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第4話 メリーさん

詰め込み過ぎましたかもしれません。

「ねぇしってる?」


 彼女はいつも通り。

 火のついた蝋燭の前で語り始める。


「とある少女が、外国製の人形にメリーって名前をつけて可愛がっていた。

 でも、家を引っ越す時要らないおもちゃを捨てたんだって。

 その夜、知らない番号から電話がかかって来たの。」


『私メリーさん。今、ゴミ捨て場にいるの。』


 それから電話のたびに、メリーさんは近づいてくる。


 ───「メリーさん」


「気をつけてね。

 そのメリーさんは、確実にあなたの場所を知っていて狙っているから。」


 少女は声を落とす。

「背後は特に……」


 ―――――――――――――――――――――


 ─県内に引っ越して来た少女。自宅で不可解な死─


 少女の側には血のついた人形と刃物が──


 T県の住宅で突如、自分の娘が倒れているのをご両親が発見し通報。


 引っ越してばかりの少女の一家は要らなくなったおもちゃを処分していた。


 ご両親は、近隣住民の挨拶回りで不在。

 少女はゴミ捨て場に行った後、家に戻ったと通りかかった人が証言。


 その後、自宅で死体として発見された。

 近くには捨てたはずの人形が置いてあったそう。


 操作は難航。未解決事件として今も語り継がれている。


 ――――


 学校終わり。

 景太は、事務所に訪れる。事務所の鍵は念の為予備を持っているので誰もいなくても入ることができるのだが。


(いない。)


 リリーには依頼と言われており、

 訪れたのだがどうやら化けぎつねも同様いないようだ。


 そのとき、

 事務所の奥にある押入れから、なにか物音が聞こえる。

 いつもは、リリーと化けぎつねの言い争いでかき消されているが。

「霊か?」

 景太はそんなことを思いつつ、開けてしまった。


 そのとき、なにやら子犬のような見た目で、金色の毛並みが特徴的。

 狐のように耳がピンっと立っている。

 さらには、瞳の色は紫色。

 見たことがない動物が、ちょびちょびと押入れから出て来た。

「……」

「……」

 目と目が合うがお互いに無言。


「何見とんだ、ワレ。あぁ?」

 第一声、めちゃくちゃに性格が悪い。

 だが、それ以前に。


(喋った!!)


 一瞬疑ったものの、はっきりとその子犬は人の言語を喋ったのだ。

「えっと、あなたは?」

 思わず質問を投げかけてしまう。

 だが、子犬?は冷静に答えた。


「雷獣だ。」


 身体をぶるぶるとさせながら、雷獣と名乗るその子犬?は毛繕いを始める。

「へー。妖怪?的なやつなんだ。」

 景太は謎に納得した。

 子犬はその様子を見つめながら、口を開いた。

「にしても、お前よく俺を見つけたな。

 それに、よくぞ出してくれた。届かなくて出れなかったんだ。リリーはいないのか?」


 雷獣は可愛らしい声でそう言って辺りを見回す。

「俺もリリーさん。探してたんだけど、居なくて。

 知らないの?」

「知るわけねぇだろ?………ん?」

 雷獣は何かを見つける。


 それは、机の上に置かれていた一つの人形。

 なにやら古く、海外製のようだった。

 景太と雷獣はそれに近づく。

 すると、そこには一枚の付箋に文字が。


「廃棄予定」


 とだけ書かれている。

「よし、捨てよう。」

 景太はその人形をゆっくりと持ち上げる。


「お前以外に行動力あるな。」

 雷獣はその様子に少し驚いた。

 そうして、景太の肩に乗り二人は少し先にあるゴミ捨て場へとその人形を持って向かった。


 ―――


 ゴミ捨て場の前に、景太そっとその人形を置く。


「これでよし。」

「よかったのか?

 何も言わずに捨てちゃって。」

「まぁ、いいんじゃない?

 廃棄予定だったし、」


 景太達はそうして、その場を離れる。

 すっかり夜になり、二人はテレビやスマホを見て

 リリーの帰りを待っていた。

 そのとき、着信がかかる。

 知らない番号であるものの、景太は思わずでその電話に出てしまった。


『私メリーさん。今、ゴミ捨て場にいるの。』


 その一言で、電話は切れてしまう。

「……えっと、、え?」

 景太は困惑する。

「どうした?」

 雷獣は心配そうに問いかけるも、景太は焦っていた。


 メリーさん。その名前は都市伝説の中でも有名であり、景太も知っていた。

 まさか、この事務所にそれがいるとは。


(警戒すべきだった!

 なんなら、雷獣とかわからないのもいるし!)


 景太は罪悪感と共に後悔したのだった。

 ここ最近危機的状況に晒され過ぎていた。つい、緊張感が抜けてしまったのかもしれない。


 とにもかくにも、すぐに雷獣を連れてすぐに玄関など、事務所のありとあらゆる扉の鍵を閉める。

 入って来ないようにだ。

 だが、そんなのメリーさんには通用しない。


「ど、どうした!?」

「メリーさんがくる!」

 混乱する雷獣に、焦り早口でそう話す景太に、雷獣はため息をつきながら呆れる。

「なんだ。メリーのやつか。

 下っ端だな。そんなの怖くない。」

「なんでそう言えるんだよ…」

「俺は、S級怪異なんだ!……元だけど、」


 ちょぼちょぼと歩きながら、胸を張ってそう宣言する。

 事務所内には静寂が訪れた。


「元なんだ。」

「元だ。」

「まぁ、あまりS級とかよく分かんないんだけどね。」

 そのときである。

 またしてと着信がかかる。

 今度はスマホを取るよりも早く勝手に、繋がってしまう。


『私、メリーさん。今、公園にいるの。』


 そうして、またすぐに切れてしまう。

 質問しようにもそんな時間はないようだ。


「まずい、公園ってもうすぐそこ!」

「まぁ、、逃げるぞ!」

「鉢合わせになるかも!」


 お互いにパニック状態。

 雷獣には元S級の貫禄すら見えない。

 さっきの静寂は嘘のように騒がない事務所になる。

 そんなとき、またしても着信がかかる。


『私、メリーさん。今あなたの事務所の前にいるの。』


 そうして、また切れてしまう。

「「……………」」

 あまりにもペースが早すぎるあまり、お互いに整理が出来ていない。

 そんなとき、景太はあることを思い出す。

 リリーは能力がないのにも関わらず除霊をしている。

 魔法は使えるらしいが、この世界ではダメだ。


 つまり、無能力者。自分にだって、出来るかもしれない。

 景太はそう思い、すぐにリリーが持っていた弓と矢を事務所内の至る所を探す。

「……ない!」

「何してんだよ。」


 机の引き出しを漁る景太に向かって、雷獣は心配そうに見つめている。

 だが雷獣もすぐに理解し景太に告げる。


「勝手に出現するって言ってただろ?

 それにあれは、リリーっていうエルフによる強力で特殊な霊力……それと、契約によるものだから。

 この事務所には無いぞ?」


 そのときである。


『私、メリーさん。今あなたの後ろにいるの。』


 掠れた声、張りのない無気力で不気味な声が背後から聞こえる。

 冷たい雰囲気、冷たい鉄のような物が首にふれている。


「お、おい……」


 雷獣には姿が見えていた。

 鋏を持ち、血だらけで割れた顔の人形が景太の背中にくっ付いているのが。


 それは、先ほどゴミ捨て場ではっきりと捨てた人形だった。

「……えっと、、」

 景太は言葉が詰まる。

 鋏はゆっくりと景太の首に向かっていく。


 雷獣は動くことができなかった。

 今動いたら、逆に景太がやられる。

 人質になってしまっているのだ。


 だが、玄関の方から微かに足音が聞こえる。

 それは、だんだんと近づいて来て。

 その時、勢いよく事務所の扉が開きそこから”何か”が飛んでくる。


『……!』


 メリーさんは慌てて避けるものの、その”何か”の2発目が飛んでくる。


(まさか、矢!リリーさん!)


 景太は心の中から安堵した。

 矢を放ち除霊しに来てくれたのかと思ったからだ。


「シュークリームシュート!!」

 リリーは足を高く上げまたしても”シュークリーム”を投げ飛ばす。

 雷獣と景太は思った。


(何してんのこの人。)


 3発目のシュークリはメリーさんの頭にヒットした。

 そのとき、メリーさんは俯きながら怯む。

 リリーはそれを見逃さない。

 リリーの手の甲が光る。

 しっかりと今度は、その弓で狙いを定め、矢を放つ。

金行(かぎょう)!追跡。」


 それはメリーさんの頭に綺麗に命中し、


『くっ、、なんてことだ!』


 白い粒となってメリーさんは消えていく。

 除霊が完了してしまった。

 すると、リリーの後ろから化けぎつねが出て来た。


「なんとか間に合ったみたいだな。すぐ走り出すから驚いだぞ?」

 化けぎつねは、怪人アンサーの時のように耳と尻尾を収納し人間の形になっていた。

「まぁ、なんとか間に合った!」

 景太達は状況が把握できていない。

 そのため、リリーは椅子に座りゆっくりと説明をする。


「元々この人形は曰く付きで、処分を頼まれていたんだけど、狐の窓で見たらメリーさんがいることがわかったんだ。

 だから、化けぎつねと一緒に対処法であるシュークリームを買いに行ったの。」


 リリーは微笑みながら教えてくれた。

 景太はこの笑みに何か安心感を感じた。


「なんで、シュークリームかは知らないけどね。

 投げる時なんとなくしか場所が見えなかったからむずかったよ。矢はなんとか当たってよかった。」


「まぁ、今時筋トレが好きなだけで魔法が使えない奴も好きな食べ物だ。なにか効果があるんだろう。」

 化けぎつねがそう捕捉した。


 そして、リリーは雷獣に視線をやる。

「にしても、、元S級怪異も難しかったか?」

 それを聞いて、雷獣は顔を赤らめる。

「はぁ!?余裕だったし!

 ていうか、動いたら景太がやられると思っただけ……」

「すっかり仲良くなったんだね。」

「うるせぇー!」


 二人が戯れあっている間に、化けぎつねは買って来たシュークリームを机に広げる。


「せっかく買って来たんだ。ほら、お前達も食べろ。」

 そうして、四人でシュークリームパーティを始めたのだった。

 そんな時、ある事が浮かぶ。


「そういえば、階級についてあまりよくわかってないんだけど……」

 景太の頭の中にはハテナが浮かぶ。

 大まかな説明しかされていないためだ。


 それを聞いたリリーは説明をしてくれた。

「ああ、怪異には階級があるっていうのが初めて会った時に言ったと思うけど。

 それを決めているのは、怪異的現象特別協会っていうのが決めてる……」


 怪異に関わる事件を専門的に扱う公的機関。

 警察や国が「怪異が原因」と判断した場合、協会へ依頼が入り、現場は協会へと受け渡される。

 協会はその際現場各地へ所属している霊能力者を派遣する。


 協会は秘密組織ではなく、一般の人々からの依頼も受け付けている。


 日本国内の霊能力者のほとんどは協会に所属している。

 だが、協会を通して依頼を受けると 報酬の半分を協会に納める必要がある。


 そのため霊能力者には2つの働き方がある


 1.協会経由の依頼(報酬は協会と折半)

 2.自分の事務所で受ける依頼(報酬は全額自分)


 どちらも一般的な形であり、個人事務所を持つ霊能力者も珍しくない。


 リリーも協会に属してはいるが、

 霊感ゼロという珍しい体質のせいで馴染めず、個人事務所を設立して活動している。


 協会への所属はあくまで資格、立場として残しつつ、実質の活動は自分の事務所が中心。


 協会は怪異を危険度に応じてランク分けしている。

 A級〜E級:通常の怪異の上限。大多数はここに分類される。

 準S級(4体のみ):A級を超えるが、S級には届かない異常個体。希少。

 S級(5体のみ):最強クラス。別格の強さと危険性を持ち、国家レベルで警戒対象。


 もともとは準S級は存在しなかったが、

 ”A級より明らかに強いが、S級ほどではない”

 という存在が複数確認されたため、後から準S級が新設された。


 そして怪異が稀に使う、空間をねじ曲げるほどの異能力のことを”怪域”と呼ぶ。


 空間や距離、視界を歪ませる。

 結界のように“自分だけの領域”を作る。

 物理法則を一部無効化する。


 など、通常の能力とは桁違いの現象を引き起こす。


 怪域はすべての怪異が“潜在的には”所持しているとされるが。

 実際に発現し自在に扱えるのは S級・準S級を中心としたごく一部 に限られる。


 発揮できるとは限らない

 扱える者はさらに少ない

 使いこなせる怪異はほぼ上位個体のみ


 その性質から、怪域は 怪異における奥義 のような扱いを受けている。


「きさらぎ駅は……」

 景太はふと、きさらぎ駅のことを思い出す。

 電車に乗り、謎の異空間に飛ばされた。


「あれも、まぁ怪域だけど。

 S級はもっと理不尽な物だから。まだまだだね。

 それにきさらぎ駅は、B級。」


「なるほど、雷獣の元S級っていうのは……」

「昔は雷が恐れられていて妖怪や神に近い物がいるとされていた。

 それで生まれたのは雷獣。」


 リリーはそう説明した。

「つまり、人間の噂によって生まれた?」

「基本はそう。

 言霊ってあるからね。勝手な噂によって、怪異は生まれる。それが消えない限り生まれ続けるんだ。

 因みに雷獣は科学が発展して雷が恐れられなくなって、噂を失い今では今ではE級。それと、安倍晴明に昔祓われて弱体化。」


 リリーはシュークリームを口に運びながら、楽しそうにそう告げる。


 それに、雷獣は少しイラついていた。

 そうして、今日も今日とて除霊が終わり賑やかな事務所だった。


 ――――――――――――――――――――――


 少女は話し続ける。


「……シュークリームって美味しいよね。あ、消し忘れ。」


 少女は息をフッと吐き4本目の蝋燭の火を消し、口角を上げる。


「またどこかで、着信がなるかも。

 知らない着信にはでちゃだめだよ?

 メリーさんかもしれないし、でも。

 一番怖いのは人間だからね。」


「じゃあ、次の話ね。

 次はバイクにまつわる話だよ。」


 ──────────────────────


 怪異名:雷獣

 怪異階級:E級(元S級)


 攻撃力:E(元A)

 スピード:E(元A)

 知能:A

 防御力:A

 噂レベル:E(元A)


 怪域:不明。

 種別:妖怪型怪異


 ―――


 怪異名:メリーさん

 怪異階級:B級


 攻撃力:B

 スピード:A

 知能:C

 防御力:C

 噂レベル:A


 怪域:なし

 種別:潜伏型怪異


 リリーメモ:そもそも知らない電話に出んな。




S級怪異はお気に入り。

僕が昔トラウマになった怪異を入れました。一体だけ違うけど。

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