第5話 アレン
「同じだ」
ガレスの一言で、部屋の空気が変わった。
父さんは数秒、何も言わなかった。
「本当に?」
ガレスが顔を上げ、父さんを見る。
「自分の弟が死んだ日のことを、俺が忘れると思うか?」
父さんの表情が固くなった。
「そういう意味じゃない」
「分かってる」
ガレスは本を自分のほうへ引き寄せた。
指で、黒い輪の上をなぞる。
「何年も経った。記憶違いもあるだろう。あの男の顔だって、今じゃはっきり思い出せない」
指が、真ん中を通る一本の線の上で止まった。
「でも、これは覚えてる」
二人の間を行き来していた視線を、最後にガレスへ向けた。
「どこで見たの?」
ガレスは僕を見る。
それから父さんへ視線を戻した。
「どこまで話した?」
「大して話してない」
父さんが答えた。
「アレンのことは知ってる」
「今日知った」
僕も付け足した。
ガレスはしばらく僕の顔を見ていた。
「お前、いくつだ?」
「四歳」
「四歳……」
父さんが少し苛立ったようにテーブルへ身を乗り出した。
「話をそらすな」
ガレスが眉を上げる。
「四歳児を連れてここまで来たのはお前だろ」
「僕もここにいるんだけど」
二人が同時にこっちを見る。
「僕の話をするなら、僕にも話してくれていいよ」
ガレスの口元が少しだけ上がった。
「間違いなくお前の息子だな」
父さんが誇らしそうに笑う。
「ありがとう」
「褒めてない」
父さんの笑顔が消えた。
僕の笑顔は大きくなった。
でも、その小さなやり取りは長く続かなかった。
ガレスの視線が、再び印へ落ちる。
「これを見たのは、ハイヒューマンの身につけていたものだ」
初めて聞く言葉だった。
「ハイヒューマン?」
父さんとガレスが短く目を合わせる。
「お前はどれくらい知ってる?」
ガレスが父さんに聞いた。
父さんは軽く肩をすくめる。
「あの日に知ってたことより、少し多いくらいだ」
「つまり、ほとんど何も知らない」
「ああ」
頼りない。
「ハイヒューマンって何? 人間じゃないの?」
今度は父さんが答えた。
「人間には見える。少なくとも、俺たちが見た奴はそうだった」
ガレスの顔が硬くなる。
「そのあと、そいつが俺の弟を殺した」
また部屋が静かになった。
今度は何も聞かなかった。
不思議だったのは、ガレスの声に怒りがなかったことだ。
どちらかというと……。
疲れているように聞こえた。
まるで、その言葉を何年も自分自身に言い聞かせてきたみたいに。
父さんがゆっくり口を開いた。
「あの日のアレンは、まともじゃなかった」
ガレスの目がすぐに父さんへ向いた。
「やめろ」
「ガレス」
「やめろと言った」
父さんは引かなかった。
「ルークには知る必要がある」
ガレスが初めて、今までとは違う目で僕を見た。
どうして僕がここにいるのか、ようやく気づいたみたいに。
「なぜだ?」
父さんは少し黙った。
「昨日、ルークと訓練してた」
「それで?」
「こいつが魔法で俺を攻撃した」
ガレスが眉をひそめる。
「四歳の息子に魔法で攻撃されたからって――」
「魔法の名前を言わなかった」
ガレスの言葉が途中で止まった。
ゆっくりと僕を見る。
しばらく何も言わず、顔をじっと見られた。
少し居心地が悪くなる。
「何?」
ガレスは僕ではなく父さんに聞いた。
「わざとか?」
「たぶん違う。俺が近づいたとき、反射的に使った」
「それ以前にも?」
「俺が知る限りはない」
「もう一度できたのか?」
父さんが答える前に、僕が口を挟んだ。
「できなかった。試したけど」
ガレスが僕を見る。
「何回?」
……。
言わないほうがよかったかもしれない。
「何回か」
父さんの顔がこちらを向いた。
「何回か?」
「そんなに大事じゃない」
「ルーク」
「できるかどうか確かめたかったんだよ」
ガレスが片手で顔を覆った。
「最高だな」
父さんがガレスを見る。
「何が?」
ガレスが手を下ろす。
「別に」
父さんの目が細くなった。
「アレンもこんな感じだったんだろ?」
ガレスは答えなかった。
答える必要もなかった。
顔を見れば十分だった。
ガレスが立ち上がった。
「ここで待ってろ」
家の奥の部屋へ入っていく。
扉が閉まると、父さんを見る。
「アレンは、無詠唱魔法のせいで死んだの?」
父さんは少し考えた。
「分からない」
「でも、アレンも無詠唱魔法を使ってたって知ってた」
「ああ」
「じゃあ、なんで僕に言わなかったの?」
父さんが椅子ごと僕のほうへ向き直った。
「一回たまたま無詠唱魔法を使っただけで、何年も前に死んだ奴の話をして怖がらせたくなかった」
父さんを見る。
「でも、父さんは怖がってた」
眉が寄る。
「何?」
「僕が無詠唱魔法を使ったとき」
昨日のことを思い出す。
あの表情。
「急に変な顔で僕を見たから……僕が何か隠してたみたいに感じた」
父さんの表情が少しやわらいだ。
僕は続ける。
「僕のことが怖かったわけじゃないよね? アレンに起きたことが、僕にも起きるんじゃないかって怖かったんでしょ」
父さんは少し黙った。
それから椅子を僕のほうへ寄せる。
「ルーク」
頭の上に手を置いた。
「俺がお前を怖がってると思わせたなら、悪かった」
まっすぐ僕を見る。
「お前は俺の息子だ。それは忘れるな」
「忘れてない」
「よし」
髪を軽くくしゃくしゃにする。
「俺が怖いのは、お前じゃない」
「僕に何か起きること」
父さんがうなずいた。
「ああ」
なぜか、喉の奥が詰まるような感じがした。
この世界に来てから、慣れないことはたくさんあった。
魔法。
魔物。
別の種族。
でも、たぶん一番不思議なのはこれだ。
誰かが僕のことを心配すること。
父さんは数秒黙ったあと、ニヤッと笑った。
「それに、俺を怖がらせたいなら、まず俺を倒せるようになれ」
……。
感動的な空気を壊す才能だけは、本当にすごい。
「いつか勝つから」
「はいはい」
「本気だよ」
「俺も本気だ」
顔の笑い方は、まったくそう見えなかった。
ガレスが戻ってきたとき、手には小さな木箱があった。
それをテーブルの上に置く。
父さんの笑顔が消えた。
「まだ持ってたのか」
ガレスが短く父さんを見る。
「捨てると思ったのか?」
箱のふたを開ける。
中には古い物がいくつか入っていた。
折りたたまれた紙。
折れたペン。
色あせた小さな布切れ。
そして、革表紙の薄いノート。
ガレスがそれを手に取った。
「アレンのだ」
少し身を乗り出す。
「日記?」
「まあ、似たようなものだ」
ガレスが表紙を開いた。
ページのほとんどが細かい文字と、僕には意味の分からない図で埋まっている。
魔法らしい形。
数字。
訳の分からない計算。
「弟は何でも書いてた。魔法、理論、思いついたくだらない考え……」
父さんの顔に、かすかな笑みが浮かんだ。
「くだらないって聞いたら、一週間は口をきかなかったぞ」
「そのほうが助かった。理論を一つ話し始めたら、三時間止まらなかったからな」
ガレスはページを何枚かめくった。
やがて、あるところで止まる。
「無詠唱魔法について最初に書いたのは、この辺だ」
首を伸ばして覗き込む。
字は読める。
でも、アレンの字はひどかった。
少なくとも、こういうものは世界が変わっても同じらしい。
「何て書いてあるの?」
ガレスは数行に目を通した。
「最初は大したことはない。魔法の名前を言わずに、魔力を直接動かそうとしてたらしい」
「できた?」
今度は父さんが答えた。
「何か月もできなかった」
「何か月も?」
「ああ」
少し気が重くなる。
僕は最初の一回でできた。
まあ、二回目はまだ成功してないけど。
ガレスは僕の顔を見て、それを察したらしい。
「アレンが始めたときは、もう何年も魔法を使ってた。お前は四歳だ」
なぜか、それを聞いてもあまり安心しなかった。
ガレスはまたページをめくる。
「そのあと、できるようになった」
「それで、何が起きたの?」
「何も」
眉をひそめる。
「何も?」
「何もだ」
ガレスは指をページの上で滑らせた。
「その日も元気だった。次の日も。その次の月も」
父さんが僕を見る。
「だから、一回無詠唱魔法を使ったからって、何か起きるって言ってるわけじゃないぞ、ルーク」
わざわざ僕に向けて言ったのが分かった。
ガレスもうなずく。
「問題は、そのあとだ」
また部屋の空気が重くなった。
「何があったの?」
ガレスがさらに数ページめくる。
「まず、感覚が変わったらしい」
父さんが身を乗り出す。
「どういうふうに?」
「魔力の感知だ」
ガレスは一つの行を指さした。
「俺たちが気づかないものまで分かるようになった。誰かが魔法を使ったところを見てなくても気づいたり、後ろに人がいるのを振り向かずに感じたり」
胃のあたりに嫌な感覚が広がる。
父さんも僕を見た。
ガレスはまだ気づいていない。
まだ。
「それから、耳鳴りが始まった」
沈黙。
ガレスが顔を上げる。
父さんが僕を見ているのに気づいた。
視線が僕と父さんの間を行き来する。
「何だ?」
父さんが僕を見る。
「ルーク。お前から話せ」
ガレスの目が僕に向いた。
「僕も、たまに耳鳴りがする」
表情が一瞬で変わった。
「いつから?」
「よく分からない。しばらく前から」
父さんが補足する。
「今日も道であった。木の中にいた魔物に、俺より先に気づいた」
ガレスが勢いよく父さんを見る。
「見えてなかったのか?」
「ああ」
「音も?」
「ああ」
父さんが僕を見る。
「そうだよな?」
うなずく。
「そこに何かいるって分かった」
ガレスはゆっくり椅子へ座った。
目はまだ僕を見ている。
今度の視線には、好奇心以外の何かも混ざっていた。
「他には?」
「何が?」
ガレスは少し考える。
「耳鳴り以外に、説明できないことはなかったか? 痛みとか、変なものが見えたとか、普通なら感じない何かとか……何でもいい」
その質問には覚えがあった。
母さんにも、ほとんど同じことを聞かれた。
他に何か変なことはなかった?
生まれた日に見た、あの暗闇が一瞬だけ頭に浮かぶ。
息ができなかった。
喉を締めつけられる感じ。
焼けるような痛み。
でも、すぐに頭から追い出した。
あれは、僕が魔法の存在すら知らなかったころのことだ。
無詠唱魔法と何の関係がある?
「ない」
ガレスが目を細める。
「本当に?」
「うん」
少なくとも、僕が知る限りでは本当だ。
今度は父さんが口を開いた。
「そのあと、アレンはどうなった?」
ガレスの目がノートへ落ちる。
「知ってるだろ」
「ルークは知らない」
ガレスの指が表紙の上で強くなる。
しばらく黙っていた。
「アレンは変わっていった」
「どうやって?」
僕が聞いた。
ガレスは、言葉を選ぶように少し間を置いた。
「少しずつだ。眠る時間が減った。話してる途中で急にぼんやりすることもあった。何かが聞こえるって言ってたが、何が聞こえるのか自分でもうまく説明できなかった」
父さんが小さくうなずく。
「最初は、魔法をやりすぎたせいだと思ってた」
「何日も無茶してたからな」
ガレスが言う。
「休めと言った。でも聞かなかった」
このアレンという人間のことが、だんだん分かってきた。
そして。
それがあまり嬉しくなかった。
似ている部分が、少し多すぎる。
「そのあと?」
ガレスはノートを閉じた。
「そして、あの日が来た」
父さんの顔が固くなる。
「遺跡か」
「ああ」
ガレスは数秒、テーブルを見つめた。
「モリレの北で、古い遺跡を見つけた。アレンは何週間も前から行きたがってた。昔の魔法に関係する何かがあると信じてたんだ」
「まあ、そうなるよな」
父さんが小さくつぶやいた。
ガレスの口元が一瞬だけ動いた。
「結局、行った」
僕は黙って聞いていた。
「でも着いたとき、俺たちだけじゃなかった」
ガレスがテーブルの上の本へ手を伸ばす。
黒い印に指を置いた。
「あいつがいた」
「ハイヒューマン?」
ガレスがうなずく。
「ああ」
「どうしてハイヒューマンだって分かったの?」
「そのときは分からなかった」
予想外の答えだった。
「あとで知った」
ガレスは続ける。
「最初に見たときは、人間だと思った」
父さんが静かに付け足す。
「でも普通じゃないことだけは、すぐ分かった」
ガレスが父さんを見る。
「強さで?」
「それだけじゃない」
「じゃあ何だ?」
父さんは少し考えた。
「分からない。ただ、そいつの近くにいると……変なことをしちゃいけないって、体が勝手に思う感じだった」
ガレスがうなずく。
「ああ。たぶん、それが一番近い」
まったく安心できない説明だった。
「それで、何をしたの?」
ガレスの目が僕へ向いた。
「最初は何も」
「何も?」
「アレンを見てた」
「それから?」
「そこから離れろと言った」
「なんで?」
ガレスは答えなかった。
父さんが彼を見る。
「ガレス」
「何だ」
「他にも言っただろ」
ガレスの顎が固くなった。
「分かってる」
「ルークにも聞かせたほうがいい」
ガレスは数秒黙った。
やがて口を開く。
「アレンにこう言った」
少し間が空く。
「『これ以上進めば、もう戻れなくなる』」
背筋に寒気が走った。
「どういう意味?」
ガレスは首を横に振る。
「分からない」
父さんの視線がテーブルへ落ちる。
「アレンも分かってなかった」
ガレスはすぐには答えなかった。
それから、小さな声で言った。
「……分かりたくなかったのかもしれない」
二人の顔を見る。
「アレンは、その人を攻撃したの?」
沈黙。
今度は父さんが答えた。
「ああ」
「なんで?」
父さんが一度ガレスを見る。
ガレスは目を閉じ、深く息を吐いた。
父さんが続ける。
「あのころのアレンは、もう普通の状態じゃなかった」
ガレスが目を開く。
「それでも、俺の弟だった」
父さんの声がやわらかくなる。
「分かってる」
「いや。お前には分からない」
父さんは何も返さなかった。
ガレスは声を荒げていない。
でも、それで十分だった。
数秒後。
ガレスはテーブルの上の手から力を抜いた。
「アレンが攻撃した」
視線が印へ落ちる。
「ハイヒューマンは反撃した」
少しだけ間を置く。
「そして、弟はその日死んだ」
部屋が静まり返った。
朝、父さんから聞いたアレンの話を思い出す。
洞窟でみんなを何時間も待たせた。
変な薬を試した。
新しい魔法があれば追いかけた。
そんな人。
それから自分のことを考えた。
四歳で魔法を覚えるために、こっそり図書室へ忍び込んだ僕。
あまり嬉しくない似方だった。
しばらくして、父さんが沈黙を破った。
「それで、印の意味は分かったのか?」
ガレスは首を横に振る。
「確かなことは何も」
「でも調べたんだろ」
「何年もな」
父さんは、それをすでに知っていたようだった。
ガレスは本をまた自分のほうへ引き寄せる。
「古い文献で、これに似た印を何度か見つけた。そもそもハイヒューマンについて書かれた資料自体がほとんどない。その半分も、歴史なのか昔話なのか分からないようなものだ」
「何て書いてあるの?」
「世界のかなり昔から存在していたらしい」
「どれくらい昔?」
「分からない」
「何をしてるの?」
「それも分からない」
眉をひそめる。
「何も分からないのに、どうして名前だけあるの?」
ガレスが一瞬止まった。
父さんが僕を見てニヤッとする。
「俺の息子だな」
ガレスが片手を上げた。
「少し黙ってろ」
それから僕を見る。
「いい質問だ。でも、それにもまともな答えはない」
ガレスが印を指す。
「確実に言えるのは一つだけだ。俺はあの日、これと同じ印を見た」
父さんが身を乗り出す。
「どこに?」
ガレスは自分の胸を指さした。
「ハイヒューマンの服だ」
それから本を見る。
「そして何年も経った今、同じ印が、お前が息子に買った本の中にある」
父さんの顔が暗くなる。
「偶然かもしれない」
「そうかもしれない」
「中古の本だ」
「前の持ち主の誰かが描いた可能性もある」
「俺もそう思ってる」
ガレスが今度は僕を見る。
「だが、もしルークもアレンと同じことを――」
最後まで言わなかった。
父さんの声がすぐに硬くなる。
「ルークはアレンじゃない」
ガレスが父さんを見る。
「分かってる」
「なら、弟を見るみたいにこいつを見るな」
また空気が張りつめる。
ガレスは数秒、父さんを見ていた。
それから僕へ向き直る。
表情から少し硬さが消えた。
「そうだな」
深く息を吐く。
「悪かった、ルーク」
肩をすくめた。
「別にいいよ」
父さんの手が僕の肩に乗る。
ガレスはノートを閉じた。
「でも、一つだけ本気で言っておく」
今度はまっすぐ僕を見る。
「無詠唱魔法は、しばらくやめろ」
最初に出そうになったのは反論だった。
「完全に?」
「少なくとも、何を相手にしてるのか分かるまでは」
テーブルの上のノートを見る。
一度は成功した。
もう一度できるようになりたい。
どうやって動いているのかも、もっと知りたい。
でも。
たぶん、アレンも同じように思っていた。
「分かった」
父さんが眉を上げる。
「そんなに簡単に?」
父さんを見る。
「気が変わる前に黙ってて」
父さんはすぐに口を閉じた。
「賢い」
ガレスが少し笑った。
部屋の緊張が、ほんの少しだけやわらぐ。
でも。
テーブルには、まだ答えの出ていないものが残っていた。
本を指さす。
「じゃあ、これはどうするの?」
父さんとガレスの視線が、また印へ向かう。
ガレスは少し考えた。
「今は何もしない」
「何もしないの?」
「相手が何なのか分かるまで、触らないのが一番いいこともある」
父さんがニヤッとした。
「年取ったな」
「お前はまだ馬鹿だ」
「じゃあ、二人とも変わったな」
ガレスが首を横に振る。
僕はもう一度、本の中の印を見る。
輪。
その真ん中を通る一本の線。
昨日までは、ただの変な落書きだった。
今は違う。
父さんが失った友人。
ガレスが失った弟。
そして今日初めて名前を聞いたハイヒューマン。
その全部につながっている。
なのに。
何を意味しているのかは、まだ分からない。
本当に偶然かもしれない。
そうじゃないかもしれない。
でも、僕の頭は別のところで止まっていた。
ガレスが聞いた質問。
耳鳴り以外に、説明できないことはなかったか?
母さんも、ほとんど同じことを聞いた。
あのときは、気にしていなかった。
でも今は。
一つだけ気になる。
母さんは、どうしてそれを知っていたんだ?




