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 森麗ーっ!

「………」


「いいね!いいねっ!いいねぇっ!!」


 夜になり、私とイヴは宿屋にいる。賞金のおかげで質の高い宿に泊まることができたけど、問題はそこではない。


「……そろそろ服を着てもいいかな?」


「え?だめだよ。ここからが本番でしょ?」


 いまの私はスモウ大会準優勝の賞品、ピンクのまわししか身に着けていない。裸よりも恥ずかしく感じる格好になっていた。



「おねぇちゃんが教えてくれたんだよ?スモウは異世界から伝わったばかりのころは服なんか着ないで、生まれたままの姿にまわしだけ着けて土俵に上がっていたんだって」


 最初はそうだったらしい。そのうち下着や服の上からまわしを着けてもいいとルールが変わった。女性がスモウの選手になれるようになったのはその後のことだから、私がこんな姿でいる理由にはならない。


「あれをやってよ。戦う前にやる……シコってやつ」


「……いや、無理……」


 いくらイヴのお願いでもこれは厳しい。嫌がらせや面白いものが見たい気持ちからではなく、私への好意がこの辱めに至っているのだから厄介だ。



「え〜?いいじゃん、大事なところは隠れてるんだからさ、ほら」


「ひゃっ!」


 まわしの上から軽く指でなぞってきた。まわしは厚く、その感触は私の肌まで届いていない。それなのに直接触られたかのような衝撃が走った。



「かわいいよ、おねぇちゃん……んっ」


「んむっ!?」


 そして突然のキス。エデン家を出てもやりたい放題なのは相変わらずだ。


「……ぷはっ!」


「ふふっ……屋敷ではどこに誰の目があるかわからなかったからね。これからは二人きりの時間が増えて……わくわくするねっ!」


 今まで以上に好き勝手に振る舞うつもりだ。イヴのためにしっかりしなきゃと固く決意していたのに、私の身体と理性が溶かされるのはもはや時間の問題か。船から降りて最初の夜なのに、早すぎる。



「じゃあ寝よっか、おねぇちゃん。服は着ていいけど、まわしはそのまま脱がないでね」


「えっ……?」


「そうしてもらわないとわざわざ大会に出てもらった意味がないから。じゃ、おやすみ!」






 朝になり、宿を出た私たちは内陸を目指すことに決めた。馬車での旅が始まり、海に別れを告げる。


「………着替えなくていいの?」


「だいじょうぶ!これがいいんだよ!」


 朝まで私が着けていたピンクのまわしは、今はイヴの下半身を守っている。濃い色のスカートを履いているから誰にも気がつかれないとはいえ、下着の代わりに一日まわしというのは……。


「おねぇちゃんを感じるよ。とっても幸せな気持ち」


「そ…それならまあ……」


 私の匂いやぬくもりが残ったものを欲しがるイヴだ。監視の目がなくなったことで要求がどこまで過激になっていくのか、恐ろしい。






「……この二人を知らないか、お前ら?」


 私たちが馬車に乗った数時間後、港に軍の船が来た。私たちを捕まえるために、両親と王子は軍隊まで動かしていた。私たちが南へ向かう船に乗ったという証言を頼りにここまで追ってきていた。


「こいつか。確か昨日、スモウ大会に出ていたぞ」


「スモウだと!?ふざけたやつらだ!」


 必死に逃げているはずが遊んでいるのだから兵士たちは驚く。イヴは必ず連れ戻し、私に関しては死んでも構わないという命令が与えられていたそうだ。



「ならばそう遠くへは行っていないはず!行き先を知らないか?」


「……彼女たちならさらに南を目指して船に乗った。急いで追えば追いつけることでしょう」


 港にいた預言者が兵士たちの前に立ち、南へ行くように伝えた。昨日は船旅をやめるようにと皆に話していた預言者と同じ人だった。


「ほう……嵐や飢饉を言い当てたお前は信用できる。戻ったら褒美を与えるぞ!よし、早速行くぞ!」


 任務に成功すれば追加の報酬が入るので兵士たちはやる気に満ち溢れていた。ほとんど休まずに南の王国へ向かったそうだ。




「……あんな嘘を教えていいんですか?」


「放っておけば、あの国の者たちは全世界の平和を脅かす。神が彼らを騙すようにと仰った」


 私たちのためというわけではなかったにせよ、神様と預言者には感謝だ。ただし私が全てを知ったのはずっと先の話で、もうこの人に会うことはなかった。



 最初の予言通りやがて海は荒れ、軍の立派な船でも南の王国まで行くことはできなかった。沈没の危機に襲われ、どうにか途中の小さな島に上陸したそうだ。


「くそ……しばらく足止めか!」


「貴族の娘を連れ戻すなんて簡単な仕事だと思っていたが……ん?何かが近づいて………」


 気がついた時にはもう遅かった。その島はとても凶暴な魔物や野獣が集まる危険な場所だった。訓練された兵士たちですら歯が立たず、一瞬で全滅したと後に明らかになった。


 この船には両親や王子は乗っていない。今回の失敗は彼らに大きな損害を与えたものの、私たちのことを諦めさせるまでには至らなかった。しかしいずれは資金や根気が尽きてギブアップする時が来るだろう。

 2026総評④外野手


 他球団なら文句なくレギュラー、クリーンナップを打つ実力を持つ選手がベイではスタメン落ち、少し調子を崩せば二軍……それだけ競争が激しかった。度会、勝又、エンカーナシオン、蝦名……みんな使いたいが枠は限られている。指名打者制が始まる来年には、内野のベテラン勢を含めうまくやりくりしてほしい。


 森や梶原、ヒュンメルなんかももっとチャンスを与えたら結果を残した可能性があるだけに、トレードや現役ドラフトの行方を見守りたい。神里さんは何だかんだで今年も生き残りそう。

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