第8話 ホールで暴れる巨大な化け物
獣のような唸り声が廊下まで聞こえてくるぞ。ホールの中は一体どうなっているんだ。俺は逃げ惑う人々を押し退けて、砕けたホールの扉をくぐる。
すると、ホールの中では俺の優に3倍はありそうな化け物が人をゴリラのような化け物が人間に食らいついて貪っていた。
「た、タスケ…」
うわぁ、グロい。生きたまま食べられているぞ。頭の骨が砕ける音ともに悲鳴を上げていた人が静かになる。いや、もうそれは人ではない。そう今はただの骸。
「グルガァ、グルー」
くっ、次は生きの良さそうな俺を食べようっていうのか? どんどん化け物が近づいてきやがる。
「ぬしよ。気をつけなんせ!!」
は、速い? アイリに言われて目を奴から話さなかったが、化け物は図体に似合わず速い!! やばい、間合いが詰められた。やられる!? 巨体を揺らしたと思ったら、奴は跳躍して俺に飛びかかってきた。
俺は魔術を使って加速し、紙一重の所で化け物の突進を回避。あ、あぶねぇ
。あと少しで当たるところだった。
「って、壁が崩れている!?」
なんていう馬鹿力だ。俺の後ろにあった壁に大きな穴が空いてやがる。こんな攻撃を喰らったら絶対に死ぬ! 死んでしまうわ!! だか、俺がある武器といえばこのプニプニボディのみ。
……どうしよう。
「ぬしよ。あの巨体が起き上がってきているぞ!」
アイリの声に反応して、俺は化け物の方を見る。すると、奴は起き上がると体についた壁の瓦礫を振り払い、こちらを再び睨みつけてきた。
ゲ、また体当たりをかけてくるのか。そんなことを思っていたら、急に俺の腕が引っ張られる。誰だ!? なんだと思って、そちらを振り向くと、
「バカ、何をやっているの? 力であの化け物と戦うのは愚かよ!! こっちに来なさい」
といつの間にかいたリアにそう言われた。一体いつの間にこいつは現れたんだと思っていたら、彼女に引っ張られてホールのあちらこちらにある壁の瓦礫の裏側へ連れてこられていた。
「一体、どこに行っていたのかしら?」
そういって、彼女は睨んできた。や、やばいな。仕事を途中で抜け出しただけでも、問題あるのにいるべき時にいなかったからな。ど、どうにしかして、言い訳をしなくては…
「そ、そんなことをいま問い詰めている場合ではないだろう?」
と俺は冷や汗をかきながら、言い訳をしてみる。
「後で追求させてもらいますからね。でも、確実に支払額は減らすからわかったわね!!」
なんとか話題をそらすことに成功したようだ。でも、世の中は世知辛いぜ。報酬の減額かよ。
「いいわね?」
「わ、わかったよ。でも、結局、あの化け物はなんだよ!? あんなの相手にどうするんだよ?」
リアの勢いにおされて、俺はブンブンと首を上下に動かした後、そう尋ねた。
「あいつは枢機卿の成れの果てね。きっと、化け物に変わる薬でも飲まされていたのよ。かわいそうに。あと、質問に答えると奴は見た目の通り、単細胞の馬鹿よ。連携して、注意をそらせば、目標をコロコロと変えるわ。その間に私の部下たちに最上位の火炎魔術を詠唱してもらうわ。つまり、私たちは囮ね」
「そんなにうまくいくか?」
俺は懐疑的な目でリアを見てそういう。すると彼女は、
「も、もう、これ以上の説明はいらないわよね? あなたの頭は帽子をかぶるためだけにあるわけではないでしょ? 早く行きなさい!!」
となにかを誤魔化すように大声でそう俺をまくし立てる。
「言いたい放題だな。わかったよ。やるよ。やる」
「やることはさっきと変わらぬのじゃな。大丈夫かのう?」
アイリの言う通り、あんな化け物相手にどうすれば良いのだ? 本当にどうしよう。どうやって、時間を稼ぐんだよ。あの化け物によ。俺は釈然としないまま、化け物に向かっていくのだった。




