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白銀の転生竜は勇者と距離を置きたい  作者: まなま


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闇魔法



「イリザベス」


茹でだこのようになっている私にフランツさんが近付いてくる。

するとアランがぎゅうっと私を抱く手に力を込める。


(う…。ぐ、ぐるじぃ…)


ホント、なんて馬鹿力なの!?

今度はさっきとは違う意味で顔が赤くなる。


「この指に絡めたあなたの髪も、触れた頬も………唇も、偽りだったと言うんですか……?」

「!?」


ななな…何のこと!?

…………………はっ!あれか!

髪を絡めたっていうのは髪を結い上げたときのこと!?

頬と唇に触れた…って、化粧してくれたときのこと!?

偽りだったって何よ!何なのよ!?


(もしかして…もしかしなくても、わざとね!?)


「んなっ!?あなた達、いつの間にそんな…!?」


アマーリア様が真っ赤な顔をしてフランツさんと私を交互に見る。

いえ、誤解です。

意図的に作られた誤解です。


「…………どういうことだ?」

「うぐぅっ!」


ゆ…勇者が怖い!

勇者なのに悪魔のように恐ろしい顔をしている…!!

そしてギリギリと…抱きしめる力が…つ…強………うぅぅっ!

ぐ、ぐるじ…………。


そうだよねそうだよね!

自分が嫌な思いをしてるときに何してたんだって思うよね!?

でも私もアランのために頑張ってたんだよ!?

ホントだよ!?


「…いつも夜は俺と同じ床に入るのに…まさか今日は違う男と寝たのか?」

「!?」


今度はアラン、あなたですか!?

いや、間違ってはいないんだけど…いないんだけども!その意味深な言い方は何なの!?


「あなた…どんだけ尻軽なのよ!?」

「そ、そんなわけないでしょう!?ていうか薬でどうにかしようとしてたあなたに言われたくありません!」

「んな…!なぜそれを!?」


アマーリア様も私も顔が極限まで赤い。

ていうかアマーリア様、うっかり認めちゃったよ!

もう計画はおじゃんだよね!?

もう帰ってもいいよね!?


そう思いドアの方へ意識を移すと…アマーリア様がハッとし、すぐにフランツさんへ目配せをする。

フランツさんは深く頷くと、スッとドアの前へ移動した。

くぅ…やっぱり本気でアランを自分のものにするつもりなのね。

アマーリア様の表情がフッと消える。


「仕方ないわ。フランツ………………服従させなさい」

「かしこまりました」


場の空気が変わる。

先程までとは違う、肌に纏わりつくような不快な感覚が私たちを襲う。

アランは私を離すと、剣に手をかけ、得体のしれない()()に備える。


ズズ…ズズズ……


「「!?」」


部屋が魔力で満ちる。

そして少しずつ、少しずつ…部屋が薄暗くなっていく。

これは…


「闇魔法……」

「闇魔法!これが…!」


アランも闇魔法の存在は知っているようだ。

私はほぼ全ての属性の魔法が使えるが、この闇魔法だけは使えない。

他の魔法に関しては生まれながらの適正が無ければ使えないが、闇魔法に関してだけは後天的に属性を入手することができる。


その方法は、魔族との闇の契約だ。


だが契約には…多くの人間の血が流れる。

魔族を満足させるだけの恐怖と絶望、そして死。

それらを捧げる儀式を何度も経て、運が良ければ契約が出来る程度の確率。

まさか一度の儀式で契約成立はしていないだろう。

この力の裏に…何人の人間の犠牲があるのか…。

ふつふつと、怒りが込み上げてくる。


「契約せしアガリアレプトよ、我に力を」


右手を前に突き出し唱えた瞬間、フランツさんの右腕に闇の靄のようなものが纏わりつく。

禍々しさに鳥肌が立つ。

アガリアレプト…確か結構な上位の悪魔。

私も闇魔法と対峙するのは初めてだ。

本能が恐怖する。

心が逃げようとする。


…だけどダメだ。


こんなことで怯んではいられない。

これから私達が倒さなければいけないのは最上位。

魔王なのだから。

それに…


アランを守るって決めたんだから。


私は立ちふさがるようにアランの前に出る。

そして、魔法の構え。


「光よ、迎え撃て!」


光と闇が衝突し、弾ける。

凄まじい力の衝撃波により、スカートははためき、結った髪が解け、靡く。


「く…ぅ…っ!」


母様に鍛えられた私の力はこんなもんじゃない!!

私は…………私は、負けないっっっ!!!




   ********




目の前の光景に驚嘆する。

ものすごい力の衝撃だ。

光と闇がぶつかり、宙に散っていく様は現実のものとは思えない。

だが、体に感じるエネルギーと、風の強さがこれが現実だと教えてくれる。


力の衝突により起きた風によりイリーネのスカートがはためき、結われていた髪が解け、舞う。



あぁ…なんて美しいんだ…………。



こんな状態だというのに目を奪われる。

透き通るような銀の髪が舞い、強い意志を感じる瞳は真っすぐに前を見据えている。

そして光が散り、イリーネの神々しい美しさを際立たせている。

目を奪われているのは俺だけではない。

フランツとかいう忌々しい執事も、アマーリアさえも目を見開いている。



なぜ、イリーネの目線の先があの男なんだ………。



分かっている。

今は戦いなんだってことくらい。

でも、一度沸き起こった嫉妬と怒りは大きくなるばかりで………。

俺は憎き執事を見据えるのだった。



読んでくださりありがとうございます!

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