青桜
彼の名前はマオ・トルゴ。
今年15になる旅人初心者だ。
オレンジ色の髪を高い位置で結い上げ、馬の尾のように歩く度に揺れている。
「青桜って洞窟に生えるものだっけ?」
色は違えど桜は桜。
こんな暗い所に生えるわけがない。
「いいから来いって、凄い綺麗だから」
「ふーん」
そうしてマオについていきしばらく行くと、地面に草が生え始めた。普通洞窟には草が生えない。
しかし何故か草が生えている。
「おおお!」
狭い洞窟から開かれた空間へと出た。
そこは天井に空が覗けるほどの裂け目が空き、そこから差す日光を栄養にして育っているらしい。
テレンシオが空を眺めていると、マオが肩を叩く。
「ほら、テレサ。あれだろ?」
マオが指差す先にはテレンシオの背丈よりも少し高いくらいの木があった。
木には花がぽつりぽつりと咲いており、青い花弁だが、形は桜だった。
「たぶんこれだ」
テレンシオ的にはもう少し大きい木を想像していたのだが、それでも青桜は青桜だ。大事に採らせて貰おう。
テレンシオはナイフを使って器用に枝を一つ切ると、それを布に来るんで鞄にしまった。
「なんでこれ見付けられたの?」
「オレあっちから来たんよ」
マオは青桜の生えている向こう側の裂け目を指差した。来た方向とは逆だ。ここを通過してきた際に見付けたらしい。
「依頼完了したから戻るか。そういえばマオ荷物は?」
テレンシオは手ぶらなマオに問いかけた。
旅人してるといっても普通ならば何かしらの荷物があるはずだ。
「荷物-?もちろん埋まってるさ!」
「なるほど」
町に着き次第、こいつも何とかしないとな。
来た道を戻る最中、怪我は大丈夫なのかと訊ねたら、特に問題ないとの事だった。
洞窟から出ると、すでに夕方になりつつあった。
これは野宿だな。
「オレ食べ物獲ってくるよ、だから剣貸して!」
「鶏肉希望」
「居たらね」
武器すらも埋まったマオに剣を貸し、こちらは野宿の準備をする。
といっても、基本火を起こす位だ。
火を着け、大きくしていく最中。
「鳥いなかった-!」
と、マオが兎を取って戻って来た。
兎か、皮は売ろう。
二人で兎を解体して、焼いて食べた。
「こっからどうすんの?」
「とりあえず王都に戻って、この依頼片付けてくる」
「それから?」
「お前の身分証明書作るために稼ぐ」
「え?」
「洞窟もぐって狩りまくって換金してもらうんだ。お前が」
「ああ、オレがね」
自分の分は自分で稼ぎなさい。
「剣は貸すから」
「ありがとう、それだけでも助かる」




