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白銀の転生竜は勇者と距離を置きたい  作者: まなま


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30/52

服従と、祝福を



私は渾身の力をぶつける。


「はぁーーーっ!」

「くっ」


闇が押され、フランツさんが眉をぐっと寄せる。

このまま…押し切…るっ!!


「はぁっ!」

「ぐあっ!?」

「!?」


私の頭上を何かが飛び越え…剣が閃く。

闇がひと薙で散らされ、フランツさんの右腕が大きく切り裂かれる。

そこから血は流れず、闇が這い出している。

…ホラーだ。


そして目の前で剣を片手に佇んでいたのは…やはりアランだった。

そして冷たい目で苦しみ、蹲るフランツさんを見下ろしている。

………こっちもこっちでホラー。


怖いよ!どっちが悪役か分からないよ!

ていうかアラン…。私が頑張って対抗してたのに…こんなにサラッと…!!


「んな…!?フランツ、しっかりしなさい!誰がおまえを拾ってやったと思ってるの!?」

「くっ…。は…い…………」


アマーリア様が喚き散らす。

フランツさんはダランと垂れた右手を必死に上げようとするが、あの傷では無理だろう。

それでも左手で無理矢理持ち上げようとして、苦痛に顔を歪ませている。

アランがすっと剣を構える。


「っ!アラン、待って!」

「しかし…こいつは敵だ。それに……すぐ闇に喰われる」

「フランツ!何をやってるの!?早くなさいっ!あんたを生かしてやっているのはわたくしよ!!」


アマーリア様の金切り声が響く。

……………この人、煩い。

私は空間ポケットからミュリの木の枝を出す。


「ミュリの梢よ、安息の眠りを与えよ」


唱えると、ミュリの枝がさわさわと囁くようにこすれ、木の香りがアマーリア様を包み………


「ふにゃ…」

ドサッ。


アマーリア様は眠りの世界へ旅立った。

これで静かだね!


「な…アマーリア様に何を…!?」

「眠っているだけです。それより…フランツさん、もうやめませんか?このままだと…その闇にあなたも飲み込まれてしまうんでは…?」

「……………」


沈黙は肯定を意味する。

先程から右手の闇は決して傷を癒やしてはくれない。

むしろ私たちやフランツさん自身を飲み込もうと闇を伸ばして蠢いている。


「もう、手遅れだ。遅かれ早かれ…私はこいつに飲み込まれる運命だった。それなら…拾ってくれたアマーリア様に報いるためにこの命を捧げたい」

「…拾って、闇の儀式をして…あなたを人間兵器にしただけじゃない…」

「もう……、遅いんだ…………!」


フランツさんはギュッと目を瞑り、俯き、叫んだ。

私にはそれが…「助けてくれ」と言っているように聞こえて…胸が苦しくなる。


「フランツさん、あなたを助けてあげます」

「イリーネ!?」

「な…にを…?」


アランの顔には叱責が、フランツさんの顔には驚愕の色が浮かぶ。

だって…放っておけないじゃない。

フランツさんがさっき私に優しくしてくれたのは嘘偽り無い事実。

それに、この方法だと…フランツさんは私に攻撃出来なくなる。

果たしてフランツさんがそれを是とするかどうかは分からないが…。


「契約した闇は…取り除けない。例外は無いはずだ。そしてこいつは私に従いはするが、守りはしない。楽しんだ最後には私の魂をも飲み込むつもりなのだから…」

「そうね…。でも、私なら出来るわ。ただし、フランツさん。あなたが私に服従するならば…ね」

「あなたに…服従?」

「そう。私に攻撃は出来ないし、私の命令に逆らえない。でもその代わり私の完全な支配下になるから闇は追い出せる」

「く………ぁ………っ!!」


説明をすると、闇が暴れだす。

まるで私の支配を拒否するように。


「さぁ、どうする?ブランデル家を捨て、私の配下となるか。それとも……このまま闇に喰われるか」

「…………………!!」


フランツさんの瞳がギラリと光る。

そこにはまだ生への執着が見える。

闇が尚も暴れる。


「イリーネ!こいつを連れて行く気か!?」

「そう…私の配下として。さあ…どうする?」

「くっ……私…は………」

「イリーネ、ダメだ!」

「フランツさん!…諦めてはダメ!生きなさい!」

「!!」


フランツさんの目が見開かれる。


「………分かっ…た。あなたに…ふ、服従…しよう」


フランツさんの顔に迷いは見られない。

闇が私に襲いかかる。

だがアランが剣で受け止める。

尚も闇は暴れ、切られ、散る。


「くぁ…!あぁ!!」


私は闇に向かって不敵に笑う。

お前の好きにはさせないわ。


横で闇を食い止めているアランの剣に手を伸ばす。


「イリーネ!?」


スッと自分の右手を滑らせ、指先から血を流す。


「さぁ、飲んで」

「!?」


血が流れる右手をフランツさんの目の前に差し出す。

そして左手で邪魔しようと暴れる闇を光の力で抑える。

フランツさんは…私の右手の指先を口に含んだ。

そして……舐め………舐め……………舐め!?

そんなに舐めて、舐めて、舐る必要はないわ!?

私はキッとフランツさんを睨む。

するとフランツさんは苦しそうにしながらもニヤリと笑った。

……こんな時なのに食えない。


「…………イリーネの名の元に。我が配下とす、フランツ・ハイネンに服従を。そして祝福を!」

「ぐ…あ……あぁぁぁぁーーーーーー!!!」


フランツさんの内側から光が溢れる。

右腕の闇がうねり、広がる。

そして闇が最後の力を振り絞り、私に襲いかかる。


「させるか!」


その断末魔もアランのひと振りで霧散する。

………ねぇ、強すぎない?


そして闇が消え、光も収まると…そこには荒い息をするフランツさんがぐったりと座り込んでいた。




読んで下さり嬉しいです!!

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