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「亮夜さん大丈夫っすかね……」
「大丈夫よ。亮夜は強いから」
大広間から出た光と鈴は長い廊下を通って、目の前に現れた階段を上ると王宮の2階に着いた。
2階の廊下には姿見のような大きな鏡が並ぶように壁に埋め込まれていて、光と鈴の姿を幾重にも映していた。
「この部屋も大広間かしら? 結構広いわね」
「ここは『王妃の間』みたいだけど、誰もいないっすね」
光と鈴は模様が金箔で装飾されている白い扉を開けて中に入った。
扉と同じような白い壁には、金箔や銀箔で出来た模様が装飾されていて、所々に大きな風景画が飾られている。
天井からはガラス玉で作られたシャンデリアが輝き、室内には赤いビロードのような光沢の生地で作られた椅子やソファが数脚置かれていた。
「鈴さん、誰もいないなら次の部屋へ行きますか?」
光がそう言って出入り口の扉を開いた時――。
「光! 先に行って!」
「えっ? うわっ!? 鈴さん!?」
鈴は光の背中を力任せに押して部屋の外に追い出した。
廊下に転がった光が鈴の方に目を向けると、鈴は出入り口の扉を部屋の内側から閉じようとした。
「鈴さん、一体、何を!?」
「光、私に構わないで先に行って!」
鈴はそう言うと扉を閉め、中から鍵を掛けた。
光は床から立ち上がると、閉まった扉を激しく叩いて鈴に呼びかけた。
「鈴さん! 開けてください!」
「光、いいから行けえーーーーぇ!!」
「鈴さん……っ! 分かりました、先に行きます」
扉の向こうからの鈴の叫び声を聞いた光は扉から離れると、後ろを振り向かずに先に向かった。
「光、後は頼んだわよ」
「……よく私の気配が分かったわね」
背後から聞こえた声に振り返ると、そこには古代ギリシャ神話に出てくる女神のように、白い生地をウエストにある革のベルトで縛った『キトン』のような服装をした美しい女性が立っていた。
「あなたは……この部屋にいるってことは、王妃の世話係りかしら?」
鈴は目の前にいる若い女性が王妃とは気づかなかった。
何故なら黒斗から王妃はプランスの実母だと聞いていたからだ。
「失敬なっ! 私はこの星の王の妻でお前達に殺されたプランスの母、ランセスである!」
「まさか貴方が! てっきり下の者に任せて逃げ出したかと思っていたわ」
「プランスが勇敢に戦ったのに、私が尻尾を巻く訳なかろう。プランスの恨み、晴らさせてもらうぞよ!」
自らを王妃を名乗った若い女性に鈴は目を見開き驚いた。
ランセスは鈴を睨みつけながら臨戦態勢に入った。
ランセスは一息吐くと、鈴に向かって駆け出した。
鈴も顔を引き締め、体勢を整えた。
「ハァッ!」
ランセスは右手を突き出しながら鈴の目の前に迫る。
鈴が左手でランセスの右手を払いながら体を捻ると、左足を軸に右足を大きく蹴り上げた。
そしてその右足はランセスの左側頭部を狙う。
鈴の蹴りに気づいたランセスは左手で鈴の右足を掴むと、自分の体を軸にしてその場から動かずに回転すると、鈴の体を投げ飛ばした。
ランセスの攻撃から鈴が投げ飛ばされるまで約3秒。
訓練を重ねたとはいえ、桁違いのランセスの素早い攻撃に圧倒された鈴は、背中から壁に激突した。
壁が破壊される激しい音が室内に響き渡る。
ランセスの目の前には壁から出た石埃が舞っていた。
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