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白銀の転生竜は勇者と距離を置きたい  作者: まなま


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28/52

甘すぎて味が分からないことってあるよね…



また元いた場所でアランを眺める。

変わらず無表情だが、チラリと渡したメモを盗み見たのが分かる。


『紅茶に薬が混入される可能性あり』


長文を書く余裕は無かったからそれだけ書いた。

伝わっているといいのだけど…。

アランの表情は変わらない。


「ただいま戻りました。大丈夫でしたか?」

「フランツさん。おかえりなさい。問題ありませんでしたよ」


スッと私の横に来たのはフランツさん。

私は微笑んで返す。

フランツさんはホッとした顔をし…甘く微笑んだ。


「さすがです。いきなりお願いしてすみませんでした」

「い…いえ……」


うっかり甘い笑顔にドギマギしていると…フランツさんがそっと手を伸ばしてきて…私の乱れた髪を直した。


「ひゃっ」


な…なにを…!!

この人、髪を整えた流れで首筋撫でた…!

私が顔を赤くして、艷やかな笑顔のフランツさんを睨んでいると…


バキッ。


……………?

アランの方から何か変な音が…。


「あぁ、すまない…つい」

「「「!?」」」


…『つい』!?『つい』って何!?

『つい』で金属のフォークって折れるものなの!?

さ…さすが勇者…ってこと?え、勇者ってだけで理由になる??

アマーリア様もフランツさんもフォークを凝視したまま………固まっている。

……もちろん、私も。


「………………………………今、新しいものをお持ちします」


一番初めに我に返ったのはフランツさん。

さすが執事の鑑!

持ち直すのが早いね!

薬を用意していた張本人だということも忘れ、フランツさんを尊敬の眼差しで見ていると…。


ヒヤッ。


「!?」


な、なんか…寒気…が…?

なんだろう…なんだか…アランの方から…視線を…感じ…?


「ひっ」


アランが不敵な笑みを浮かべて見ている…()()

え、なんで私!?

私はアランを助けようとしてるのに!味方なのに!

なんか恨まれるようなことした!?

私がぷるぷると震えながらアランから目を離せずにいると…スッと目の前に黒い壁が。


「何か彼女に御用でしょうか?」

「…あぁ、御用だ」


壁だと思ったのはフランツさんの背中だったのか!

フランツさんは私をアランの視線から守ってくれたらしい。

………あれ?なんでだ?逆じゃない?

どっちかって言うとフランツさんは敵じゃない?


「…私は貧乏な男爵家の次男です。ですが…魔王を倒せば確固たる地位が手に入る」

「え…」


硬質な声が妙に響く。

アランは権力に興味無いかと思ってたのに…なんで今、そんなことを…?

もしかして…アマーリア様と結婚したくなった…とか………?


「そうすれば、ある程度の願いは自力で叶えられるようになる。例えば、好きな女性と結婚するとか」

「………」


やっぱり、そう…なん、だ。

自分と結ばれる訳ないとは分かっていても、目の前で他の女性と結ばれるのを見るのは辛い。

なんて浅ましいのかしら…。

私が俯いていると、フランツさんを退かし、アランが目の前に来ていた。

驚いて顔を上げると…


(うわぁ…)


蕩けそうな笑顔のアランと目が合う。


「仕方のない子だね…。俺を追って来たのかい?」

「…えっ?」

「危ないから安全なところで待っててほしかったのに…。でも…心配して追い掛けてきてくれて…しかもメイドの振りまでして俺に会いに来てくれたなんて…嬉しいよ」

「!?!?」


アランが私の頬に手を添える。

そして愛おしそうに…するりと撫でた。

………………ほゎぁぁぁ!?

たぶん…いや、確実に私の顔は真っ赤だ。

間抜けヅラな自覚はある!


「…………可愛い」

「はぅっ!」


もうダメ…。


「おっと」

「!」


アランがよろけた私の腰をぐっと支えてくれる。

わー!わー!

なんか…抱きしめられてるみたいで恥ずかしい!!

アランの右手は私の腰を抱きかかえ、左手は頬に添え…密着度が半端ない!!

あぁ…間近で見るアランの甘やかな笑顔にあてられ、なんだか…ぽーっと、してくる…。


「ちょっとお待ちなさい!」


アマーリア様の声にハッとする。

そうだ!他にも人がいるんだった!!

私は我に返り、アランの腕から…アラン、の、腕、か…ら………………んんっ!?抜けない!!

ドラゴンの私の力を持ってしても抜けない…だと………!?

力いっぱいもがくが、アランの腕はびくともしない。

…………勇者の潜在能力どんだけ!?

最早人間の粋を超えている!!

もしや…アランも幻獣の類か…!?

いや、んなバカな!

…………………お願いだから落ち着け!私!!


「……………何か?」


アランの声が硬質なものに戻る。

アマーリア様は一瞬怯むも、わなわなと震えながら…()()睨む。

えっ?また私!?


「あなた、平民でしょう!?勇者と結婚なんてできるわけないじゃない!それ相応の地位が無ければ許されない!お分かり!?」

「ハイ!!スミマセン!!」


………………ハッ!つい謝ってしまった!!

目の端でアランがじとりと私を見ているのが見える………が、私は振り向かない!振り向かないぞ!?

どうやっても振り向かないと悟ったのか、アランが溜め息をつく。


「先程言ったはずです。勇者として名を上げればそんなことは些事なこと。彼女を身分の高い家の養子にすればいいだけの話です。勇者の嫁になる前提ならどこの家も喜んで迎え入れるでしょう」

「嫁!?養子!?」


私は目も口も全開だ。

いや、そもそも種族が……って話はここでしちゃダメだよね、多分。

って…落ち着け、私。

そうだ………アランは私がドラゴンって分かってるんだから、本気な訳ないじゃない。


(やだ、私ったら!…………私のバカバカバカバカー!!)


そうか。これはここを脱出する演技なんだ。

アマーリア様は結婚するためにアランを引き止めてるんだから…他の女がいるって分かれば、それが揺るぎないって分かれば、アランを開放するしかないものね。

もーーーーーーーーっ!!

私ってば真に受けてバカみたい!

危ない危ない。恥ずかしい勘違いをするところだったわ。


(ちゃんと想い合ってる感じを出していけばいいのね!心得たわ!)


「それに彼女は聖なる導者です。勇者に嫁がないとしても、養子にも婚約者にも引く手数多でしょう。……………………まぁ、俺の嫁になるのは決定ですが」

「………………………」

「爵位と彼女、どちらかを取れと言われれば…私は迷わず彼女をとります」

「…………………………………」

「もう、彼女なしでは私は生きていけませんから…彼女を手に入れられるならなんでもしますよ」

「………………………………………………」



いや、やっぱムリ!

甘すぎるからぁ!!!!



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