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「このあたりはまだ街からそんなに離れていない。何かあったら兵士か優秀な冒険者が駆けつけてくる」


 危険な匂いはまだしない。子どもや年配の人だけで歩いているグループもある。


「問題は夜になってから、そしてもっと先に進んでから……ということですね?」


「そうだ。言いたいことを言われちまったな」


 街から出たら貼るようにと渡された紋章もまだ貼っていない。こんなところでビクビクしていたら笑い者だ。



「このペースで進めば今夜は宿屋に泊まれる。だがその先は湖の村までずっと野営だ。お嬢様二人に耐えられるかな?」


「……お嬢様?」


「見りゃわかるよ。あんたら、隠してはいるが育ちがいい。細かい振る舞いの一つ一つにそいつが現れているぜ。気をつけな」


 見る人が見ればわかるのか。私の演技やイヴの奔放さでもごまかせないのなら、やはりできるだけ遠くに行くしかないようだ。


「そんなお嬢様どもがこの先の田舎で生活できるのか?余計なお世話かもしれないが……」


「どうにかなるでしょう。人間いざとなればなんでもできます」


 湖の村は今のところ旅のゴールではない。ちょうどいい家や仕事、理想的な環境が整わないとしても、全てにおいて完璧な場所なんてどこにもない。どこかで妥協する必要がある。


 ただしイヴの目指す真の楽園が見つかるなら話は別だ。もしそんなところがこの世界のどこかにあれば、ではあるけど。






「じゃあまた朝に会おう。明日からが本番だからな、しっかり休めよ」 


 この日は皆の予想通り平穏なまま宿に着いた。屋根のある建物、しかもベッドで眠れるのは今日が最後だ。



「………」


「あれ?おねぇちゃん、なにやってるの?」


 街で仕入れたナイフと魔力が詰まった玉を手入れしていた。優秀な護衛がいたとしても、自分で戦わなければならない瞬間がくるかもしれない。その時のために二つの武器を用意した。


「おねぇちゃんなら武器なんかいらないんじゃない?あの張り手が決まれば……」


「そうはいかないよ。大男に野生動物、魔物だっているかも。これでも足りないぐらいだ」


 ナイフはそのまま相手を攻撃し、魔法の玉は集団で襲われても動きを止められる。ナイフを使った戦いは屋敷で少しだけ訓練したことがある。魔法の玉も誰でも使えるということだったから買った。



「おねぇちゃんとくっつきながら寝たいな……抱き合おうよ!」


「今日はやめたほうがいい。また眠れなくなるよ?」


 二日連続で寝不足では致命傷になる。明日からは道が険しくなり、危険も増す。


「平気平気。いっぱい歩いたからすぐ眠れるよ」


 確かにこんなに歩いた日は記憶にない。イヴが全く不満や泣き言を言わずにいるのが不思議なほどだ。



「辛くない?引き返すなら早いほうが……」


 わざわざ内陸に行かず、船や馬車を使った旅を続けてもエデン家から逃げ切ることはできるはずだ。それでもイヴがこの道を選んだのは、確かな希望があるからだ。


「このまま行くよ。わたしたちの楽園はこっちにある……そこでおねぇちゃんといつまでも幸せに暮らすんだから、これくらいの痛みや疲れは全く辛くない」


「……それなら前進しよう。そのためには私もイヴも体力と気力を回復しないと……こうやって!」


 イヴを優しく抱いたままベッドに飛び込んだ。二人とも疲れていたようで、抱き合う以上のことは何もせずにそのまま朝まで眠った。こんな日々がこれからも続けばいいと願っていた。






「ヒャッハッハッハ!こりゃあとんでもない上玉だ!」


「俺たちで楽しむもよし、変態貴族に売るもよし……イヤッホウ!」


 二日目、早くも恐れていた事態が起こった。武器を持った男たちに囲まれ、逃げ場がない。


「あれ?この紋章があれば襲ってこないんじゃなかったの?」


「……おかしいな……どうなっている?」


 この人がわからないのだから、私たちにわかるはずがない。



「お前ら!この紋章が目に入らないのか!?」


「………あ?なんだそりゃ?」


「剣と…盾か?それがどうしたんだ?」


 山賊たちが首を傾げる。全く知らないといった顔だ。


「テメーらがどこの組織にいるとかは関係ない。弱そうだから襲った、それだけのことよ!」


「………」


 山賊たちと護衛を紹介する最大手が組んでいるというのはこの人の勘違い、もしくは被害妄想だったようだ。こうなるとかなりまずいことになりそうだ。



「ふふふ……そうか。大人しく他の連中をターゲットにすればよかったものを……後悔させてやる」


 それでも私たちの護衛は怯えるどころか不敵な笑みを浮かべる。そして剣を構えて戦闘態勢完了だ。


「なりすます必要なんてなかったじゃありませんか。これで悪党どもは散り散りですよ」


「ハハハ!お前たちの安全を考えてのことだった。しかし命知らずのクズどもが現れた……私の剣術、見せてやる!」


 立派そうに見える剣を持っていることは知っているけど、腕前に関してはまだ未知数だ。それでもこんなに自信満々なのだから、山賊を一蹴してくれるものだと思いこんでいた。




「あぎゃっ!」


「………は?」


 あっさりやられた。武器を持たない相手の蹴り一発で沈み、戦闘不能となってしまった。

 どこよりも早い2027年セ・リーグの順位予想


 優勝 横浜DeNAベイスターズ

 2位〜6位 残りのゴミ


 指名打者制の始まる2027年、もはやベイの独壇場でしょう。バントなどの小技は不要、パワーでセ界制覇です。若い先発投手たちや勝負強いリリーフもいるので、投打に横浜が圧倒する一年になります。リーグ優勝の瞬間をこの目で見るまで私は死ねない……。

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