-1-
「来てしまったのか……まあ、いい。寮へ案内するから荷物を持ちなさい」
光を一瞬見つめた亮夜は、無表情で抑揚の無い冷静な声で光に話しかけると、今自分が入っていた扉に再び手をかけた。
「あ、はい……事務長さん、失礼します」
亮夜の態度に少し戸惑った光だが、事務長に頭を下げると、側にあったキャリーケースを持って、亮夜の後を追いかけた。
キャリーケースを引きずりながら広くて長い廊下を抜けると、左右の壁にエレベータが2基ずつ対面に配置されていて、右側が水色の扉、左側が桃色の扉になっている。
亮夜は水色の扉の方に向かい、扉の横にあるボタンを押すと、エレベータの扉がゆっくりと開く。
亮夜が先にエレベータの中に入り、続いて光も入った時点で、亮夜は「③」のボタンを押した。
そして、3階に着いたエレベータの扉が開くと、ホテルのように扉が並んでいる場所に辿りついた。
亮夜が「300」と刻印された扉の前に立つと、胸ポケットからカードキーを取りだし、扉の鍵を開けた。
「ここが今日からお前が生活する部屋だ」
「うわあ、シンプルな部屋ですね」
光が足を踏み入れた部屋は、扉から入ってすぐのところにトイレやユニットバスが設置されている。
奥には、左右の壁それぞれに下が机になっているロフトベッドと背の高いタンスが置かれていて、机の上にはテレビチューナ付のパソコンまであった。
「この部屋は俺と同室だ。お前は右側の家具を使え」
「ハイ……あの……神堂さんは今まで誰かと同室だったんですか?」
「いや、今までずっと一人だった」
そう言うと亮夜は自分の机に向かい、パソコンを起動し何やら操作を始めた。
光は右側のロフトベッドの下に移動すると、持ってきたキャリーケースを開き、服などの持ち物をタンスや机の中に仕舞い始めた。
片付けが終盤に差し掛かった頃、亮夜が光の側に近づいてきた。
「これはお前専用の『ICカード』だ。このカードを使ってこの部屋だけではなく、館内の施設を移動することが。無くさないように常に身に着けていろ」
「ありがとうございます」
光が渡されたのは、長くて青い紐付の透明のパスケースに入れられた、キャッシュカードぐらいの大きさの薄い白色のプラスチックカード。
一番上に「AMEFURI FORCE」と書かれ、その左下にはバーコード、右下に光の顔写真が表示されていた。
ICチップが内臓されたこのカードが身分証明にもなるので、肌身離さず持っていないといけないそうだ。
光はパスケースに付けられた長い紐を頭から通して、首から提げるようにして身に着けた。
「それと……これは明日からの訓練で着る、訓練服だ」
「ありがとうございます」
光は亮夜から畳んでビニールに収められた迷彩柄の服受け取った。
この服は討伐隊の戦闘服で、隊員一人に数枚は支給されるらしい。
光はビニールを破って服を取り出すと、タンスの中に服をしまった、
ご閲覧ありがとうございましたm(__)m




