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「光、ゴールで待っているからな」
「俺だって、負けませんよ!」
亮夜がいつもの冷静な声で光に声を掛けると、光は張り切った口調で答えて走り出した。
「俺と珀が作ったフィールドを、誰が一番最初にクリアするんだろうな……」
頂上を目指して走り去っていく隊員達を見ながら黒斗は無表情のまま呟いた。
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光達が山道を走っていくと、目の前に高さが10m以上もある、岩壁が聳え立っていた。
岩壁には、ロッククライミングのように小さな石がポツポツと飛び出ているが、それぞれの石の間隔は50cmから1m近く離れていて、よほどの腕力や筋力がないと登りきれないような造りになっていた。
「光、お先に! フォルティス!」
鈴は光の右肩を軽く叩くと、指輪の能力で身体能力を最大限に引き上げ、岩壁から飛び出ている石に手を掛ける。
すると、まるで羽が生えているかのように、指先の力だけで、体がふわりと持ち上がっていく。
そして、映画のスパイダーマンのようにスルスルと岩壁を登っていった。
「これ以上、鈴の尻に敷かれたくないからな。先に行く」
亮夜は「フォルティス」と唱えると、鈴のすぐ後を追うように岩肌の前に着き、石に手を掛けると、今度は「ジャンプ」と唱えた。
すると、亮夜の脚力がアップして、石に乗せた足が軽々と亮夜の体を跳ね上げる。
体が上昇した状態で、亮夜は「マグネット」と素早く唱える。
今度は亮夜の手の平の吸着力がアップして、人差し指しか届かない場所にある石に、手の平がしっかりと食いついていった。
亮夜は「ジャンプ」と「マグネット」の両方の能力を交互に使いながら岩肌を登っていった。
「よし、俺だって、負けるもんか! フォルティス!」
「警告――『特殊能力特化型』は身体強化の能力――『フォスティス』『ジャンプ』などは使用できません――」
「うぉぉぉっ、これが黒斗さんが言っていたことかぁ!」
光がフォルティスを唱えた途端、被っているヘルメットから無機質な女性の声で警告が発せられた。
警告を聞いた光は思わずヘルメット毎、頭を抱えてしまった。
「ええっと、ファイア……火は必要ないし、フリーズ……って、凍らせてどうする俺……」
光は、指輪で使える能力を思い出していた。
「あっ、これなら使えるかも! バインド!」
そう言うと光は岩肌に向けてバインドを複数回唱えた。
光の手からは太さ1cmの救助ロープのような紐が次々と飛び出す。
その紐は岩肌から飛び出している石と石同士を繋ぐように結ばれていく。
「よーし、これなら体力の無い俺でも確実に登れるな」
光の目の前には、石と石を繋いだ紐が梯子のような形が上まで続いていた。
両手足を使って登れる梯子なら、普通の体力しかない光でも悠々と岩壁を登ることが出来る。
数分後、亮夜や鈴からは少し遅れたが、光も岩壁を登りきることが出来た。
「ふぅ。何とか登れたぜ。亮夜さんと鈴さんは次に向かっているかな」
光はそう呟きながら、走って先を急いだ。




