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白銀の転生竜は勇者と距離を置きたい  作者: まなま


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ドラゴンなのに捕食されそうです!!(助けて下さい!)


フランツさんに連れられて来たのは使用人棟の一室。

四畳半くらいの広さで、ベッドと机とクローゼットがついている。

あまり広くはないが、たくさん明かりも差し込んでいてなかなかいい部屋だ。


「あなたはこちらの部屋を使って下さい」

「…ありがとうございます」


申し訳ない!!

私、ここで寝ないよ!?

さっさとここを出て魔王を倒さなきゃいけないからね!

そんなことを考えている間にフランツさんがクローゼットから出してきたのは…リアルメイド服!!


「こちらが制服です。サイズはこれで大丈夫そうですね」

「わぁ………!」


さすが辺境伯家のメイド服!!ものすごく可愛い~!!

ミモレ丈のワンピースは生地がしっかりしていて黒のワントーン。

一見シンプルなんだけど、腰の部分はきゅっと絞まってて、袖は肩の部分がパフスリーブになっており、そこからほっそりとした袖が延びるというちょっとお洒落なデザインになっている。

そしてワンピースの上に着けるエプロンも、真っ白だけど肩と前掛け部分の縁にフリルがあしらってあり、後ろで結ぶリボンも大きくて可愛い。

…うん、素敵!

はぁん、テンション上がるぅ~!

でもこれって太ったら着られないデザインだね!?


私が目を輝かせてメイド服に食いついていると、上からクスクスと笑う声が…。

しまった。忘れてた。


「うちのお仕着せは可愛いでしょう?なかなか人気があるんですよ」

「はい!可愛いです!でも入らなかったらどうしましょう…」

「イリザベスが?大丈夫でしょう。うちのお嬢様は綺麗なものしか周りに置きたくない人でね…。メイドも使用人も美しくないと気に入らないんです。だから太らないように気を付けて下さいね。まぁ大丈夫でしょうが」

「えっ!綺麗な人だけ!?…私、お嬢様の美の基準に達してなかったらどうしましょう…?」


ここに来るまでに会った面々を思い出す。

どの人もとても綺麗な顔立ちで所作も美しかった。

…即クビとかになったらどうしよう。

アランを助けるまではすがり付かないと…!

………そういえば私、人間の時の自分の顔、見たことないわね?

き…急に鏡が見てみたくなったわ…!怖いけど!


「イリザベスは絶対大丈夫に決まってるでしょう」

「え」

「顔はもちろんですが、珍しいプラチナブロンドの髪も、瞳の色も、細い腕も指も全てが美しい。肌も透き通るようで…柔らかそうで…あぁ、触れてみたい…」

「え…?」


…最後何か言った?

しかしフランツさん、褒めすぎじゃない?

鏡見たことないから否定も肯定もできないけども…たぶんそこまでじゃない気がするー。


フランツさんはひとつ咳払いをすると、居住まいを正して笑みを浮かべる。

その笑顔が…………甘い!!

そんな笑顔を振り撒いてて勘違いされちゃったりしないのかしら。


「所作も見ている限り悪くないですよ。姿勢もいいし歩き方も上品です。もし何か気になるところがあれば、都度教えて差し上げます。これも私の仕事ですから。手取り足取り、みっちりと…ね?」

「よろしくお願いします!」


私が笑顔で答えると、フランツさんがまた私を凝視したまま固まる。


「………………やはり、いい」

「何がです?」

「いえ……………………………何でもありません。そういえば荷物は持ってきていないんですか?確か公募には合格の場合その日から住み込みで働いてもらいたい旨書いてあったはずですが…」

「っ!」


しまったー!鞄!!

住み込みを見込んで面接受けに来てないとしても、手ぶらなわけないよね!?

その発想はなかったー!

私、鞄なんて生まれ変わってから持ったことないから忘れてた!


「…………あの………そう!じ、実は………盗賊に盗られてしまいまして…………」

「盗賊…?」

「!?」

「盗賊があなたの荷物を盗ったんですか…?」

「はははははい!!すみません!!!」


フランツさんの顔が…顔が…急に険しい!怖すぎる!!

そして声が地を這うように低く…!

嘘が…バレてる!?怒ってる!!?

怖い怖い怖いぃ~~~!!


「で…何もされませんでしたか?」

「えっ?」

「盗賊に暴力を振るわれたり…乱暴されたりしませんでしたか?」

「っ!大丈夫です!!」


そうか…!怒ってたのは盗賊に対してか!

優しい人なんだな…怖がっちゃってごめんなさい。

うぅ…本当は全部うそなんです…。

罪悪感で胸がモヤモヤする…!


「なら良かった。…でも、困りましたね…。そうすると着替えも何もありませんね?

「あ、はい…そうですね」

「では私が後で揃えておきましょう」

「え!?」

「あなたを包み込む全てを…私が……」

「あ…あの…?」

「…いえ、なんでも」


暗い笑みを浮かべていたフランツさん。

でも一瞬でいつもの爽やかな笑顔に戻りました。

なんだろう…怖い。

一体どうしました?

もう遠慮するのも面倒になってきたからこのままお願いすることにしよう。


「では私は一旦厨房へ行ってきますのでその間に着替えておいて下さい」

「………………厨房!」


そうだ、厨房!

厨房でアランの食べるものに薬を入れる可能性がある。

そうではなくても何か手掛かりが掴めるかも…!


「ま…待って!行かないで!!」


あ。間違った。


「…………………………………分かった」


………………え?えっ??

じりじりと追いやられて…壁に追い詰められて…両腕が顔の脇に…ドンッて…ドンッて!?

これは…これはもしや…!?


(か、壁ドン…!!)


「なら、()が着替えさせてあげようか?」

「ななななな…!?」


キャー!耳元で囁かないで!!

ていうか敬語!フランツさん、敬語はどこ行ったの!?

しかも『俺』!?『俺』って言った!?言ったよねぇ!?!?

着替えは自分でできますです!!

そしてたぶんですが、残念ながらお見せできるような体ではごじゃいましぇん!!


「ちちち…違います!あの、ひとりじゃ心細いなって思ってしまっただけで!厨房も一緒に見てみたいなって思っただけで…!」

「ふうん?つまりは俺と一緒にいたいわけだ?」

「えぇ!?いや、違っ…違…わ、ない…のかな?」


あれ?そうなっちゃうの?


「くくっ。可愛い」


するりと頬を撫でられる。

細められた目は…これは…捕食者の目だ…!!

私、ドラゴンなのに!

ヤバい、補食される…!?




読んでくださってありがとうございます!

またのお越しを心より!お待ちしております~!

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