第一訓練所へようこそ②【勇】
ポーン。
聞いたこともない音が鳴る。
テレンシオが何処から音がなっているのかとキョロキョロ辺りを見回していると、いつの間にか部屋の奥に影が。
それはシャカシャカという音をさせて迫ってくる。
「…………きのこ」
やって来たのはテレンシオとほぼ同じ背丈のキノコ、ただし根本は蜘蛛のような足が生えている。鳥肌がたった。
テレンシオは蜘蛛が苦手である。
何が嫌って脚が嫌。ついでに言えば動きも嫌。
「あ"あ"ーーーー!!!こっちくんなぁ!!!」
なので、投げた。剣を。
テレンシオの投げた剣はサクンとキノコの笠に近い胴体部分に突き刺さる。突然キノコの頭上に現れた青い棒状の物がみるみる内に短くなり、赤に色が変化すると棒が消失した。
バラリとキノコの形がほどけて消え、残った剣が支えを無くして地面に落ちた。
(あれ?倒した?)
ポーン。
また音が鳴る。
《ルールを追加します。攻撃有効打は“剣で切る”のみです。剣を投げてはいけません》
「そんな追加ルール反則だ!!後だしじゃん拳もはなはなし過ぎる!!次の対戦相手からにしろ!!」
さすがにテレンシオは怒った。
苦手な蜘蛛に対して頑張って倒したのに、後だしルールで反則みたいな言い方されたらそんなに怒らないテレンシオも頭に来るというものだ。
《少々お待ちください》
声が消え、少し間が開いて声が戻ってきた。
《上との相談の結果、先程追加されたルールは次の対戦相手から適用します。ということで、第1回戦、対アルキキノコ、勇者テレンシオの勝利です》
上って誰だよ。
《報酬として、食料と休憩が与えられます。上にある数字がゼロになったときに開始します》
また声が消えると、天井には光る10の数字と、何かの入った包み紙が現れた。
紙袋だ。草紙ではない紙は貴重なのに珍しい。
<草紙>
繊維質が多い葉を糊になる樹の樹脂と水で薄く伸ばし、乾かして紙にしたもの。和紙に似ているが、和紙よりもざらつき色も茶色に近い。
中を見てみると茶色の四角い塊が入ってた。
形は均等ではなく、雑に割られた感じだ。
とても甘い臭いがするが、嗅いだことのない臭いで手を出す気になれない。
しばらく悩み、数字が6になったところで小さい欠片を恐る恐る口にして、あまりの美味さに驚いた。
「あまっ!美味いなこれ!」
何となく元気も出てくる感じだ。
茶色い塊を全て平らげたところで、数字がゼロになり、あのポーンという音が鳴り響いた。
ググルグ戦況状況
エドラゴ二頭討伐、エドラゴ一頭増加、吸血コウモリ五匹増加




