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「フォルティス!」
亮夜に続いて鈴がそう叫ぶと、鈴の指輪も光り出し、亮夜と同じように鈴の体も光り包まれた。
鈴はウォームの背後に回ると、上下左右に激しく揺れている尾を反復横飛びのように素早く動き避けながら、腹の下に潜り込む。
そして甲羅の一番薄い部分を確認すると、右手で拳を作り、そこに力を込める。
「ハァァァッ!!」と、鈴は気合の入った声を出しながら、ウォームの腹に拳を沈めた。
鈴の拳は甲羅を突きぬけ、ウォームの体を直撃する。
ウォームは「ギシャッ」と奇声を上げながら、背中を大きく地面に向けて折り曲げると、一瞬、動きを止めた。
その隙に、鈴はウォームの腹の下から素早く体を横にスライドさせながら逃げ出す。
鈴の攻撃でウォームの体の動きが止まった瞬間を狙って、亮夜は再びウォームの背中に登り日本刀を突きつけると、そのまま体を低くして体勢を整える。
背中を丸めていた為、甲羅の隙間が大きく開いたところに亮夜の日本刀が深々と刺さったウォームは体を大きく仰け反らせ、断末魔のような奇声を上げる。
亮夜はウォームの体に刺さっている日本刀の柄を両手でしっかりと握り締めて、ウォームの激しい動きで飛ばされないように腰を低くして踏み止まる。
そのウォームの動きの隙を見ながら、鈴は体を支えている足に、拳で攻撃を行う。
特撮映画さながらの、亮夜と鈴の息の合った攻撃を、光は銃を構えながら少し離れたところで、黙って見ているしかなかった。
亮夜と鈴の攻撃で、ウォームの体を覆っていた甲羅の所々が剥がれ、そこから紫色の体液がドロリと流れ出している。
相変わらず奇声は上げているが、ウォームの動きは段々鈍くなってきていた。
すると、攻撃を続けていた亮夜が光の方に振り向くと、大きな声で叫んだ。
「光、コイツの頭を撃て!」
「ハ、ハイ、フォルティス」
その言葉を聞いた光は動揺しながらも、亮夜から教わった、「指輪の力で自分の能力を最大限引き出す言葉」『フォルティス』を唱え、銃を構えウォームに狙いを定める。
すると、光の指輪が光り、亮夜や鈴と同様、光の体は薄い光に覆われた。
光は両手でしっかりと銃を持つと照準をウォームの頭に合わせ、右親指でハンマーを起こし、右人差し指でトリガーを弾いた。
「パンッ」という銃声が響くと、光の撃った銃弾はウォームの目と目の間、頭の中央に命中した。
すると「ギュェェッ!」と大きな奇声を上げたウォームの体は尾の方からゆっくりと塵になっていった。
やがて塵は空中を舞いながら、亮夜、鈴、光の指輪に吸い込まれていく。
その不思議な光景を、光はただ唖然とした表情で見ていた。
そして、全ての塵を吸い込んだ光の指輪は生き物が痙攣したかのように極僅かに動き、それを見た光は驚きの声を上げた。
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