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「開けてー、ここから出して!」
「お、おい! 早く降ろしてくれ!」
動きの止まった観覧車からは、悲鳴を上げながらゴンドラの扉を叩いている人が救助を待っていた。
しかしその姿をあざ笑うかのように、観覧車の頂上にいたムーシュは羽を激しく震わせ、数本の足でタップを踏む。
その度に観覧車の鉄骨はミシミシと音を立て、ゴンドラは左右に激しく動く。
やがてムーシュは自分の真下にあるゴンドラを玩具のように激しく足で蹴りだした。
ゴンドラの中にいる人は左右の激しい揺れに耐え切れず、体をゴンドラの壁に打ちつけぐったりとしていた。
そして……ゴンドラを支えている軸が振動に耐え切れず、激しい金属音を立てて折れてしまう。
支えを失ったゴンドラは、真っ直ぐに地面に落ちていった。
数秒後、激しい衝突音が地面から響き、ひしゃげたゴンドラから真っ赤な液体がゆっくりと流れ出てきた。
ムーシュに向かって観覧車の鉄骨を登っていった光はその残酷な光景を見て、激しい怒りを感じたのであった。
やがて頂上付近に登った亮夜と光は、自分達に気づかず次のゴンドラを足で蹴り落とそうとしているムーシュにそっと近づいていった。
「光。俺はウォームの反対側に回る。俺が左手を肩まで上げて合図を出したら『ファイア』と唱えろ」
「了解しました」
亮夜はそう告げると、鉄骨の下を潜る様に体を滑らせながら移動する。
そして、ムーシュに気づかれぬまま、光と亮夜でムーシュを挟み撃ちにするような形になった。
亮夜はゆっくりと右手を上げて、ゴンドラを蹴っているムーシュの足の1つに狙いを定める。
そして左手を肩まで上げて、光に合図を出した。
「ファイア!」
光に合図を出すと同時に亮夜が声を上げると、亮夜の右の手の平から卵が生まれるように赤い火の球体が飛び出してきた。
赤い火の球体は卵大からバレーボールぐらいの大きさに成長しながら、銃弾のようなスピードでムーシュの体目掛けて飛んでいく。
そしてその勢いのまま、ムーシュの足に命中した。
亮夜の合図を確認した光は、自分の右手の平をムーシュの頭に向ける。
そして亮夜と同じタイミングで「ファイア!」と唱える。
すると亮夜と同じように、光の右の手の平から赤い火の球体が飛び出してきた。
しかしここで光は失態を犯してしまう。
「うわっ! 火傷する!?」
火の球体の出現に驚いた光は右の手の平を上空に向けてしまった。
結果、光の放った火の球体はムーシュの頭上を越え、雲の合間に消えてしまった。
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