、アレク居たんだ。誰かに会えるかな、と思って」


いい夏だった?とアレクサンダーが穏やかに尋ねる。当然、何故セシリアより前に夏の離宮に誘わなかったのか、と毎晩クッションを抱える日ではあったけれど、いやまだ機会はある、とアレクサンダーは自分を鼓舞した。


「少し………陽に焼けた?」


そう穏やかに尋ねると、え?そう?とジュディスが困ったように両手で頬を押さえた。


「ジュディも日焼け気にするんだ。毎日戸外で剣振り回しているくせに」と、ジュディスの意外な一面を見られたようで、アレクサンダーは小さく笑った。


「私は全く気にしないんだけれどね、ノーザンカレントにいる間中、セシリアに毎晩こってりとお手入れをされて、自領に戻ってからは手を抜いていたから」


そう言ってジュディスも笑い返した。セシリアに、怒られそうだ、そう言葉を続ける。


毎晩、こってり……………


アレクサンダーは、聞き捨てならない一言に思いを巡らせた。するとあれか?セシリアは毎晩ジュディスの綺麗な頬や額にその手で触れてス…………スキンシップを…………


自分の頭上でセシリアが扇を手に高笑いをしている妄想が浮かんで、アレクサンダーはくらりと目眩を起こしそうになった。


やがて、少しずつ面子が揃い始め、最後に「王子部屋」にやって来たのはセシリアだった。


「ジュディス!久し振り!会いたかった」


そう言ってセシリアはいきなりジュディスに抱きついた。目を剥いたアレクサンダーが見ていると、ジュディスもまた両手を広げてセシリアの肩を抱きしめているではないか。何なの?オマエら、とアレクサンダーは思った。1学期とは空気感がまるで違う。姉妹のよう、と言うよりも久し振りに会えたカレカノのようではないか。アオハルか!?と思わず突っ込む。

ジュディスは勿論、自分の事もそうだろうけれど、セシリアが本当に今の言葉を投げ掛けたいのはカイルだ、と薄々気が付いている。ジュディスは、だからセシリアを思い切り甘やかす。その様子が側から見ればまるで慕いあう少年少女のようだ、とは2人共気づいていない。


………2学期こそは!そうアレクサンダーは誓った。2学期こそ巻き返してやる。それに2学期は………


「そういや、今学期は学院祭があるよねえ」とモーリスがぼんやりと呟いた。


「でも、うちの学院祭ってあんまり盛り上がらないって聞いた。経営科の公開討論、騎士科の模擬試合、淑女科の喫茶、魔術科の打ち上げ花火………」


教養科に至っては展示発表である。

いやだが、とアレクサンダーは思った。後夜祭にはダンスパーティがある!


………そうだ、ジュディにドレスを贈ってダンスを申し込もう…………


アレクサンダーが心の中だけでにんまりと笑ったその時、ミッシェルが口を開いた。


「…………今年の騎士科は違う」


え?と全員がミッシェルに視線を向けた。


「俺さ、この夏は領地に帰らなかったんだよ。それで、王都にいる騎士科連中と毎日つるんでいるうちに学院祭の話になって、盛り上がっちゃってさあ」


勿体をつけて間を置く。


「一口5000ゴールド。10口買えば一口の10倍。名付けて『チキチキ!レディ・ジュディスと踊ろう騎士科公開ダンス!』」


5000ゴールドと言えば子供の新年ゴールド程度の金額である。

でさ、1学年90人、3学年で凡そ300人だろう?1人一口買ってくれても、ドレスの1着くらい新調出来ると思うんだよね………とミッシェルの説明は続く。どこぞの世界の握手券のような物である、と皆が理解をした。


いや待てミッシェル、ドレスを贈るのは俺だ!と殺気を飛ばした所でセシリアが口を開いた。


「でもそれ、女生徒にとって何の面白みがありますの?女生徒がくじを引き当てたら、男子の礼装を作って下さるの?」


セシリアの質問にミッシェルは首を横に振った。


「いや、あくまで主眼はジュディの女装だから。その代わり、女生徒は女生徒で一箱にまとめて、ジュディのドレスをデザインする権利と、当日のヘアメイクの任を与える!」


ふうん、とセシリアは思った。中々悪くないかもしれない。ジュディス様ファンクラブの誰かがくじを引き当てたら、クラブ活動としてみんなで楽しくデザインが出来る。ファンクラブに入っていなくても、おしゃれが好きな娘(こ)、裁縫が好きな娘、美術好きにも受けるかもしれない。


分かったわ、とセシリアが頷いた。


「ねえ、ちょっと良いかな」


そこで初めてジュディスが口を開いた。


「……私がドレスを着ても、それは『女装』とは言わないと思うんだ」


そこ!?と全員が突っ込む。


「いや、確かに『女装』は言葉のあやだけれど、綺麗に化粧をしてドレスを着たジュディを見たい、と言う需要は絶対にある!何しろ『チキチキ!レディ・ジュディス』だからな!」


ミッシェルの断言にジュディスはそうかなあ、と力無く首を振った。




読んで下さってありがとうございます^_^

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。