第一訓練所へようこそ①【勇】
一方その頃、テレンシオは狭いトンネル、まるでウォータースライダーのような場所を滑り落ちていた。頭から。
これ、頭ぶつけて死ぬんじゃなかろうか。
「あ、いいこと思い付いた」
剣を頭上に高く上げる。
切っ先は上に向けて。
これなら頭を直にぶつけないからすぐさま死んだりしないだろう。せめて地面か岩に剣が突き刺さって減速かクッションになってくれたらなおさらラッキー。
「折れたら終了だけどな」
そうなったらそうなっただ。
来世に期待しよう。
そんな事を考えている内にトンネルが終了し、テレンシオが穴からスポーンと排出された。
斜めに。
ーーグサッ!
「ん!?」
手にかかる衝撃と音で、剣が何かに突き刺さった感触。そしてグニャンと曲がる感覚がしたかと思ったら、激しく地面に叩き付けられた。
「ぐえっ!?」
ビヨヨヨヨヨと目の前で剣が激しく揺れている。何かに突き刺さっているらしく倒れてこない。いい感じにクッションになると思ったらバネみたいになって地面に叩き付けられるとは。剣に裏切られた気分だ。
幸いにも受け身は取れたからそこまでのダメージはないが。
背中をさすりつつ立ち上がると目の前には綺麗に均された空間が広がっていた。何処かの隠し部屋か?暗い中目を凝らしていると、天井付近に設置されていたらしい蝋燭に火が点り始めた。
「なんだ?ここ」
ーーバシンッ!
「いた!?え!なになに!?」
突然首に何かが嵌まり、痛みが走る。
手で恐る恐る触ってみると金属製の輪が嵌まっていた。何かの罠が発動したのか!?
《ーーージジ……所へようこそ。第一訓練所へようこそ。こちらは隠れダンジョン第一訓練所です。これより剣術の訓練を開始いたします》
何処からか無機質な女の声が聞こえた。
抑揚が少なく、人が話しているとは思えないくらい感情がない。
《ルールを説明いたします。挑戦者、勇者テレンシオ。挑戦者には予め首輪を着けさせていただいています。その首輪は条件を満たさなければ外れません。逃げようとしたり、外そうとしたり、又はやる気がないと判断され次第毒が発射されます》
「ハアアアア!?」
早速外そうと手を伸ばしていたテレンシオが叫ぶ。
《制限時間はありません。この訓練は五つのターゲットを倒しきるまで続きます。なお、ターゲットを一つ倒す度に少しの休息と食料が報酬として渡されます。剣は支給する剣をお使いください。支給する剣は折れ次第新しいものが投入されます。無駄ですよ、その剣は抜けません》
テレンシオは地面に突き刺さった剣を抜こうとしていたが、声に従い手を離した。確かにびくともしなかった。これは一旦従った方が得策かもしれない。得たいの知れないものだが、今は素直に従おう。
手を離すと、空中から突然剣が現れて地面に落ちた。
《それでは、訓練を開始します》
一方その頃
ググルグ達の敵は二体に増えていた。




