仲間が増えました
間が開いてしまい、すみません!
「アラン…良かった……!!」
ふわぁぁぁ!美人さんが駆け寄ってきて…これはハグですね!?潤む瞳で駆け寄る美しさったらもうもう!彼女の周りだけキラキラ輝いているように見え…
ひょいっ。
ガゴッ。ガショーン!!
「「「「…………」」」」
アラン………?
アランが避けたので駆け寄ってきた美人の神官さんは近くのテーブルに全力タックルです。ひぇぇ…頭から料理被っちゃったよ…。タックルされた机の人たちも反応出来ず…うん、固まるしかないよね。そして私も、他のパーティーのみなさんも呆然と立ち尽くして…。なのにアランはといえば、しれっと安定の無表情です。
「ちょっとアラン様!?どうして避けますの!?」
「普通避けるだろう」
「普通避けませんわ!?」
あぁ…白い祭服が料理のソースと油で頭からつま先まででろんでろん…。替えの着替えはあるのかしら…あれは絶対に落ちないやつだわ。油汚れは一筋縄ではいかないのよねぇ…。この世界には前世みたいな強力洗剤とかないし。
そんな余計な心配をしていると…。
ぐりんっ!と神官の女性がこちらを向く。明らかな敵意を抱いた目で…!え、私ですかぁぁ!?
「ちょっと!そこのあなた!」
「はいっ!?」
ビシッと指差されて背筋が伸びる。人を指差しちゃいけないんだよ!?
「あなたいったいなんなんですの!?」
「な、なんなんですのって?」
「アラン様に馴れ馴れしすぎますわ!どうして…どうしてアラン様に微笑まれてますの!?」
「どうしてと言われましても…」
単にペット感覚だからです。もふもふ好きの延長なのです。…とは言えない。私今、人間だし。もふもふしてないし。
しかし美人の怒る顔って怖い…。美人な友達欲しかったけど…彼女は難しそうだな…。
「白銀の髪に水色の瞳…。もしかして…もしかして、あなたは聖なる導者様では?」
黒に近い紺色のローブを纏った、深緑の髪と瞳をもつ魔道士の男性に横から話し掛けられる。…助かった。
そういえば…私、アランのパーティの方々にドラゴンの姿で会ったら話せない設定でいこうと思ってたのに…人間の姿で会っちゃったわ。………まぁ、会っちゃったものは仕方ないわね。ドラゴンの姿は隠密のときに使おう。魔力消費して疲れるけど、ドラゴンということは伏せて当分は人間の姿だけでいこう。そうしよう。
忘れてたけど私、聖なる導者なんだっけ。はっ!どうやって魔王の場所を見つけるんだろう!?母様に聞くのをすっかり忘れてたわ…。
「えっと、私は…」
「ここは人目につく。とりあえず場所を移動しよう」
アランの意見にハッとし、周りを見ると…ガッツリと好奇心いっぱいなたくさんの目…。
うん…とりあえず移動だね。
*******
「そうだ。彼女が探していた聖なる導者だ」
アランとフランツさんの部屋に移動して早々に、なんて答えたらいいか迷っていた私の代わりにアランが答えてくれた。それを聞いて、魔道士の青年の目がキラリと光った気がした。…むしろギラリと光った気が。
「信託で告げられた通りなら…あなたは類いまれなる魔法の使い手だとか…」
「類まれなる…か、どうかは分かりませんが、魔法はかなり使える方みたいです」
「おぉぉぉぉぉ!!導者様は…導者様はどんな属性の魔法を使うのですか!?あなたの見た目なら水や氷が似合いそうですが…もしかして光とか!?だとしたらかなり珍しいですね!見てみたいなぁ!『類まれなる』と神が告げるくらいですから、やはり魔力量も多いのでしょうか!?魔力量が多いとコントロールも難しいですからね…そこらへんはどのように調整しているんです!?杖などの魔具は…持っていなそうですね。使ったことはありますか?ちなみに自分はこの杖を使ってます。自分、自慢になってしまいますが三種類の属性を使えるんですが…この国で三種類使える魔道士が前代未聞でして。既存の魔具で自分に合ったものが無かったんです。だからこれは自分で作ったんですよ!導者様も今後どうです?使うならお作りしますよ!?腕が鳴るなぁ!魔具を使うとコントロールもかなり楽になりますし増幅も…ふぐぅっ!?」
血走った目でジリジリと近付いてくる青年の顔面をアランが掌で止め、ぐいーっと後ろに追いやる。首、大丈夫…?やり方はどうかと思うけど助けてくれてありがとう、アラン。こ…怖かったよぉ〜。
「近い」
「ア…アラン様〜!自分が導者様に会えるの、すっごく楽しみにしてたの知ってるじゃないですかぁ〜!」
「……………」
アランは明後日の方向を向き、聞こえなかったフリを決めこんでいる。いやいや…無理があるよ。もしかして私がドラゴンだから万が一を考えて守ってくれてるのかな?でも先は長いし…出来れば仲良くしておきたいんだけどな。なんか迫力が怖い人ではあるけども。
しかしここはアランには申し訳ないけど、ずずいっと行かせてもらおう。ずずいっと。
私は一歩前へ出る。
「申し遅れました。私、イリーネと申します。これからよろしくお願いします。もしかして魔道士様は…マルク様、ですか?」
「っ!!そう!そうです!自分、マルク・リーセルです!王宮魔道士をやっております!知っててくれたなんて光栄です…!得意なのは風と土で、空間魔法も一応使えま…ぶっ!」
またもアランに顔を抑えられる。マルク様の扱いが雑!!
空間魔法。なるほど、彼が移転魔法も使える魔道士様か…。彼が一番、重症のアランをひとり、移転させた可能性が高い人物だけど…どちらかというとただの魔法バカって感じで裏は感じないんだよなぁ。
そんなことを考えながらボーッとしていると、ふいに右手が持ち上げられ、え…ままま…まさか…!キキキキキス!?!?
「初めまして、妖精のように美しい導者様。僕はレオニート・グレンジーク。レオって呼んで?本当に美しいね…絵画からそのまま出てきたようだ…。君のことはイリィって呼んでも?」
「ふぇっ?は…はいっ!」
手を握られたまま、上目遣いに問われる。
ふわぁぁぁ…!こんな騎士みたいな人、初めてで…どうしたらいいのやら!?って、本当に騎士様なんですね。近衛騎士様?なるほど、美しさと実力を兼ね備えているわけですね〜!確かに確かに。オレンジ色の髪が溌溂とした印象を与えるイケメンさんです!なんなんですかね?この世界の強い人ってのはイケメンや美人しかいないんですかね?もうひとりの弓使いの方もお美しいですし…。おっと。アランとフランツさんが何やら怖いです!なんか黒いオーラが見えるよ!?フランツさんはともかくアランは感動の再会なんじゃなかったの!?
スパーンッ!!
「気安く触るな」
「いってぇ!アラン!手刀しなくとも、離せと言われれば離すよ!?」
「どうだかな?」
「挨拶しただけだろう?全く…お前がそんなに狭量なやつだったとは思わなかったよ。何事にも無関心だった君をこんな風に変えるだなんて…益々興味が湧くなぁ」
「レオニート…」
アランに睨まれてもニコニコしているレオニート様。強いですね…。
「ふふっ。騒がしくてごめんね?遅くなったが、私はミラーナ・ザルビン。弓使いをしている。よろしくね」
「あ…はい、よろしくお願いします!」
「そんなに固くならないで欲しいな。これから長いんだから、仲良くしてほしい」
「ありがとう…ございます!」
若葉のような明るくて柔らかい黄緑色の髪を一本の三つ編みにした美人が柔らかく微笑みを向けてくれた。うわぁ…癒やされるなぁ…。未だアランとレオニート様が脇でギャイギャイしているから尚更。
ミラーナ様は少しだけ風の魔法を使えるらしく、弓に魔法を込めて射ることができるんだそうだ。
彼女も魔法が使えるのね…。でも空間魔法が使えるレベルではないみたい。彼女の言うことが本当なら…だけど。
そしてさっきテーブルに激突した神官さんはヴェロニカ・ハルンスク様。ちなみにこれはミラーナ様が教えてくれました。ヴェロニカ様はまだずっと私を睨んでいます…。怖い。私が一体何をした!?
「フランツ・ハイネン。イリーネの専属執事だ」
フランツさんのあっさりさっぱりな自己紹介。
みんなの目が私に向けられる。その目にははっきりとした疑問が。
『あなた、一体何者?』
冒険に執事を連れてくる平民って…ホント、私って一体何者なんでしょうね?




