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「失礼します……ん?誰もいない?」
「いや……奥にいるよ。ちょっと待ってくれ、すぐに行くから」
イヴが選んだ小屋の中は、ごちゃごちゃしていて暗かった。すぐに行くと言われて数分経ってからようやく赤い髪の女の人が出てきた。その髪はぼさぼさで、服も大急ぎで整えたように見える。
「えっと……湖の村まで護衛を……」
「おおっ!依頼か!そいつはありがたい、ぜひ引き受けさせてもらおう!」
やる気はあるようでよかった。目の色が変わり、声が弾んでいる。部屋の隅には立派な剣が置いてあって、この人は強い剣士だと期待できる。
「この村までだと山を越えて……日程はこんなものか。これくらいの値段になるが……どうかな?」
「あれ?安い!ぜひお願いします!」
しかも値段も良心的だ。イヴに選んでもらって大正解だった。
「あっちで頼んでたら倍以上取られていましたよ」
「………あいつらのことか………」
最初に行こうとした大規模な施設の話をした途端、目つきが険しくなった。強い怒りや憎しみを感じた。
「この街から先……特に東の内陸側に向かう道は強盗や誘拐犯で溢れている。私たちのような実力者は問題ないとして、普通の人間は命懸けだ」
「そうみたいですね」
「だから剣術や魔法に長けたやつを連れる必要がある。その弱みにつけ込んで法外な値段を要求する……汚い連中だよ」
初めてこの街に来た私たちからすれば、高いとは思いつつもあれが相場だと思ってしまう。危ないところだった。
「私は違う。商売だから利益が出る報酬にしてはいるが、ぼったくりではなく純粋に仕事で稼ぎたいんだ」
素晴らしい人だ。これがイヴの言った『本物』か。明日からの旅への不安はなくなった。
「そうと決まれば早速準備だ。この店は私一人だからな……知り合いに留守番をしてもらう。水と食料はそっちが私の分も用意することになるが……」
「もちろんです。何か希望があれば言ってください」
細かい話が進んでいく。この人を信頼してはいても、いよいよ後戻りはできないというのは確かだ。それでも緊張より興奮が勝り、私もイヴも明日を楽しみにしていた。
「湖に興味があったの?」
「……湖も楽しみだけど……その先かな。エデン家なんかとは違う、ほんとうの楽園がある気がするんだ」
イヴの言う『楽園』が何を指すのか、詳しいことはイヴにしかわからない。ただしこの言葉を覚えておく必要がありそうだ。後になって大事な選択に関わってくる気がした。
「とりあえずそこに着くまでは、仮の楽園を満喫しておこうかな……いただきっ!」
「………っ!!」
昨日に続き、イヴのキス攻撃だ。宿で二人きりの時を選んでいるからまだいいとはいえ……。
「ぷはぁっ!おいしかった!」
「………」
明日からはあの女の人も旅に加わる。場所によってはただの道端で夜を過ごすこともあるだろうから、しばらくはおあずけだ。しかしこのままやられっぱなしではイヴの教育に悪い。
「楽園なら一日中おねぇちゃんと………んむっ!?」
「………」
私のほうからイヴの唇を奪った。私もずっとこうしたいと思っていた。屋敷でこんなことをしたら両親に殺されただろう。
「む――――――っ!?」
唇だけでなく、口の中を舌で舐めていく。これが大人のキスだ。ただし私もやったのはこれが初めてだ。だから私もイヴも、たった今新しい段階に入った。
「……ふぅ。明日の朝は早いよ、おやすみ」
「お……おやしゅみ………」
姉としての貫禄を見せた。ただ、イヴが静かになったのでぐっすりと眠れた……ということにはならなかった。興奮して目が冴え、二人とも寝不足で新しい旅の始まりを迎えた。つまり私のやったことは大失敗だった。
「よし、出発だ……あれ、眠れなかったのか?」
「ま…まあ……」
「安心しろ。私がいれば寝ぼけていても危険はない。しかし勝手に崖で足を踏み外したりされたら私でもどうしようもないからな……」
地図や人の話でしか東への山道のことは知らない。旅の無事と成功はこの人次第だ。
「道そのものはそんなに厳しくない。襲撃さえなければ楽しい旅行になる」
やはり問題は強盗や人攫いか。いざとなったらイヴを守るために私も戦う。そう決意すれば眠気なんて簡単に吹っ飛ぶ。
「じゃあ行くぞ!今のうちに渡しておくが、街から出たらこいつを体の目立つところに貼るんだ」
剣と盾が描かれた紋章のシールを渡された。
「これは?」
「やつらの組織の紋章だ……街一番の紹介所のな。それさえあれば襲われることはないはずだ」
言われてみれば見覚えがある。私たちが最初に行こうとした大きな建物の壁に、この剣と盾が彫られていた。しかしわざわざ商売敵の一員であるかのように振る舞うのはどういうことなのだろう。
「私の読みでは、やつらと山賊どもは裏で繋がっている。連中が同行する旅人たちは襲わず、それ以外のところから雇われた護衛や護衛のいないグループを襲う。そうすればますます一人勝ちになるだろう?」
「……値段も上げ放題というわけですね」
「ああ、汚いやつらだ。私の店も少し前まではもっと繁盛していたんだが……せめてこうやって利用させてもらわなきゃ気が晴れないよ」
ライバルになりすますことで安全を得ようとしていた。腰の剣で敵をなぎ倒していくと思っていただけに、少し拍子抜けした。
2026総評⑥なぜ今年も3位なのか
あれだけ調子の波が激しいと、ペナントレースを勝ち抜くのは難しい。安定した強さがほしい。
ただしシーズンはまだ終わっていない(2026.9.21時点)。諦めるな、DeNA!優勝できなかったとしても、勝率5割を維持すればおそらくCSは勝てる!ソフトバンクを倒せるのはお前たちしかいない!




