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「これを持っていきなさい」
「父さん、ありがとう! 俺、頑張ってきます」
立ち上がり、父親から書類をもらった光は、父親と母親に何度も深く頭を下げる。
その様子に母親は諦めた顔をして、涙を浮かべた。
「じゃあ、俺、明日、朝一で討伐隊本部に行きます。父さん、母さん、俺、絶対に元の仇を取ってきます!」
光がそう言って、リビングから立ち去ろうとした時。
「……光、死ぬなよ」と、父親が苦しそうな声を上げた。
「絶対に死なずに仇を取って、帰ってきます」
光は明るく返事をするとリビングを飛び出し、自分の部屋に入っていった。
そして書類を学生鞄にしまうと、一日の疲れが出たのか、ベッドに入るとすぐに熟睡した。
「あなた、光は生きて帰ってくるわよね」
「ああ、私達の子供のことを信じよう」
その頃、光がいなくなったリビングでは、父親と母親が一晩中涙声で話しこんでいた。
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「輪鳥光。訓練生として、討伐隊への入隊を許可する」
「ありがとうございます。よろしくお願いします」
一週間後。すべての手続きを終えた光は討伐隊本部にある入隊受付所にいた。
討伐隊本部は国会議事堂のような石造りの建物で、大きな中央玄関の左右に棟が作られていた。
右側の棟は、隊員が生活する寮のある生活施設で、左側の棟が訓練施設になっている。
光が手続きをしている事務所は中央玄関から真っ直ぐ階段を上がったところにあった。
光は基礎訓練から始める『訓練生』として入隊することになる。
討伐隊に入隊しても、すぐにウォームと戦えるわけではない。
ウォームを倒すだけの体力や気力、何が起きても動じない精神力を『訓練生』として学んでいくのだ。
従って訓練生の間は、ウォームと戦うことはできない。
そのことを聞いて少しガッカリした光だが、厳しい訓練を乗り越えれば正規隊員になれると知り、気合が入った。
「これから君が生活する寮を、君を指導する先輩が案内してくれる。もうすぐ来るからここで待っていなさい」
「分かりました」
直立している光の目の前には、30代後半の細身の男性が椅子に座りながら光にこれからのことを説明していた。
光は緊張しながらも、自分の指導員が現われるのを待っていた。
「事務長、遅くなって申し訳ありません」
「おお、来たか……輪鳥くん、君の指導教官になる『神堂亮夜』くんだ」
数分後、光の後ろにある事務所の扉が開いて、男性の謝罪する声が聞こえた。
「あ、あなたはあの時の!」
光が事務長の言葉で体を振り向かせると、そこには学校で光を助けてくれた討伐隊員の新堂亮夜と名乗った男性が立っていた。
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