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「光、何をしているの! ウォームを倒さないと! フォルティス!」
「あぁ、鈴さん!」
鈴は早口で一気に話すと、光の横をすり抜け、ジェットコースターに向かって走り出す。
指輪の力で身体能力が上がった鈴は、常人で考えられないようなスピードで走り出すと、一気にムーシュがいるジェットコースターのレールの頂上までたどり着いた。
レールに上がる時に、ムーシュによって大怪我を負った血だらけの人達が目に入る。
その姿に鈴は胸が痛くなったが、これ以上の犠牲者を出さない為に、鈴は心を鬼にしてレールの頂上に向かったのだ。
全長5mもある巨大な蝿のムーシュは鈴に気がつくと、羽を小刻みに震わせ鈴を威嚇する。
しかし鈴はそれに怯むことなく、ムーシュ向かって突進すると、その手前で右足を踏み込んで空高く跳躍をする。
ムーシュの遥か頭上まで飛び上がった鈴は、真っ直ぐに両手を前に伸ばし、その体をムーシュに向かって突っ込んでいく。
ムーシュは鈴に背中を向けると、自分の羽を硬化させ、金属でできたプロペラのように、細かく振るわせる。
普通の人間がその硬化した羽に触れたら、一瞬で細切れになるだろう。しかし、指輪の能力で身体能力を上げている鈴にはその羽は通用しなかった。
鈴は両腕を伸ばしたまま、肘を交差させた。
そして、ムーシュの羽に指先が当たったと同時に、交差させていた腕を左右に広げた。
鈴の手刀がムーシュの羽に当たった瞬間、ムーシュの黒い両羽が地面にバサリと落ちていった。
羽を捥がれたムーシュは体勢を崩して、レールの上に横たわり、手足をジタバタさせた。
「蝿というより巨大なゴキブリのようね」
レールの上で巨大な体を揺らすムーシュに、鈴は軽蔑の視線を送る。
ジェットコースターの下では、地面に落下した車両に乗っていた人々が次々と救助されていた。
「言っても分からないと思うけど、絶対許さない!」
鈴はそう吐き出すと、ムーシュ向かって走り出した。
ムーシュは必死で体を起そうとするが、羽を失くしてバランスを崩した体は上手く動かすことが出来ない。
そこへ鈴の右ストレートがムーシュの触覚の真ん中に命中する。
鈴の拳はその勢いのまま、ムーシュの頭の中にめり込んでいった。
鈴の肘までがムーシュの頭にめり込んだ時、ムーシュの体が塵になっていき、その塵は全て鈴の指輪に吸い込まれていく。
すると指輪のレベルが上がったのか、ごく僅かに形を変えた。
「また……強くなれた」
鈴はそう呟くと、観覧車の方に目を向ける。
そこでは亮夜と光が観覧車の上で、巨大な蝿のムーシュと戦っていた。
鈴は素早く地上に降りると、倒れている人々の救助に向かった。
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