第46話 コマーシャルにも出演
収録が終わり、スタッフはカメラやマイク等を片付けていて、俺はこの後コマーシャルの仕事があるので、そのコマーシャルを収録ふるスタジオに男性スタッフにより案内してもらい、俺と母親は、とあるスタジオに着いた。
「あっ、美仁香さんっ!お待ちしておりましたっ!」
また違う男性スタッフが現れた。俺と母親をここまで案内した男性スタッフはどこかへと姿を消したのだが、多分仕事場だろうな。
「段取りを説明しますので、こちらに座ってください」
男性スタッフにより、パイプ椅子を用意されていたので、俺はそれに座る。母親も俺の横に座って、説明聞くのだが、何故お前も聞くのだ?
「まず、ある衣装に着替えてもらいます。サイズは美仁香さんとだいたい同じサイズな筈ですから、身体に合うと思います」
スタッフの説明を聞き、ある衣装を着なければならないというのだが、その衣装のサイズは俺とだいたい同じサイズという事なので、俺は首を傾げ、ある疑問が浮かんでくる。
「え?なんで?衣装のサイズが同じぐらいってどういう事?」
「ほら、世界格闘技大会で美仁香さんの身長を司会者さんが言ってましたよね?それを聞いて、私があるスタッフの方に頼んで作ってもらいました」
なるほどな。という事は、俺が出演するコマーシャルを撮る前から色々と準備してたという事か。
男性スタッフから段取りを聞き、コマーシャルの収録を頭に入れたのだが・・・すげぇ恥ずかしい物となっていたのだ。
恥ずかしいからと言って、頼まれた事を断るという事はやりたくないので、渋々コマーシャルの収録を撮っていたのであった。
すげぇ恥ずかしい衣装を着て、すげぇ恥ずかしいセリフも言い、無邪気な笑顔をカメラに向かって、更にセリフやアクションも加えながら、コマーシャルの収録は終了したのだ。
そのコマーシャルを編集して、数日後からお茶の間に流すというので、俺はそのコマーシャルをそのコマーシャルの流れる時間を聞き、実際にリビングのテレビにて確認してみたのであったーー。
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俺が出演したコマーシャル。
場所は一般家庭のリビングのようなセットとなっていて、リビングにある食卓の机には透明のコップに真っ白な牛乳が注いであった。
そこに向かってスキップして近づく俺。だが、俺の衣装がとんでもないぐらい恥ずかしい物だったのだ。
ダボダボの牛のコスプレだったのだ。手足は素肌を露出して、それ以外は全て牛のコスプレ。尻尾もあり、フードがついていてそのフードは牛の顔となっていて、角もちゃんとある。
俺の三つ編みはというと、衣装の首元の隙間からぶらんぶらんと出ていたのだ。
そんな可愛らしい女の子になった俺はというと・・・
「『牛乳っ♪牛乳っ♪スゴく美味しい牛乳っ♪牛乳を飲むとぉ~?スゴく強くなるぅ♪』」
無邪気な笑顔を浮かべて歌を歌うのだ。すげぇ恥ずかしいっ!
「『んくっ、んくっ、ぷはぁ♪美味しい♪』」
そんな無邪気な笑顔を浮かべつつ歌い終えた俺は、牛乳を一気飲みして、その美味しさをアピールする為に、カメラに向かって無邪気な笑顔。
「『元気がでったぞ♪元気がでったぞ♪』」
牛乳を飲み終えた俺はそのまま一般家庭のようなセットから出て、どこかの闘技場に着くという設定なので、場面はそのどこかの闘技場。
そこには、ボクサーのオッサンや空手家のオッサンが居て、その人物達を牛乳パワーで倒すという物語。
ボクサーをただの突きで倒し、空手家をただのキックで倒し、俺は満面の笑顔を浮かべて
「『こんなにも強くなれるぅ~♪』」
・・・牛乳を飲んで武術家を倒せるなら、全世界中の格闘家や武術家は牛乳飲むだろうがとツッコミたくなる話だが、そっとしておこう。
「『元気牛乳をたくさん飲もーぉ♪』」
商品名を言ってカメラにドアップする俺の満面の笑みでコマーシャルは終了。はぁ、俺はノリノリだなぁ・・・
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俺が出演したコマーシャルは、日本中に広まり、俺が通っている中学校でも話題となっていたのだ。
そんなある日の中学校での給食時間にて。
俺の中学校は給食制度があるので、全員同じメニューの飯を食べるのだ。
メニューの中には、絶対牛乳がある。主食がご飯だろうがなんだろうがな。
それらを食べ始めようとするのだが、皆の視線を感じてしまう。うーん、落ち着いて食べれない・・・
「ねぇねぇ♪あのCMを実際にやってよー!」
「私も見たーい♪スゴい可愛いもん♪」
「かわいい笑顔も忘れずにねっ」
一文字ことみと宮川綾と一ノ瀬歩美が俺にコマーシャルでやった演技をやれと言うのだが・・・絶対イヤなので断ったのだ。
「えー?ダメなのぉ?一回だけでいいから」
「そうそうっ。一回だけ一回だけ」
「少しぐらい、いいでしょ?」
三人は再び抗議。はぁ、なんであんな恥ずかしい事をしないといけないのか?本当にイヤなのだ。
「ま、まだあのCMが流れるらしいから、それ見てガマンしてよ。あの時は、スゴい恥ずかしかったんだしさ」
俺が出演したコマーシャルを企画した男性スタッフに話を聞く機会があったので、いつまであの恥ずかしいコマーシャルを流すのかを聞いたら、あと数週間は流すつもりらしい。
「そうなんだっ。でも、実際に見たいよね?」
「「ね~っ」」
一文字ことみは宮川綾達に実際に見たいという事を確認し、宮川綾達はそれを肯定。
「・・・はぁ、牛乳、牛乳、スゴく美味しい牛乳・・・」
俺はやる気なさそうに演技。すると、三人はというと・・・
「それダメっ!ちゃんとあのCMみたいにっ」
「そんなのズルいよっ」
「そうだそうだっ」
怒った表情を浮かべ、抗議。俺の気持ちが分からないのか?こいつらは・・・
今も尚、ハシャいでくる一文字ことみ達に呆れて取りあえず一言。
「・・・やれやれ・・・」
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放課後。
俺は部活に入っていないので鞄を持ち、爺さんの道場へと行こうと教室から出ようとしたら・・・
「さっ、西園寺さんっ!ちょ、ちょっと待ってくれる?」
クラスメイトの男子が話しかけてきた。名前なんだっけな?男子には悪いが名前忘れた。
とりあえず、その男子に引き留められたので、何用かと聞くと・・・
「さ、西園寺さんてさ、部活入ってなかったよね?や、野球部のマネージャーに入ってみない?人数が少ないんだよっ」
勧誘だ。うーむ、武術関係とかスポーツ系の部活勧誘はともかく、マネージャーだと?俺に雑用を押しつけたいのか?こいつは・・・
「ちょ、ズルいぞ!さ、西園寺さんには、サッカー部のマネージャーに入ってもらうんだ!」
違う男子もやってきて、俺を勧誘。なんなんだよ、さっきから・・・俺には雑用係がお似合いってか?ムカつくなこの野郎。
「いやいや、バスケ部のマネージャーにっ!」
「男子バレー部のマネージャーにっ!」
「剣道部のマネージャーにっ!」
「柔道部のマネージャーにっ!」
次々と男子が俺に部活勧誘。しかも、全員雑用係をだ。なるほど、そうか・・・そういう事か・・・
「・・・ごめん。調子に乗って・・・」
『え?』
俺はコマーシャルに出て、いい気になっているかもしれない。あとバラエティー番組にも出演したからな・・・そのオンエアもそのうち流すだろうからな。
「・・・これからも調子乗るかもしれないけど・・・でも、ゆるしてっ」
俺はそれを伝え、教室から出てしまう。
有名人になって、友人や教師達にちやほやされているのをムカついてからの雑用係を押しつけたかったのだろう。
どうしたらいいのだ?これはイジメなのか?だが、俺はイジメられても屈しない。屈したら、奴らの思うツボだろうーーー。
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俺は西園寺道場に着き、扉を開き、挨拶。
「・・・たのもぉ・・・」
俺は元気なく爺さんや生徒達に挨拶。いつもは子供らしい無邪気な笑顔を浮かべて甘えた声を出すが、今日は違う。
「ん?どうしたんだい?美仁香ちゃん。何かあったの?ワシに教えてくれんか?」
爺さんは俺の異変に気づき、爺さんは優しい声で話しかける。俺は今日起きた事を全て爺さんに伝えると・・・
「ほっほっほ~。なるほどね~」
爺さんは笑って今回のイジメの原因の真相を暴いた様子なのだが、俺は笑えない。
「つまり、皆は美仁香ちゃんに好かれたいんだよ。異性としてね」
「ふぇ?!!」
爺さんの言葉に耳を疑う。なんでだ!なんで好かれたいたからと雑用係を押しつかれないといけないんだ?!
「ど、どいう事?爺ちゃん」
「だからね?そのマネージャーとして美仁香ちゃんを入部させるとするでしょ?」
爺さんの説明に、こくこく頷いて相槌を打つ。
「で、その男子達は、美仁香ちゃんにカッコいい姿とか活躍している姿を見せて、美仁香ちゃんに惚れさせようとしているんだよ」
「?!!」
爺さんの説明に驚く俺。それはそうだろう、俺を惚れさせる為に、マネージャーとして入部させて色々頑張っている男子を見て俺が惚れると勘違いをしているのだから。
「それに、可愛い美仁香ちゃんにタオルとか飲み物とかを用意されて、自分はなんて幸せなんだっ、みたいな体験をしたいと思っている筈だろうしね。ほっほっほ」
爺さんに可愛いと言われたっ。う、うーむ、これは喜ぶべきなのか、恥ずかしいと思うべきなのか・・・
「そ、そうなんだっ。へぇ~」
俺は当たり障りのない相槌を打ち、納得したという事を爺さんにアピール。
「他に困っている事はないかい?」
爺さんは笑顔を浮かべて俺を助けてくれる様子。本当に爺さんは優しいっ!そんな優しい爺さんが大好きだ!
「ないよ♪にひひっ♪」
「それでは、修行だっ!」
「おー♪」
俺は無邪気な笑顔を浮かべつつ、爺さんとの激しい修行。その俺の無邪気な笑顔を見た爺さんの生徒である女子は、次々と倒れて気絶するという日常を過ごしていたのであったーーー。




