第47話 美仁香ちゃんの後輩
時は流れ、九月のある日。
天気は晴天。燦々と太陽の光が降り注ぎ、そんな太陽の光を浴びる俺達。ある学校の行事の最中。
中学生である俺達が体育大会という運動会みたいな行事を保護者及び来賓の方々に見せるという行事である。
そんな体育大会の序盤。俺はというと・・・
全校生徒や教師、保護者や来賓の方々の人物達が見える位置にある朝礼台に上がってラジオ体操をやっていたのだ。
二学期が始まってから、委員が変わったのだ。なんだかんだで俺は体育委員になってしまったのだ。
普通は三年生あたりがやる筈なのだが、教師の力により、今至る。むぅ、これはパワハラなのか?パワハラに詳しい人は是非俺に教えてくれ。
閑話休題。
俺達中学生は、体操服を身につけて、ラジオ体操をやっている。もちろん、俺の髪型は三つ編みなのだ!
ラジオ体操をやっている最中、保護者達による歓声が俺に送っているのだ。可愛いだの可愛いだの可愛いだの・・・全部可愛いやないかい!と関西弁でツッコミを入れる程、賑やかなのだ。たかだかラジオ体操なのに。
それで、あれよあれよと時が過ぎて、俺が出場する二百メートル走の工程となった。
選手紹介を本部にいる女子にしてもらい、名前を言われたら大きく返事しなければならなかったので、渋々返事する事にする俺達。
「『ーー第五コース、西園寺美仁香さん』」
「はいっっ!!」
俺は元気良く返事。すると、観客達は『おぉっ』という歓声をあげてしまう。たかだか中学一年生の女の子なのに、そこまで気になるとは・・・うーむ、世界最強の名は伊達ではないなぁ。
審判による合図と共に、俺達は走る。そして、俺は二位との差を大きく離して一着した。
すると・・・
「『一位!西園寺美仁香さんっ!さすが世界最強の女の子ですねっ!皆さん、拍手っ』」
本部にいる女子の実況により、保護者達は拍手喝采。う、うーんっ、これはイジメの原因になるのではないか?だって、他の生徒も自分も頑張っていたのに、まるで無視だし・・・と思う事もあるだろう。
だが、そんな俺の心配はかき消されたのだ。
「す、すっごーい!早いねっ!」
「うんうんっ!」
「疲れたから、抱きしめていい?」
俺の対戦相手であった女子達は大興奮。どうやら、イジメの心配はないようだが・・・女子三人目よ・・・いや、女子Cよ。何故、疲れたから抱きしめるという案が出るのだ?意味が分からん。
「でも、本当に小さくってかわいいねっ。まだ小学生っぽいしっ!」
「そうそうっ!まるで妹と思わせるようなかわいさっ」
「知らない人にお菓子あげるからついてきて、って言われたらついていきそう!」
「「わかるー!」」
女子達は俺を放っておき、雑談。俺は、とりあえずその場から、立ち去ろうとしたのだが・・・
「だ、ダメーっ!」
「一緒に行こうよーっ!」
「ま、迷子になったらどうするのーっ」
女子達によって、抱きしめられたり、頭を撫でられたり、手を繋がれたりと、スキンシップをとられていたのであったーーー。
ーーーーーーーーーーーー
時は流れ、昼飯の時間となった。
飯は母親が用意してくれて、母親と近所のよしみで体育館内で九重家と一文字家と飯を食う訳なのだが・・・
「「じぃ~・・・」」
九重のおばさんと一文字のおばさんが飯を食べている俺を見つめていた。他の保護者達も俺の事を見ている気がする。
「西園寺さん、その子本当にスゴいわね~。あっという間に、有名人になって知らない人なんて、この近辺には居ないらしいわよ~」
九重さん家おばさんは、俺の人気を教えてくれるのだが・・・なんでそこまで情報が回るのか?スゴいなぁ~おばさんの情報網。
「そうそうっ。周りの人も美仁香ちゃんの事を気にしているっぽいしね~」
一文字おばさんは辺りを見渡して、保護者達の視線を感じるご様子。二人の意見で俺が分かった事は・・・この地域で俺を知らない人なんて、ほぼ居ない。むしろ、興味を持っていらっしゃるという事らしい。
「うふふ♪自慢の子です♪」
俺の母親は無邪気な笑顔を浮かべ、俺の頭を撫でてくる。
「な、撫でないでくださいよっ」
撫でられるのが恥ずかしくて母親に抗議。
敬語で母親と話している俺を見た一文字おばさんと九重おばさんは目を点にして驚いた。それもそうだろう、敬語で親と話しているから。
「えっ?今、美仁香ちゃんさ、敬語話してなかった?」
「わ、わたしも聞いたけど・・・躾で?」
一文字おばさん達は俺の母親を見て、驚いた表情を浮かべつつ、質問。すると、母親は、にっこりと笑い、口を開く。
「そうなのよ~。私とお父さんには敬語で話しちゃうんですよ~。あっ、それと、自分の事を『僕』って言っちゃうんですよ~」
両親には敬語を用いて話すという事をいうのだが、必要のない事まで口走る。いらねーだろっ!その情報っ。
「へぇっ?!僕っ子?!か、かわいいっ」
「め、珍しいわね~」
母親の我が子情報を真に受けたおばさん達。更に俺に興味を持ったようだ。
母親を始め、おばさん達は俺の話題で興奮。ヒマになった九重有と一文字ことみは俺に近寄り、雑談。
「スゴい人気だね~。美仁香ちゃん」
「うんうんっ。テレビも近所も広まってるし」
久しぶりに九重有と話した気がしたが、まだまだ友達という関係は崩れていない事にホッとする。
「またあの技見せてよ。二段蹴りっ」
「あっ!私も見たいっ!ねっ?いいでしょ?」
九重有の頼みに一文字ことみも賛同して技を見せろというのだ。こいつらは俺の友達なので、イヤとは言わない。せっかく出来た友達なので、その友達を失ってはいけない。
「はいはい・・・」
俺は周りに人が居ない場所へと移動して、九重有と一文字ことみとの距離を一メートル以上離れた位置に立つ。
「連環腿!」
最初に思い切りつま先を振り上げて相手の頭部を狙った上段の蹴り上げをくりだし、その足を下げるときに その反動でもう一方の足を振り上げてもう一度上段の蹴り上げを出すという技をやってみた。
「「おぉ~・・・やっぱスゴいっ」」
九重有と一文字ことみは拍手して絶賛。周りに居た他の保護者及びこの学校の生徒は・・・目を点にして驚いている。む、むぅ、目立ち過ぎたか?
「みっにっかちゃーんっ!」
「だーれだぁっ?」
後ろから一ノ瀬歩美と宮川綾が俺に抱きついてきた。
「にゅあ?!」
突然の抱きつきなので、変な声を出して驚いてしまう。
「あー!ズルいっ!私もっ」
一文字ことみも俺に抱きついている二人ごと俺に抱きついてきたのだ。
「あぅ」
恥ずかしくて変な声を出してしまう。
女の子達に抱きつかれたり、色んな人達から子供扱いされ、日常を淡々と過ごし、時は流れ、俺は中学二年生へとなっていったのであったーーー。
中学二年生。思春期真っ盛りの時期だ。
ある人は恋をし、ある人は何がきっかけなのか知らないが中二病になったり、ある人は些細な事で怒ったりする時期だ。
俺は恋もしないし、中二病にもなっていないし、短気にもなってないので、両親には安心させる子供となったのだ。
そんな俺は中学二年生の女の子だ。大切なことなので何度でも言おう。俺は中学二年生だ。この意味、分かるか?
そう、入学生がこの学校に沢山入学してきた。つまり、俺の後輩がいる訳だ。
だが、俺は部活動に入っていないので、後輩と関わる機会は無い。
と、思うだろ?普通。だが、違った。奴らは普通では無かったのだ。
「わぁ♪ホンモノだっ♪」
「ホントだっ♪ちっちゃ~い♪」
「も、持ち帰ったらダメかな?」
昼休みに一文字ことみや宮川綾、一ノ瀬歩美と共に雑談を俺のクラスである二年一組の教室にて交わしていたら、窓際から女子生徒の声が聞こえてきたのだ。
「あっ、見てっ。あれ、多分一年生じゃない?」
「あ~。ホントだ~」
「しかも美仁香ちゃんの事を気になるみたい」
一文字ことみ達は廊下にいる一年生の女子が
気になるご様子。
ちなみに、テレビ出演やコマーシャルの仕事はまだまだオファーが来ているので、ちょいちょい出ている。平日の収録日もあったのだが、教師に収録日なので学校を休んでいいのかと頼むとすぐにOKの返事をもらった。
いや、どんどんテレビに出演してくれと頼まれたのだ。
多分なのだが、教師の学校アピールの為に、俺を利用しているだろうな。うん、きっとそうだろう。
「ねぇ、手を振ってみたら?美仁香ちゃん」
「あーっ。それいいかもっ」
「きっとファンだからっ」
三人の案を仕方なく賛成し、廊下にいる後輩に手を振る。すると・・・
「「「はぅっ!」」」
後輩達は頬に朱を浮かばせてしまう。
「が、ガマン出来ないっ!」
「「私もっ」」
一文字ことみの発言と共に宮川綾と一ノ瀬歩美の三人が俺に抱きついてきたのだ。
「うぁあ?!な、なぜに?!」
いつもいつも急に抱きついてくるので、対応策があっても、どうにもできない。
「ぶっちゃけ大好きだもん」
「「私もっ」」
俺が好きだから。友達からの本音だ。俺はこいつらの本音が聞けて嬉しかった。俺も、こいつらの事が・・・
「そっか~。にひひひっ♪僕も好きだよ?皆っ♪」
どれだけ俺の事が好きなのか肌で実感。
こいつらは俺の事を信頼して、好きでいてくれる。いい友達。うん、友達だ!
『あぅっ!!!』
俺の無邪気な笑顔を見た一文字ことみ達と後輩達は頬に朱を浮かばせて自分の世界へとトリップしたのであったーー。




